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転生公爵家令嬢の意地  作者: 三ツ井乃


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お見送りの餞別なのかしら

収穫の秋を前に国に帰りたいとお父様にお願いします。

仮にも公爵令嬢なので勝手に出歩いたり出来ませんのでそれなりの支度と

護衛を用意して貰いませんとなりませんからねぇ。


「ならばその件、王に申し上げておかねばな」


仮にも未来の王太子妃なのだから所在をハッキリさせとかなくちゃならないのと

準王族扱いとなるらしくて護衛もそれなりに揃えなくてはならないから、

今までのように馬車を仕立ててお父様の見繕った私兵団の若いのを何人か付けて

サクサク帰国とはならないみたいなのが不便ねぇ。

それならと荷物を纏めたり王都の屋敷の冬支度を女中さん達に指示したりと

許可が下りるのを待ち、その間にお付き合いを求めての

お茶会やらサロンへの招待があったのでご近所さんを中心に顔を出しました。


今まではお母様がそれなりに婦人会を仕切ってましたから私はその恩恵で

それなりに優遇されてましたが先日の夜会での騒ぎで

どうなるのか不安もあったけど村八分やシカトなんて事も無く、

ベオヘルグ王子があんな人だったなんてと驚きましたわと

口々に慰めの言葉を貰いました。


いくら臣籍に降るからとベオヘルグに領地をなんておかしいと思っていたのよとか

竜騎士として武官になるからなんて理由を信じる者がおりまして?とか。

竜騎士というのは竜を御して竜に乗って戦える騎士の事で

まず野生の竜は手懐けられないから卵を手に入れ育てた個体を使うらしいのよね、

それでも気難しく乗りこなすにはセンスがいるのと

騎乗出来ても飛行しながら槍や剣を使えなくてはならなくて

本物の竜騎士は貴重、一国の姫を娶れる程には。


だからギルドに竜の卵を採って来させる依頼を出せる財力と

竜を飼育出来る環境と世話係を雇える身分、

一応竜を従えて騎士の格好をすればそれなりに他国へハッタリをかませると

王子が竜騎士になるというのはよくある話だけに、

本当に竜を御したのならともかくナンチャッテ竜騎士の

武官として外交に携わる為だからと授かったお飾りタイトルで

領地を貰うのはおかしいと感じていたんですって。


でもあの騒ぎで結婚するまで伏せていた私が"転生者"だという事と

アラクネ糸の安定生産の仕掛け人というのが明らかになって、

山に囲まれ未開の地ながらも新たな領地を授かる理由が私にあると

皆さん納得されたみたいでして、それでも私が王太子妃…つまりは

次代の王妃になるのならその新領はどうなるのかと

他人の懐を気にするような下世話な、

ワイドショーのネタで盛り上がる主婦の井戸端会議的な会話が

実に上品に交わされたのだったけれど。


そういった経緯もあって下される領地はどうしたのかとか実に小市民的な

思惑もあって王宮へ王様に帰国のご挨拶と伺候致します。


「冬を前にファングルに帰るとな」


「申し訳ございません、領民が待っておりますので」


王様の下問に答えて帰国の許可を頂戴しまして下がればいいかなと

側に居るお父様に目をやりましたが、


「流石に救荒食を考え普及させた貴族令嬢だな、民の暮らしを第一に考えている」


「それは買い被りにございます…」


だってノザーナこと野沢菜は、私が食べたくて頑張った結果だし。


「そういえばベオヘルグの馬鹿の件が無ければ奴の所領となった山の中だが、

未開発故旨味は少ないが化粧領代わりに改めて下賜しようと思っている」


王様の発言にやっぱり新領は頂けるのだと脳内でガッツポーズ!


繰糸紡績とは言ってるけど繰糸はしてるけど紡績まで手を出していないのよねぇ、

新しい土地に行く事が出来たならそっち方面に手を出してみたいと

常々思っていたの、化粧領に下さるというなら好きに出来るわね。


「償いにはならぬが受け取って貰いたい」


そう肺腑を絞るように口になされた王様って義理堅いのね〜と

王宮を辞して帰国したのでした。

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