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転生公爵家令嬢の意地  作者: 三ツ井乃


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12/116

其々の思惑と印象と

第三王子に振られたファングル公爵令嬢が王太子殿下の婚約者にとのニュースは

次の日には王都中に広がっており当然王宮から放逐された

ベオヘルグの耳にも届いていた。

軍の兵舎の一室に居を移し一般兵として新たな生活を始めるようにと

僅かな私物と支給された生活用品を与えられた小部屋で棄てた筈の元婚約者が

兄でありこの国の王太子と婚約したと聞かされ、

愛した女には逃げられ一人馬鹿を見たと

不満を備え付けられたゴミ箱にぶつけて蹴りつけている頃。


逃げたエミリアも地方都市 スレイプニルの商人と冒険者が溜まる食堂に居た。

神の乗物である8本足の神馬の名を冠するこの都市は馬の一大生産都市であり

定期便馬車を運用した運輸業と軍や貴族の私兵団に軍馬を供給する軍事産業や

馬の特性である俊足を用いた情報で栄えていた街だけに王都の噂も届くのは早い。


エミリアは汚れた皿やスプーンを洗いながら先程まで食事をしていた商人の

『ファングル公爵令嬢が王太子殿下と婚約』の噂にキリキリしていた、


何でよ!悪役令嬢が王太子と婚約ですって!?私なんかこんな下町の汚い食堂で

ムサいオッさんとか悪人顔の冒険者相手に

愛想を振りまいて働かなきゃなんないのにあの女は断罪されるどころか

ベオヘルグ王子よりもハイスペックなハインリヒ様に乗り換え婚約だなんて!


ガシガシと藁を束ねたタワシで平民階級では一般的な木皿を擦りながら

エミリアは胸の内に溜め込んでいた不満を桶の中へぶつける。


身分と顔で選んだ筈のベオヘルグがまさか身分を剥奪されたなんて

男爵の地位ではどんなに願ったって無理だからこそ玉の輿に乗って

華やかな社交界の中心で皆に愛され幸せな未来が…消えてしまった!

地位と権力と財力の無い男なんてヒロインに相応しく無いわよ絶対、

まさか悪役令嬢ザマァ物な筈……違うわ!私こそが真のヒロインなんだから。


ラノベやネット小説を漁って得た知識を駆使して攻略対象の中で

一番身分の高そうな王子に狙いを定め婚約者を断罪するよう仕向けて奪ったのに

結果は食堂の女給として汚い皿を擦る毎日、

まさかのザマァ系転落ヒロインだなんて認めたくないと何時の間にか声が出ていて

それを食堂のオーナー兼女将や客の耳に届いているなんて夢にも思わない。


電波なんて便利な単語無い世界、

女将や客はエミリアを王都で興行している舞台のヒロインに憧れて

女優になりたいと家出した良家の出だけど頭の弱い娘なんだろうなぁと

可哀相なものを見る目で遠巻きにしている。

行く所が無くて困っているというエミリアに同情していた女将も

現状の認識をせずに陰で不平不満ばかり口にしている様子にいい加減追い出すかと

夢見る夢子ちゃんを持て余していた。

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