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配信! ダンジョン情報! ~新人女子3人パーティの下流冒険者脱出作戦~  作者: 於田縫紀
プロローグ

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2/10

第2話 パーティ名は青い薔薇

 レナードは、私やアリアと冒険者学校の同学年。

 女子5人は全員同じクラスだったから、学校での2年間、少なくとも午前中の共通授業は一緒。


 更に言うと、寮の部屋も一緒だった。

 寮は元々6人部屋で、同じクラスの女子5人全員で1部屋を使っていたから。


 しかし私は、レナードとほとんど話した事は無い。

 多分アリアも同じだ。


 アリアと私は、学校でも仲が良かった。

 専門は違うけれど共通授業は一緒に勉強もしたし、雑談その他も結構した。


 だからアリアが元孤児で、

  ○ 教会の孤児院にいた事

  ○ 治療回復魔法や聖属性魔法の適性があった為、聖職者にさせられそうだった事

  ○ 教会の教えがあわなくて、冒険者学校の試験にあわせて逃げてきた事

を知っている。


 アリアも同様に、

  ○ 私の実家が、隣国の貧乏騎士候家である事

  ○ 20歳以上年上の評判が良くない貴族と婚約させられそうになって、逃げてきた事

を知っている訳だ。


 しかしレナードについては、私もアリアもほとんど知らない。

 授業の合間や寮の自由時間等は、彼女は概ね図書室から借りてきた魔道書を読んでいた。

 昼食も教室の端の自席でパンをかじりながら、やはり読書。

 特に誰とも会話する訳では無く、黙々と。


 話しかければ、最低限の受け答えはする。

 寮の部屋の掃除なんかもさぼらない。

 でもそれだけで、誰かと関わる事がほとんど無い。


 会話が無い事以外にも、この大陸では見かけない黒い髪とか、女性なのにレナードという男性名を名乗っているとか。

 そう言った“普通とは違う感”が、レナードの周囲に漂っている。


 更に彼女は入学当初から魔道士として、他の生徒の数段上の実力を持っていた。


 例えば入学試験の魔法実技、レナード1人だけ満点だったらしい。

 自分から5腕(10m)の位置から5腕(10m)ごとに30腕(60m)まで設置された6個の的を、開始から10数える間に全部撃破したとの噂だ。


 以降の魔法実技の試験でも、レナードは毎回ほぼ最高点をとり続けていた。 

 これは噂ではなく、私がこの目で見た事実。


 そしてレナードは、冒険者ライセンスのC級に合格している。

 同期でC級に合格しているのは、他に1人だけ。

 私やアリアを含む残り72人は、D級までだ。

 なお入校時には生徒は100人いたけれど、26人は落第その他で学校を去っている。


 つまりレナードは、私達とあまり面識はないけれど、実力は確か。

 何故声をかけてきたかはわからないけれど、私とアリアにとってこれははチャンス。

 彼女がいれば新人3人でも、専業冒険者として最低限の討伐活動は可能だろうから。

 それだけの実力が彼女(レナード)にはある。


 ただ何故声をかけてきたか、疑問はある。


「でも本当にいいの? 私達2人とじゃ、それほど深い階層には行けないと思うよ。レナードの実力があればパーティを組まなくても、冒険者ギルドで見合うパーティをマッチしてくれるんじゃないかなあ」


 アリアの言う通りだ。

 冒険者ギルドは、実力にあわせてパーティを斡旋してくれる。


 ちなみに私やアリアは、

『今はちょうどマッチ出来るお勧めパーティは無いですね。もう少し迷宮(ダンジョン)の5層までで訓練した方がいいと思います』

と言われてしまった。


 しかしレナードの実力があれば違うだろう。

 優秀な魔道士は人数が少ないし。

 新人であっても、大手パーティなら先物買いで雇用する筈。

 だから『新人女子を正当な理由で採用してくれるパーティは無かった』という事はない筈だ。


 レナードは少し困ったような表情で黙り込む。

 そして10数える位の後、小声で答が返ってきた。


「実は知らない人が苦手。会うのも話をするのも一緒にいるのも。だから全く知らない人とパーティを組むの、無理」


 えっ!?

