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第11話

私は、夢を見ていた。


目を覚ますと…


目から、涙がすーぅと頰を通り、流れた。



彼のほうを向く。


カーテンがしており、彼の姿が見えない。


……


そうだ!


あの時…あの頃…


彼と約束したんだ…


"もし、今度、会った時…"


「一緒に、海に行こうね」


口から溢れた。


なんで、また、病院で…


彼の病態は、よく、なったのだろうか。


呆然とする。


カーテンが少しチラチラと揺れている。


「海…」


なんで、涙が…


止まらないのだろう。


鼻をすする。



私がまだ、6歳の時だった気がする。


少し涼しくなった風が吹いていた。


木についた葉たちが少し揺れている。


お兄ちゃんと公園で遊んでいた。


「お兄ちゃん!いいよ!」


「行くよ、愛菜」


そう言い、ボールを蹴った。


6歳の私は、そのボールを取らず、追いかける。


公園に出て行ってしまった。


「愛菜!」


そう追いかけながら走ってくる。


「危ない!」


「え?」


……



目を覚ますと、黒く点々とした天井。


「お兄ちゃん….」


「愛菜!愛菜!」


目から、涙を流したお兄ちゃん。


目を覚まして少しほっとしたような顔に変わる。


「愛菜!ごめんな!」


そう言い、私の手を握る。


病院の先生からは、2週間くらい、様子を見てと言われ、そのまま、残った。


お兄ちゃんは、毎日、お見舞いに来た。



翌日、右を向くと、隣の病室のベッドに男の子がいた。


私の同じくらいの歳ぽっく、私と同じくらいの背。


話しかけてみる。


「名前、なんて言うの?」


しかし…


「……」


返事が返って来ない。


「ねえ、ねえ」


再び、声をかける。


「……」


微笑む訳でもなく、口を開く訳でなく。


……


無愛想だった。


それでも、その次の日も、その次の次の日も…


話しかけ続けた。



彼が、私に心を開いてくれたのは、1週間後だった。


それから、彼とよく、話すように。


だけど…


彼の病態は、あまり、よくは、なかった。



ある日、病態が落ち着いた時、


「もしさ…海に行こう…」


「え?」


「もし、今度、会ったらね」


……


彼は、病室を変えられた。


そして、彼の病室は、わからないまま、私は、退院してしまった。



思い出した…


涙が頰を通り、地に、流れていく。


「大雅くん…」


そう口から溢れる。



そんな時だった。


「愛菜!」


病室のドアから顔を出したのは、悠人くん。


流れる涙を拭く。


「悠人くん、どうしたの?」


「…どうしたの?愛菜….」


「何でもないよ…」


「…」


悠人くんは、微笑みながら、


「そっか」


そう言い、いつも通り、宿題とノートを持って来てくれた。


そして、たくさん、彼と話し、微笑んだ。



だけど…


少し、悠人くんの微笑みに、罪を感じた。


ごめんね、悠人くん…


日差しは、少し穏やかに変わっていた。


屋根の上で、子ネコが団欒していた。

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