玉依の采配 with 藩屏 × 貳
此処は洋館の1階にある『第三応接の間』―――
今日はこの部屋で、月に一度の定例報告会を行っておる。
この会議の参加メンバーは、当 櫛名田家の執事である龍岡と 以下使用人たち…… というのは表向きであり―――
実際は、この家の屋敷地を護るために星系軍より派遣されてきておる、正に『聖域の藩屏』たるに相応しい 特務中隊のエキスパートたちである。
◇
「さて、他に何か報告はあるかにゃ?」
「はい、玉依主席統制官補」
軽く手を挙げて発言許可を求めてきたのは、兎と同じ准士官級諜報要員であると同時に、システム等の特殊技術担当を兼ねる猿倉特務曹長だ。
このモノは現状、今日のような定例会議や屋敷内のシステムメンテナンスの日には来邸するが、それ以外はこの国の『警察関係者』として、主に刀眞のサポートに付いてもらっておる。
猿倉は当然 ワレらと同じ『宇宙人』の類いであり、地球星人と比べれば知力・身体能力共に相当優位な状況にある訳であるからして―――
この国の『国家公務員…… Ⅰ 種? 試験』などというものは、恐らく一夜漬け程度の準備でも余裕でクリアできる代物にゃのである。
だがしかし、警察庁採用の際には敢えてランクを落とし、『国家公務員 一般職試験』とやらの合格者として入庁させた。
そうした枠で採用されたモノらを 警察機構内では近年、公然の非公式で『準キャリア』とかいう待遇としておるようだ。
まぁ、そういう便宜制度は こちらとしても都合が良かった訳で―――
仮に猿倉を刀眞と同じ『警察官僚』として送り込んだ場合、恐らく始めの数年は日本中を頻繁に配置転換させられてしまって、とても刀眞の傍になどは 殆ど居れんかったであろうし―――
かといって逆に、『地方公務員』である 都採用の一般警官として警視庁などに入れてしまえば、それこそ 国家機関である警察庁に所属する刀眞との接点などは、ますます持てにゃかったであろう。
しかしながら現状、何とか無事 警察庁に席を置くことが出来、また毎年の異動の時期には その都度、刀眞の方から官房人事に無理を言って 猿倉を多少強引に手元に置き続け、以来5年間ずっと…… そう、一時は海外赴任にまで付き従わせておった。
まぁしかし、刀眞も一昨年まで出向しておった在米日本大使館から既に帰国したことでもある故―――
今後もし、猿倉に別の部署への異動などという話が出た場合には、もうあまり無理はさせずに刀眞の元を一度離れさせ、例えば『現場方面への潜入』などといったかたちの職務に切り替えたりしても良いかもしれん。
もしくは もうすっぱりと警察を辞めさせ、当屋敷に専属で戻すというのも良いであろうし…… まぁ、その時の流れ次第だにゃ。
いずれにしろ、『この地』もしくは『櫛名田家』の為に最大限 役に立ってもらう事が、勿論望ましいのではあるが―――
それよりもまず第一義は、やはり『無理せず目立たぬ事』であるというスタンスを、常にワレワレは 忘れてはならんのであるにゃ。
おっと、いかんいかん―――
こうした語りが多くなると、また櫻子のヤツに叱られてしまうからにゃ…… 場面を元に戻そうか。
「猿倉特務曹長か、何だ」
「はっ、先日の地球星人窃盗犯による、当屋敷への侵入騒ぎについてであります」
猿倉は起立すると、まるで背中に背筋矯正用の怪しい健康器具でも入っているかのような、やけに綺麗な姿勢で一礼してから述べ始める。
「ふん… オマエ、すっかりこの国の警官らしい物腰になったにゃ…… で?」
「え? あ、はい… 恐縮であります…… 報告します。 えー、3日前の深夜――― 当屋敷に窃盗目的で侵入を図った被疑者ですが、当家の防衛システムにかかり、一時は亜空間へと自動強制転移――― 危うく窒息死する寸前のところで身柄を捕捉・確保し、急行した鹿沼医師によって救い出され、一命を取り留めました」
鹿沼というのは、当 櫛名田家付の主治医で、星系軍の軍医―――
