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第3話

「おはよー、愛菜」


「…おはよう…」


微笑む悠斗くん。


「お兄さん、帰ってきたんだってね…」


「うん….」


「愛菜…あのさ…朝練ない時はさ、一緒に帰ろうよ、放課後も」


「え?でも…悠斗くんの家と反対じゃん」


「いいよ、別に、それよりも、愛菜といる時間をふやしたいなって」


「そっ、そっか…」


「嫌?」


「え?」


少し間が空く。


私は、口を開く。


「嫌なわけないじゃん!うれしいよ!悠斗くんといられる時間が増えるし」


「じゃあ、決定ね」


「うん…」


悠斗くんは、微笑んでいた。


その微笑みに私の心の中は、少し罪を感じた。


「あとさ…明日、部活、休みになったから…少し遊ばない?」


「え?」


「愛菜が良ければだけど…」


「うん…」


彼の顔は、うれしそうだった。



キンコーンカンコーンー


キンコーンカンコーンー


チャイムが鳴る。


「教室に戻ろう」


私の手を掴む。


教室に入っても彼は、手を離さなかった。


席まで行くと、


「あっ、ごめん…」


急いで手を離した。


顔が少し赤くなる悠斗くん。


かわいい。


そう思った。


前よりも積極的な悠斗くんに私は、少し心を動かされている気がした。


放課後、悠斗くんと帰った。


距離が少し遠い。


一人分が並ぶことが出来るくらい。


しかし、少ししてから、私の手に触れた。彼の手が。


その手は、握る。


ドキドキ


悠斗くんは、照れている感じがした。


そのまま、2人で歩いた。


暫く、街中を歩き、カフェに入った。


悠斗くんが、緊張しているのが伝わった。


彼は、コーヒーを頼み、私は、マンゴージュースを頼んだ。


なかなか、口を開かない。彼も、なかなか、口を開かなかった。


緊張が漂う。


その日は、帰り、家まで送って行ってくれた。


「悠斗くん、今日は、ありがとう…」


「うん…」


「じゃあ…」


私は方向を変える。


「まっ!待って!」


その声に私は、振り向く。


悠斗くんは、私を抱き締めていた。


「好き…」


少し間が空く。


「私も…」


もう一度、抱きしめる。


唇に彼の唇が触れた。


「また、明日…」


そう言い、彼は、その場を去って行った。


私の顔は、林檎ように、真っ赤になっていった。



朝、芽衣ちゃんと真美ちゃんと会う。


「昨日、どうだったの?」


「昨日?」


「何、とぼけてるの!今日、帰り、教えてね」


それと同時にチャイムが鳴る。


教室に入る。悠斗くんが席にいた。


「おっおっ、おはよう…」


「おはよう…」


先生が教室に入って来る。


「日直、号令!」


彼と私は、顔を見合わせ、微笑み合った。



放課後、芽衣ちゃんと真美ちゃんと、3人で帰っていた。


すると、スマホが鳴る。


蓮くんからだった。


"元気?次、いつ会える?"


メッセージが流れた。


「どうしたの?」


「…」


「誰からだったの?」


「蓮くん」


「そっか」


私は、コンビニで買ったポテトフライを、口に運ぶ。


塩気が丁度良い。


更に、2本目を口に運ぶ。


突然、芽衣ちゃんが口を開く。


「ねえ、愛菜、2人に絞るの、どう?」


「2人?」


「そう」


「2人か…」


「それか、芽衣に紹介してくれてもいいよ」


それに続けて、芽衣ちゃんは、


「もし、紹介してくれるなら、蓮くんがいいな」


「…」


「何言ってるの?」


真美ちゃんが言う。


「冗談だよ」


「愛菜は、お兄さんのことが好きなんだよね」


真美ちゃんに突然、言われ、


「え?」


「あーそっか」


真美ちゃんが言い、芽衣ちゃんが言う。


「バレバレだから」


そう言われ、顔が赤くなる。


「かわいい、愛菜」


芽衣ちゃんは、そう言う。


その後、3人でカラオケに行き、歌った。


歌いまくり、食べ、飲み物を飲み、楽しんだ。


歌い疲れると、一緒に宿題を始めた。


「明日、私、ここ、当たるんだ、日直だから」


「それは、残念だったね」


戯れながらも宿題を終え、再び、歌いまくった。


グラスが空になり、


「注いできてほしい人?」


何がいいか、聞き、3人分の飲み物を取りに行った時だった。


「愛菜!」


そう呼ぶ低い声。


蓮くんだった。


「来てたんだね」


「うん…友達と」


そんな気まずい空気が流れている時だった。


「蓮!」


そう呼ぶ声。


女の人が出て来た。


かわいいらしい感じだった。


「彼女?」


「え?いや…」


「私…3人だし…」


「…そうだね…」


更に、気まずい空気が流れる。


「じゃあ…」


「うん…」


私は後ろを振り返り、歩いた。


「誰?さっきの人」


その女の人は聞く。


「いや、別に」


そう彼は答え、方向を変え、その場を去った。


3人は、楽しんだ後、分かれ、帰って行った。



私は、蓮くんと櫂くんとのお付き合いは、結局完全に消滅した。


悠斗くんとは、相変わらず、付き合ってはいる。


でも、私の心の中には、悠斗くんじゃない人がいるのだ。



片想いは、人の心を痛くする。


ある意味、ドキドキがいっぱい。



それから、1ヶ月が経った。


私は、1人、また、恋人が出来た。


彼は、羽田頼くん。


悠斗くんのように、人気者。髪の毛が少し茶色が入っている。


とても、優しい。少しチャラいところもある。


付き合っている人がいることを告げると、


「いいよ、それでも」


そう言い、付き合うことになった。



お風呂から上がり、髪を拭きながら、部屋へ行く。


布団にバタッとなる。


横になり、スマホを手に取ると、夜、悠斗くんからラインが来ていた。


はっ!


顔を起こし、ラインを見る。


前よりも積極的になった気がする…


ラインのメッセージのやり取りが長い。


"明日、練習、休みだから…一緒に帰ろう!

あと、帰り、行きたいところがあるんだ"


"うん!

わかったよ!了解!"


直ぐに既読になり、


"おやすみ、また、明日!"


"うん!また明日!"


私は、バタンとなり、そのまま、眠ってしまった。


外の風が緩やかに吹いていた。


月は、きれいな真ん丸とした形であり、雲から顔を出している。


静かな夜だった。

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