第19話
ザーーーーッ!
ザーーーーッ!
朝から雨が降っていた。
私は、雨の音が好きである。
耳を澄ませながら、布団の中にいた。
ザーーーーッ!
ザーーーーッ!
………
「愛菜、起きて!」
パタンと開いた部屋の扉。彼の声。
しかし…
目を閉じていた。
いや、寝たふりだ。
「愛菜、愛菜…」
「……」
「愛菜…愛菜…」
勿論、耳には、入っている。
彼の影がなくなり、布団から身体を起こすと、
「おはよう、愛菜」
そこにいたのだ。
「…おはよう…」
「何、寝てるフリしてたの?」
「…別に…」
彼の目を騙せていなかった。
微笑んでいる。
私の頭をポンポンとして、
「起きよっか」
「…うん…」
彼は、先に私の部屋から出て行き、階段を降りて、リビングへと向かった。
私は、起き上がったが、スマホを手にした。
すると、メッセージと書かれていた。
ラインに、"悠人くん"と書かれている。
画面を開き、そのメッセージを読んだ。
"おはよう"
"愛菜、話があるんだけど"
"屋上で待ってる"
……
何だろう…
私の頭の中には、彼に対しての罪が浮かんだ。
……
バレちゃったのかな?
聞かれるのかな?
様々な不安と緊張感を走らせる。
……
そこに、
「愛菜!早くしないと遅刻するよ!」
時計を見る。
7時50分。
「やばっ!」
急いで支度を整え、パンをお兄ちゃんが私の口に加えさせ、そのまま、家を後にした。
「うーん…」
走る。走る。走る。
はあはあ
「やばい!やばっ…」
そんな時だった。
前から走ってくる自転車と…
バタン!
その場で、私は、倒れた。
目を覚ますと、黒いぽつぽつとあるものが見える。
「愛菜!愛菜!」
横を振り向き、
「お兄ちゃん…」
「大丈夫か」
「…うん…」
そんな病室のドアの前に立っている男の人。
私と同じくらいの歳だろう。
背丈は、少しねこ背ではあるが、顔は、整っていて、イケメンである。
「本当に、すいませんでした!」
そう言い、深々と頭を下げる。
頭は、そのままである。
それを見たお兄ちゃんは、
「頭を上げて」
そう言う。
その男の人に、お兄ちゃんは、少しずつ近付いていく。
そして、軽く、彼の頰にビンタした。
私は、その光景に目を見開く。
「謝って許されるなら、警察なんていらないんだよ!」
「…」
気まずい空気がその場に流れる。
「どうしてくれるの?あんたじゃ、責任取れないでしょ?」
「…」
「お兄ちゃん!もう、止めて!」
私の大声で、止まる。
続けて私は、口を開き、
「この人が、全部、悪い訳ではないし…私も走ってたから、気づかないところあったし…」
「…」
「本当にすいませんでした!」
再び、深々と頭を彼は下げた。
取り敢えず、その場は治った。
病院の先生曰く、再び、入院することになってしまった。
すると、その日の17時くらいに、その男の人は、私がいる病室にお見舞いに来たのだ。
それは、私が退院するまで、続いた。
放課後の時間くらいに、
"愛菜、大丈夫?"
ラインにメッセージが入っていた。
"大丈夫だよ"
"1週間、入院は、続くけど"
すると、すぐに既読と付いた。
そして、
"大丈夫なら、良かった〜"
"お見舞い、行くから"
私は、願った。
悠人くんと続きますようにって。
告白されそうで怖かった。
だから、私は、願い続けた。
それと同時に、彼に会うことが怖かった私は、少しホッとしていた。
19時くらいなって、
「愛菜!」
叫び声。
「愛菜!大丈夫か!どこも悪くないか!俺のこと、わかるか?」
「大丈夫だよ!どうしたの?そんなに慌てて」
「…はーぁ…」
彼は、ホッとしたようだった。
そんな彼に思わず、私は、微笑んでしまった。
彼もそんな私を見て、微笑んでくれた。
不安は、あるけど、そのまま、続けばいいのにって、思ってしまっていた自分に少し苛立っていた。
悠人くん…
ごめんね…
胸が痛かった。
その日の夜は、あまり、眠れなかった。