一応 軍属であり、階級は少佐待遇の…… いやまぁ、所謂 気の良いオッサンだ。
「ああ、そこまでは聞いておるよ。 それで?」
「はい。 その後、医師の処置を受け、秘匿要件部分の記憶を完全消去された上で、警視庁 神在東署に引き渡されており、現在 取り調べ拘留中です」
「そうか。 で、何か問題が?」
「はぁ、それがその…… 窃盗未遂 及び 不法侵入事件自体、そして被疑者本人についても、特に問題はなかったのですが…… 」
「何だ、はっきり言え」
「はい…… 実はこの件を受け、警視庁 某幹部の口から『やはり櫛名田邸に駐在所を置いて警察官を常駐警備させた方が良いのではないか』という、ワレらからすれば看過できかねる類いの意見が出されておりますようで…… 」
「な!? はぁぁぁ…… そっちかぁ――― 」
「はい……。 そして既に、その意向を受けたかたちでのトップダウンが、現場サイド…… 現状まずは方面本部の方に落ちてきているようでして…… 」
「 ――― いゃ… いやいやいやいや、ソイツはいかんにゃあ。 まぁ… 警察の連中としても別に他意はにゃいのであろうが…… 敷地のすぐ傍にそのような『目』を常に置かれてしまっては、それこそ いつ何を見られるかも解らんし、全く以て 要らぬお世話だぞ」
そんなもの、コチラにとっては非常に有難迷惑な話であり、正直ただの厄介事でしかにゃいわ。
「おい 猿倉ぁ…… その件、どうにかして阻止出来んかぁ?」
「それが… ですね…… その提言をしておりますのが、警視庁の『警備部長』という職位のモノでありまして…… 」
「ほぅ… という事は、都の警備部門のトップか」
全く、余計な事を言い出しおって。
いやまぁ、ソイツとしても良かれと思っての意見具申にゃのであろうが―――
ふん…… 相変わらずこの国の警察は、くそ真面目な事だにゃ。
「もう面倒だ。 多少の波風が立っても構わん。 刀眞から直接ソイツに『そんなものは要らん』と、ハッキリ言わせてしまえにゃ」
そう、正にこういった時の為―――
各方面の要所には、常日頃より 身内や息のかかったモノたちを抜かりなく配置しておるのであるからにゃ。
「あ… いえ、それが…… 警視庁の警備部長というのは、確かに所管上は刀眞様の居られる警察庁警備局の管轄下に属するものではあるのですが、少しばかりその… 微妙でして…… 」
「ん…… 『微妙』とは?」
「はい… 実は階級的に申しますと、そのモノは今の刀眞様よりも上位にあるという状況であり…… 」
「何だ、ソイツもその…… 警察官僚にゃのか」
「はい。 『警視監』ですので、刀眞警視正より二つばかり上の… 警察組織内では、ほぼ最高位になります。 ですので、正直 今後のことを考えますと、ここで要らぬ波風を立てるのは あまり得策とは言えないかと…… 」
成る程…… まぁ確かにワレワレとしても、刀眞にはこれから この国の警察組織の中枢に侵入り込んでおいてもらわねばならんところではあるからにゃ。
「ふむ…… にゃらばどうする?」
「はい、従いまして 少し考えたのですが――― 実は今、全く違う方向から この案件が実行に移されなくなるよう、諸々 手を回しているところであります」
「ほう、どうするのだ」
「概案はこうです。 まずは、その『駐在所の用地候補』とされている場所より、何かしらの… 例えば『国宝級』とも言えるような、重要な『遺物』が発掘されるように仕向けます。 そうすれば、この国の文化財保護法の観点から、所管部局により『工事の一時中止』が求められ、上手くすれば そのまま計画が頓挫する公算が高くなります。 ですので、もしこの場にてご裁下いただけるようでしたら、早速にでも…… 」
「時間遡行を行って何処ぞの時代に行き、その『何か』を埋めてくる…… と言うのか?」
「はい。 しかし 単体の『遺物』だけでは、調査が終わればまた工事が再開してしまいます。 ですので出来れば、そこがそのまま国の特別史跡か…… せめて 都の指定史跡とでもなるよう、『遺構』として遺るような構造物級のものを 過去にて建造してくる必要が…… 」