 なんというか想定外の言葉に、どういう反応をしていいのかわからなくなる。

 ただアリアは私と違った。


「本当みたいだね。魔力に嘘の気配がないから」


 アリアは聖魔法の応用で、人が嘘を言っているかどうか判別出来る。


「でもいいの? 私やエリナじゃ、レナードの実力に見合わないと思うよ」


 失礼な、そう言いたいが事実だ。

 同期卒業だけれど、冒険者ライセンスの級が違う。


「お願い。私は冒険者をしたい。でももし迷惑なら諦める」


 その言葉も嘘ではないのだろう。

 少なくともアリアは、そう判断したようだ。

 

「迷惑なんて事ないよ。私達もレナードがいれば、パーティ組んで冒険者をやれるしね。エリナもそう思うよね」


 アリアがそう判断するなら大丈夫だろう。


「勿論。私からもお願い」


 そんな感じで、私達はパーティを組むことになった。


 その後何度か話した結果、

  ○ レナードが教室で話さなかった理由は、外国出身で言葉がまだ不自由で、他人と話す事が苦手だったから

  ○ 常に本を読んでいたのは、魔法の勉強の他、言葉の勉強と、話しかけられないようにする為。

  ○ それでもこのままでは冒険者として活動出来ないので、どうしようか悩んでいた。そうした折、エリナとアリアの会話を聞いてチャンスだと思った

  ○ しかしすんなり会話出来る自信が無くて、自室で想定問答を1時間くらいかけて作ってから話しかけた

なんて事がわかった。


 更にレナードという名前の由来についても。


「冒険者だから、強そうな名前という事でレオナルドにしようと思った。でもそこまで強そうな名前と自分とでは合わないと思って、レオナルドの一部を取ってレナードにした。本名は別にある。でも外国の名前だし発音が一般的では無い。だからもう使わない」

 

 レナードによればそんな理由。

 しかし本名や出身の国については、まだ教えて貰っていない。


「今ではもう行く事が出来ない、遠い国」


 レナードのそんな説明ではわからないので、更に聞いてみた。


「まさかこの大陸の外って事?」


「もっとずっと遠い国」

 

 レナードはそれだけ言って、それ以上は何を聞いても教えてくれなかった。


 私が知っている限り、人が住んでいる国があるのはこの大陸だけ。

 海の先には見知らぬ大陸があるという伝説はある。

 しかしその大陸にたどり着いて、そして戻ってきた人はいない。 

 歴史の中で何組も調査船団は出ていると教わったけれど。


 だからこの大陸の外という事は無いだろう。

 私はそう思うのだけれど。

 

 ◇◇◇


『遠い国』関係といえば、『青い薔薇(ブルーローズ)』というパーティ名の由来もそう。

 パーティを組んで冒険者ギルドに提出する為には、パーティ名を決めなければならない。

 でも私とアリアはいい案を思いつかなかった。


「うーん、迷宮(ダンジョン)遊撃隊ってのは?」


「なんかあわないよ、女子3人じゃ。愛戦士というのはどうかなあ?」


「うーん、なんか変」


 こんな感じで。

 見かねたのか呆れたのか、レナードがこんな案を出してくれたのだ。


「なら『青い薔薇(ブルーローズ)』は? 青い薔薇には夢がかなう、奇跡という意味がある。でも他にいい案があったらそれでいい」


 なかなか格好いいな、私はそう思った。

 そして私とアリアでは、それより良さそうな案を思いつかなかった。

 結果、この名前になったのだ。


「でも青い薔薇って見た事がないなあ。レナード、何処で咲いているの?」


 アリアの言葉で、そういえば私も青い色の薔薇なんて見た事が無いなと気づく。

 実家の庭にバラ園なんてのもあったけれど、そこにも青い薔薇なんて無かった筈だ。

 レナードの返答は簡単だった。


「今では行く事が出来ない、遠い国」


「それって前にレナードがいた国?」


「そう」


 何処なのだろう。

 この件についてはやっぱりレナード、それ以上教えてくれない。

 何処にあるのかも、何故どうやってレナードがこの国に来たかも。 

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