作用
赤色の翼が夜の月になびいた。
街灯りが、闇夜を照らして。
頬杖をついて、月を眺めていた。
穴ぼこだらけの欠けばかりの月を。
夜の雲は、昼より高いような。
メトロノームは、夜空に響いた。
鼓動が、凪いだ。
幽霊亡霊、嗚呼。
好都合に組み上げられたこの世界の。
片隅に咲いた、一つだけの花。
色褪せてく記憶に。
「さよなら」も言えぬまま。
青色の瞳は、じっと月を眺めた。
街灯りだけが闇夜を照らして。
花瓶に水をやって、胸がひどく痛んだ。
心の穴のような、感じがするんだ。
夜の雲は、昼より大きかった。
メトロノームしか、聞こえなかった。
鼓動が、凪いだ。
幽霊亡霊、嗚呼。
夜の入道雲を君は知ってるかい。
眺めているだけでつかめなかった。
流れてく入道雲に。
「さよなら」も言えぬまま。