「待て待て待て! そんな大層な事をしたら、現行の歴史への影響が大きくなり過ぎてしまうであろうが。 もう大っ変にゃんだぞ? その後始末やら辻褄合わせやらは。 それに…… この地があまり注目され過ぎるというのも、正直考えものだしにゃ」
「左様ですか…… 了解であります。 それでは少し発想を変えまして、逆に『高濃度の有害汚染物質』でも埋めて参りますとか…… 」
「えー? うーーーん…… いやぁ、それも何だかにゃあ。 そんなものが埋まっておる真傍で日々寝食を営むというのも、正直 薄気味悪くて 全然気が進まんのだが……。 何かもっとこう、シンプルでスマートな方法はにゃいのか?」
「でしたらもう いっそのこと、件の警備部長を消してしまいましょう」
「却下だ。 オマエ…… 仮の姿とは言え、『警察官』の発言とは思えんにゃ。 頼むから、もっと穏便なやつにしてくれよ」
「あの、宜しいでしょうか?」
此処で手を挙げたのは、本中隊の女性部隊である第3小隊の長であり、屋敷では家政婦長を務めておる鷺山だ。
隊中きっての切れモノで、かつ 何よりも思考に柔軟性があり、また腕の方も相当に立つ。
「鷺山少尉か、何か妙案でもあるのか?」
「はい、妙案…… かどうかは計りかねますが――― そもそもの、その警察幹部発言のきっかけとなった『先日の当屋敷地への不法侵入事件』自体を、無かったことにしてしまってはいかがでしょうか」
「ほう…… つまり3日前に戻り、その泥棒の某がこの屋敷に入り込む前に何とかする…… と、そういう事だにゃ?」
「仰る通りです、ティマィョ・レィ主席統制官補」
ふむ、それなら歴史への被害も少にゃそうだし、ウチとしても余計な騒ぎで注目を浴びる事も無くなる…… か。
今までの案の中では、比較的 良策だにゃ。
「良いだろう。 まぁ、ソイツがこの屋敷に入った事実を無くしたところで、今度はまた別の所に盗みに入るだけにゃのであろうが…… 」
それならそれで好都合―――
いや…… むしろ今回の場合は、そう仕向けねばならんのかも知れんにゃあ……。
「よし、ではこの任、発案者である鷺山少尉と、そして報告者であり警官の身分でもある猿倉特務曹長の両名で行ってもらいたい。 どうだ、龍岡大尉」
「はい、承知致しました中佐――― 異論はございません。 ですが…… 」
龍岡は、いつもの執事である時のように思慮深そうな面持ちで、右眼に着けた片眼鏡に軽く手をやってから言葉を継ぐ。
「今回は、小官も同行させていただきます。 統括する立場のモノと致しましては、この件の『記憶』を保持しておいた方が宜しいかと愚考致しますので」
「そうか、解った。 ではご苦労だがそうしてくれにゃ」
龍岡大尉が言っているのはこうだ。
鷺山少尉と猿倉特務曹長の二人が 首尾良く任務を達成した場合、3日前の騒ぎ自体が無かった事になる。
すると畢竟、この両名を除く 全宇宙中全てのモノたちの記憶から、この泥棒騒ぎ自体の一連の記憶が全て無くなってしまうという事になる―――
それは勿論、龍岡や このワガハイの記憶からも。
従って此処は、龍岡 自らも同行して当事者となる事により、自身の内にも記憶を留め置こう…… という向きの配慮だ。
「ではこの案件、手間ですまんがオマエたちが戻ったら すぐワガハイに、『事の経緯から再度』報告してもらえんか。 あとで自筆の命令書を渡すによって、当該事実改変後の 何も知らんワガハイ《・・・・・・・・・》にそれを渡し、併せて説明してやってくれ」
「はっ、了解であります」
三人は揃って敬礼し、命令を受諾した。
「ああ、それとにゃぁ大尉、これは言わずもがなの事にゃのかも知れんが…… 」
と、念の為に補足しようとするワガハイに対し、龍岡の方は心得たもので―――
