表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生公爵家令嬢の意地  作者: 三ツ井乃


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/116

漫遊記の後始末と結納と

「まぁ、そういう訳ならしょうがないか…ブーヨ(アレ)の事はともかく

グラーシアには僕と共に王都に戻って貰いたい」


手出しをする事もされる事も無い異世界のヤバ過ぎる国を、何時までも気にしていても仕方無いと

ハインリヒは話題を切り替えると本来の目的を告げた。


「元々グラーシアには早急に王都に戻って貰いたいと思っていた所に『暴れ大公』ブームだ。

だからアレを王宮に召喚せず英雄よろしく僕直々に断罪した後、奴を王都まで護送するのに

ヒロイン()がいないと格好がつかないんだよ」


「それからきちんとした婚約式をしないとね」


ハインリヒの言葉をカルロが継いだ、未来の王太子妃だ婚約者と呼ばれてはいるが二人の間に

正式な婚約の約束が取り交わされた訳では無く、今の所はあくまで王とファングル公爵の間で

口約束をしたに過ぎない。それには理由があってこの世界の教会は基本的には

離婚を認めてはいないからというのと、結婚というのが経済行為に当たるからだ。

土地をはじめとした財産が人に付属して考えられていると共に、人自身も労働力や子を産む

生産力を持つ財と見做されていた為に結婚については庶民であろうとも厳格な決まり事がある。

故に婚約ともなれば、正装した司祭の前で指輪を交換して婚約証明書に家長がサインをする。

そこまでする正式な婚約を破棄しようものなら、契約を反故にした処罰の対象となり重い罰は

宣誓の見届け人を務めた教会の面子を潰した事への見せしめの一面をもっているのだ。

だから婚約と言っても、本決まりになるまで口約束に留めておくのが一般的で

先日のベオヘルク(馬鹿)との婚約破棄は口約束留まりだったのだからアレで済んだのだ。


婚約式が結納に当たるのだろうとグラーシアは理解して頷き了承する。


「おめでとうございます」


侍立するマリアが祝福の辞を述べ壁際に控えるメイド達が一斉に頭を下げるのを見て

クラウドもつられて頭を下げ、口を挟む事無く控えていたマティスも貴族らしい礼を捧げた。


「では本当に?」


家長である父のいない今、兄であるカルロが代わって頷く。


「議会でも承認されて正式に通達があったよ、2週間後に婚約式を挙げて教会から公示されて

1カ月間の公示期間に異議申し立てが無ければ結婚出来る、ただ王太子殿下との結婚だから

すぐにとはいかずに結婚式は早くても半年後になる予定だけれどね」


未来の王の結婚ともなれば国事行為だ。周辺国への通知や招待客への招待状発送といった外交面の

根回しから、挙式の会場として王都の大聖堂を押さえたり、披露宴を行う為に王宮の大ホールの

設えを準備したり庭を開放して都民へ振る舞うワインの発注とすべき事は山のようにある。

それにファングル公爵家でも、臣籍降下するベオヘルクとの結婚を想定しての嫁入り道具が一転

王家への輿入れ、未来の王配として恥ずかしく無いだけの支度をと大わらわだったのだ。


「承知致しました、すぐにでも出立出来るよう準備致しますわ」


「そうしてくれ、それとクラウド君も未登録の異世界人だから一度王都に来てくれないか?

未登録の異世界人だからね、今回の事と能力とかの調書を取りたいんだ」


グラーシアの返事を聞いて、もう一つの案件も片付けてしまおうとカルロがクラウドに

王都まで着いて来るよう命じた。


「それは大丈夫です、両親共々シナノでお世話になりますのでよろしくお願いします」


クラウドは一家でシナノに移住したいと言ったので、異世界人だという事より

精霊使いとして優秀なので大歓迎とグラーシアが手を鳴らして喜びを露わにすれば

クラウドの方も懐かしい諏訪の湖を望み、御柱祭を再現出来て信州名物や

日本食を食べられる生活が送れるのならと移住を希望しているので問題は無さそうである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