転生ヒロインの理想と現実
こんな筈じゃなかった。
ヒロインの私が簡素なワンピースを纏い、手に鞄を一つ持って
王都の外れの路地を彷徨い歩く。
物心ついた頃のお母様の部屋で鏡を見た時に私が中学生の頃にプレイした
『イケメン王子と恋をしよう』のヒロインにソックリで、
この世界に転生したと気がついたの、主人公のエレミア ダフラシアによ!
それは男爵令嬢の私が、俺様王子や近衛隊に所属するライバル令嬢の兄の
次期公爵やほぼ王宮の魔法の塔に引き籠りっきりのクール魔導師サマに
宰相の息子の可愛らしい双子兄弟にヤンチャ騎士なんて
イケメン達が私を囲んで愛を囁いてくれる乙女ゲームの世界。
全エンディングをコンプリートしたから攻略は大丈夫の筈だったのに、
逆ハーなんて危険を冒さないよう気をつけて本命で危険の少ない
王子ルートを選んで攻略も最後を迎え断罪エンディングまでいったのに、
まさか悪役令嬢のグラーシアがあんな電波だとは思わなかったわよ。
焼けた剣を掴んで左腕を消失させながらもギラギラした目で睨みつけてくる…
知っているシナリオじゃ悪役令嬢のグラーシアは私に、
『男爵令嬢風情が王子にまとわりついて鬱陶しい』とか
『盛りのついた泥棒猫が学園に迷い込んで煩いわよ』とかの聞えよがしの嫌味や
取り巻きを使った無視と嫌がらせをしてくるから王子達が怒って
断罪してくれるのに、それがどうして王子と私があの電波に
ざまぁされなきゃならないの!?最近流行りの悪役令嬢モノだったなんて
私は絶対に認めないから!
家から持ち出した宝石や金貨も買い叩かれ残金も少ない…でもコレって
ざまぁ展開後の、庶民落ち成り上がりモノかもしれないし
早く雇ってくれそうな食堂かギルドの受付を探せってフラグかしらね。
そこで元令嬢の気品を隠しきれないヒロインが粗末なエプロン姿で
懸命に働いているって、イケメン達が通うようになって物語が始まる
新シリーズなのかもしれないわ!
だったら王都を出て田舎過ぎない程度の地方に行ったほうがいいのかも。
そうと決まったら早く馬車を拾って行かなくちゃ!待ってて、私のダーリン達。