「はい。 対象が当家に入り損ねるよう仕向け、本作戦の完遂を確認した後も敢えてそのまま游がせて監視し、再び別の何処かに侵入するのを待ちます。 そしてその犯行後に、警官の身分である猿倉をして現行犯逮捕せしめれば宜しいでしょうか」
「ああ、それで良い」
要はだ…… その泥棒の3日前の侵入を『ただ防いだだけ』では、例えばその翌日にまた同じ事を繰り返し、当屋敷に再度忍び込もうとせんとも限らん―――
また 別の観点から言うと、歴史の改変事項はなるべく少にゃい方が良い…… という事だ。
よって、ソイツがその後 また何処か別の家にでも侵入り、盗みを働いたのを見届けた上で現行犯逮捕し―――
そして『改変前である今現在』と同じように、そのモノが神在東署に勾留された状態とするのが望ましい…… とまぁ、こういう事だにゃ。
「ところで猿倉、その泥棒だが…… 男か女か、どっちだにゃ?」
「はい、姓名は巫女芝 美野和。 32歳の女です」
此処で 一同の内の幾人かは、表には出さないまでも内心 はっとする。
どうやら、屋敷の筋塀をよじ登ろうとした窃盗犯であると聞き、短絡的に男であると思い込んでいたモノが、やはり多少は居るようだ。
まぁ、この道のエキスパートどもとは言え、経験や能力も様々―――
こうした些細なところからも、日々逐一、何かと学んでいってもらいたいものである。
「そうか。 猿倉、念の為 ソイツの身元を入念に調べ直しておけ。 この家に忍び込もうとした動機が間違い無く、単なる日和見の窃盗目的であったのかどうか――― そして本当に、どの他勢力とも関わり合いが無いモノであるのかどうかを…… にゃ」
「は! 了解であります」
◇
ふぅ、それにしても…… 全くもって毎月毎月よくもまぁ、面倒事がいろいろと湧いて出てくるものだにゃ。
その後、更に幾人かの口から、多岐に渡る様々な報告が成されたのだが……。
給仕と主計係を兼ねる烏山伍長からは―――
『槍慈がやっておる喫茶室の、如何にも芳しくにゃい累積赤字の収支状況について』
邸内の庭師を務めておる馬籠軍曹からは―――
『聖地の地下深くから発せられるチカラによって、もう10月になろうというこの時期に 邸内の桜が一斉に咲き乱れ、慌てて人為的に竜巻を起こして散らせた際の、事の顛末と今後の対策…… そして、ある《ワニ》の現況について』
メイド長の犬山軍曹と メイドの鴨山兵長からは―――
『先日の秋祭りの晩、町内上空を何やら派手な格好で飛翔する桐子と柏子の姿を 迂闊にも一般人に携帯端末で撮影され、しかもインターネット上にUPされてしまった件の状況報告――― 』
『 ――― 更には、その動画を削除する為に 複数のサイトや無数の個人端末をハッキングし、当該データを強制削除しまくった際の結果報告――― 』
『 ――― また、その上で撮影者を割り出し、一時その身柄を拘束。 そして最早お馴染みとなった《鹿沼医師による記憶消去措置》の 施術完了報告――― 』
『 ――― まとめとして、それら一連の詳細な経緯を整理したレポートの提出 及び 今後の再発防止策の協議と――― 』
『 ――― 終いには、当事者である桐子・柏子両名による《反省文》の読み上げ…… 』
そして最後が、瑞穂の侍女である白鳥中隊付副官より―――
『昨日、神在町駅前付近を通りがかった瑞穂が、80年以上も前によく遊んでやっていたという近所の子供を見付けて話しかけ――― しかしながら当然、ソイツはもう90歳に手が届こうという年寄りな訳で……。 片や、本来であれば今年で108歳になるはずの瑞穂が どう見ても30代前半の容姿である為、必然的に軽くひと騒ぎになったという――― くだらなくも危なっかしい出来事について…… 』
まぁ… 相手が年寄りであった故、随行していた白鳥少尉の機転により―――
『瑞穂の曾孫の瑞希だ』などとその場を取り繕う事で、一応その場は事無きを得たらしいが……。
念の為、これも後で鹿沼医師に ひと働きしてもらうように命じておいた。
はぁぁぁあ…… 最後の二つは一体 何なのだ、あほか!
