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転生公爵家令嬢の意地  作者: 三ツ井乃


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異世界転生の醍醐味

「先ずは開墾と入植よね」


お父様にお願いしたけれどギルドからも人を寄越して貰わないと、職員を呼んで

新たな領地の開墾の為の魔獣討伐と、土木工事を専門としている土魔法の使い手を

派遣して貰って整地と道路整備を進めながら上下水道工事もやらなくては。

そこから大工さんに入って貰って住宅と工場を建てながら

田畑の開墾と牧場の用意かしら?商人を呼び寄せ市を開いて

ギルドの開設と教会の誘致もしなくてはね。


関係各所に依頼やお願いの手紙を書く羽根ペンを置いて

そろそろ一服しようとマリアにお願いをします。お客様にはお紅茶を用意しますが

自分だけなら緑茶がいいわとワガママを通しています。


「煎茶を渋めにお願い」


「承知致しました」


お茶自体高級品で庶民は白湯や塩湯を飲んでいると聞いていますが幸い家は公爵家、

贅沢かとも思いましたがそれなりの階級にある者は

それなりの生活をしないとならないとかで、窯元に注文して誂えた茶器で

お茶位ケチケチせず飲めとお父様は言いますので甘えさせて貰っています。


「旦那様が既にシナノ領の整備をとギルド出張所の誘致を済ませ、

木樵に潅木の伐採間引きと野生獣の討伐を始めさせております」


「流石はお父様だわ、ファングル領開発の経験がおありですから

本当に頼もしい限りですわね」


「今回はお嬢様のアラクネ糸と布で得た資金がありますから

お金の悩みが無くて楽だと仰っておいででしたわ」


お茶請けにお葉漬けの皿と爪楊枝を出してくれながらマリアが

現在の進行状況を教えてくれます。私一人で国造りをしろと丸投げされていたら

今頃きっと途方に暮れていたに違いありません。本当に助かったわと

お葉漬けを咀嚼しながら更地に出来た箇所の地図を眺めます。


ギルド出張所が来ているのなら次は教会ね、教会はただの宗教施設ってだけでなく

条件さえ満たせば欠損した四肢を蘇らせたりも出来る程の病院としての側面が強く、

その万能感すら漂わせる施設を呼ぶにはそれなりの寄進と、

信者の参拝が見込める栄えた町でなければならないのは、ヒール等の回復魔法の

使える神父様やシスターが足りないからとのこと。


回復魔法の適正のある子の元には神殿だけでなく王家を始めとした貴族からの勧誘が

凄いらしくて、大体の子は清貧がモットーの神殿より高給と出世を選んで

なり手が不足してるからだとかで、ファングルにある唯一の教会も

お母様が降嫁の際にコネで何とかシスターを一人連れてきたからだとか。


「教会が欲しいのですけれど、難しいかしらね〜」


ウチにヒールの使えるハミル兄様がいるからと、シスターを引き上げさせて

自分の領に教会を誘致しようと画策した方々がいらしたそうだけれど、

お母様が嫁入り支度にと連れて来たシスターを取り上げるのか?と

お上品な口調でしたが王妹の立場を強調し、横紙破りをはね除けたのよと

元気に高笑いしていた事を思い出します。


「お嬢様、神殿からお手紙が来ておりますわ」


本来なら貴族階級の人間は紙を繰りペンを走らせるのもメイドや側近に任せて

読み書きは自分の手でしない、それは下々の者のする事だからだ。


だから何でも自らの手で行おうとし、実行出来るグラーシアは

令嬢としては奇異の振る舞いをしていると言える。

それでもメイドにもメイドとしての職務があるのを成長と共に理解したので

手紙の開封と読み上げはマリアに任せている。


「神殿から昨日のアラクネ布やタペストリーと絨毯の寄進と多額の喜捨に

感謝しているとありますわ、それと王太子殿下との婚約を祝福しますと、

そして新領シナノの発展を祈念しシナノに

神殿を建てないかとの申し出にございます!」


驚いたのかマリアの声が高い、教会ではなく神殿を建設ですか…

凄いお話で私もビックリしましたわ。


「それはとてもありがたいお話ですわ、是非にとお返事をしませんと」


教会ではなく神殿ともなれば何人もの聖職者が寝起きし、学び、修行する

神聖な建物になりますわねぇと、神社仏閣建築で言う所の宮大工的な

専門の職人さんを呼ばなくてはなりませんわと算段しながらお返事を書こうと

茶碗を下げるようお願いします。


「神殿は流石に驚きましたけれど、やはりアラクネ糸100%深紅の絨毯を

総合計で5キロメートルと、アラクネ糸100%50メートルの創造神と豊穣の女神の

巨大タペストリーを贈ったのですもの、

教会の誘致は絶対巧くいくと思っておりましたわ」


200年位前に元の世界から召喚された勇者様がメートル法の

単位を普及させて下さったお陰で、そんなに混乱せずに済んで助かりました。


職人さん女工さん達の技術向上と、ファングルの新たな産業を世間に対して

アピールを兼ねて神殿に奉納したのですよね。


生前ウチの県知事さんも県のゆるキャラの林檎頭のクマちゃんをお供に

銀座にピーアールしに繰り出したのを真似してみましたの。

その年は県内で立て続けに災害が起きて、観光業に風評被害が出るのではとの

懸念からか、心労で面差しが大分変わった知事さんが頑張っていたのを

孫達とテレビで観ていたからよく覚えているの。


人の上に立つ者はその知事さんみたいに頑張らなくてはと、

ウチの生産加工技術の粋を集めた絨毯とタペストリーを皆で運んで

神殿の大聖堂の中に敷き、タペストリーを壁に飾ったわ。

教皇猊下はニコニコ見物なされておられましたけれど枢機卿や大司教様は

総アラクネ布が!とか騒いでおられましたわね。


そんなに喜んで頂けたのならとても光栄ですわね、神殿は善男善女の信仰を集めた

あの御寺様から御名を頂戴しましてゼンコウジ神殿としたいと

神殿へお願いしましょうと、テーブルに便箋を置いてペンを取りました。

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― 新着の感想 ―
お茶にお葉漬け、善光寺って、信州やないか〜い! 誰がなんと言おうと、お葉漬けは自分の家のが世界一美味いです。ですが、たまに寄り合いとかで食べられる、よそのおうちのお葉漬けもひと味違って大好きです。 …
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