表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ミス・リードの館(短編集)

それでも愛してるから

ツイノベおよびプライベッターからの転載です。

とっても短いです。

「やめて……っ! お願い、やめて!」


 そんな私の懇願に耳も貸さず、彼はにやりと嗤った。


 いつもそう。私の言うことなんて聞いてくれやしないのに、自分の要求ばかり押し付けてきて。

 気に入らなければ暴れて、私は涙をのんでぐっとこらえて言葉を尽くすが、結局は彼の要求をのむしかない。


 何でこんなことやってるんだろう。

 そう自問自答を繰り返し、もう2年は一緒に暮らしてきた。それでも離れられないのは、偏に私が彼を愛してるから。そして、口には登らなくても彼も私を愛し、必要としているから。


 一日中彼に傅き、家事をこなしていると無性に辛い時もあるけれど、気まぐれな彼の笑顔一つでコロリと許してしまう私は、どう考えても所謂チョロインだ。


 夜は夜で寝かしてもらえない時すらあるというのに、じぶんでもよく倒れないと苦笑する。





 そして今も、彼は私を嘲笑うように私に背を向ける。私はそれを必死に追いかけた。グチャグチャにされて捨てられるのだけは絶対に嫌だ。

 何としてでも彼の足を止めなくちゃ。全てが縺れ、絡まって取り返しのつかないことになる。もう、涙にくれるのはごめんだ。


 私はやっと彼においつき、背中から腕を回して抱きついた。








「ダメよ、まあくん! それ、ママの大事なネックレス! 返してええええ!」


 彼――――二歳になる息子のマサキは、にやりと笑って私のネックレスをグチャグチャっと両手で揉み上げた。



 ああまた絡まった鎖をほどかなきゃ。

いたずらをしようとして見つかった時の子供の笑顔は天使で悪魔。とってもいいお顔でにやりと笑います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 私もかつて、大切なゲームソフト(PS盤、入手不可)でDJごっこをされて泣きました…。 ええ。それはいい笑顔でした。はい。
[一言] ミスリード大好物です。 短くさくって読めて最後にやられたって思うのがいいですね。 子供って小悪魔です。絡まるならまだしも、うちのは何度もぶち切ってくれました…。
2016/09/13 22:23 退会済み
管理
[一言] まさかまさかのラストですごくビックリして笑っちゃいました!物の見方を少し変えたり、情報を少なくすることで違う話に見えたりする文章が、とても魅力的ですね! これからも頑張って下さい!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