アイツらには、後で多少キツめに言っておかねばならんにゃ。
でもまぁそんな事で、今日の定例も無事終わりに近付き―――
取り敢えず、諸々のリスクヘッジを講じる手立ても付けられ、一先ずは めでたしめでたし…… と言ったところかにゃ。
「中隊諸君、他に何も無いようであれば、そろそろ今週の定例会をまとめようか。 では最後に 料理長の熊野特務曹長、来週の食事の献立を発表してくれるかにゃ?」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
【 一掬 ❁ 同刻譚 】
同刻、櫛名田邸内 洋館1階 小食堂の間―――
柏子 「あれ 龍岡さんたち どこか行った?」
桐子 「あぁ、アレだよー。 毎月やってる、えーっと…… そだ、『てーれーほーこくかい?』…… とかっていうやつ」
柏子 「あー 毎月この日は お茶のおかわりが出てこなくて不便」
桐子 「でもメイドさんたち、『この日はザンギョウ代がでるから助かるー』って言ってたよー 」
柏子 「え あの人たち そんなお金に困ってるの」
桐子 「うーん、それはわかんないけど……。 でもほら、鴨山さんとかまだ若いしさー、ほしいものとかぁ、きっといーっぱいあるんだよー 」
柏子 「ふーん あ…… 」
桐子 「んー? どしたのぉ、柏ちゃーん?」
柏子 「今日の報告会って こないだのアタシたちの反省文が読まれる日 かも」
桐子 「あ゛ー…… そだったぁー。 あとで玉先生に怒られるかなぁー?」
柏子 「でも あれはアタシたちが全部悪いわけじゃない」
桐子 「えー、そぉなのぉー?」
柏子 「うん だから反省文に アタシの思うところを書いてやった」
桐子 「おー! さすがだねー、柏ちゃんはー。 キリなんかさー、『ごめんなさい!』ってたーっくさん書いたよぉー 」
柏子 「アタシ 一個も謝罪の言葉 書かなかった」
<柏子 反省文>
今回のこと アタシたちにも非はある
でも 認識阻害の措置を講じていたにもかかわらず その効力には 相手の個体差による相性や限界があり
また ごく少数の人間には 視認すらされ得るという事実は 今回のことで初めて露見した事案
また 光学機器による撮影も ある一定条件のもとでは阻害できないという 技術的瑕疵の実態は
アタシたちの今回の責任とは 完全に切り離すべき
その点 くれぐれも斟酌されたい
なんなら 過分に忖度してくれてもかまわない
――― 以上
<桐子 反省文>
きのうはごめんなさい。
キリが「魔法少女☆スローロリスをやりたい」っていったせいで、カシワちゃんまでおこられてしまって、キリはお姉ちゃんとしてシッカクです。
そして、龍岡さんや白鳥さん、犬山さん、鴨山さんにウッシー、あと猿倉さんにも たくさんたくさん ごメイワクをかけてしまいました。
ほんとうにほんとうに、ごめんなさい。
あと鹿沼先生、サツエイした人の頭の中をいじってキオクを消すのだそうですが、あまりイタくしないであげてください。
こんど町のうえをとぶときは、ちゃんとヘンソウして、顔がわからないようにします。
ごめんなさいでした。
――― おわり
玉依 「おい、コイツらのこれ…… 柏子は全く反省しとらんし、桐子に至っては、そもそも事の本質を全く理解出来ておらんよにゃ」
櫻子 「良いではありませんか、可愛いのですから」
玉依 「オマエ、そこだけは本当にブレないのにゃ」