3 王子に提案させる
第1王子の提案に異議を唱える財務長官。その夜次男によって殺された。
3 王子に提案させる
王子とマリエは会議室に入った。国王の隣だ。会議進行表には数々の議題が上げられ王子の提案は6番目だ。根回しもしてある。よほどのことがない限り否はないだろう。議題は順調に進んだ。王子の番まで回った。
王子は手持ち資料に添って朗々と説明した。金山の採掘、養殖事業だ。マリエールは映像を映し説明効果を高めた。およそ7分で説明は終わった。質疑応答だ。まず国王が質問した。
「金鉱山は半島の先端から海側にあるそうだな。危険ではないか。また養殖事業とは面白い事業だが成功するのか。」
これにはマリエが応えた。
「金鉱山は以前から存在があると判ってました。海岸に砂金が流れて来ますから。王子の御指摘によりカノウのものに調査させましたところ半島の先端から海にかけて金鉱山があること判りました。まず半島を掘って行き十分に掘ってから海に向かいます。安全は確保出来る筈です。ブリは水槽で永く生きことで知られています。比較的若いブリが取れた時しばらく成長させて収穫する試みは今でも行われています。卵から養殖する試みは王子の発想ですが、不可能ではないと思われます。どちらも失敗する可能性が高いのでカノウが
行い。成功すれば半額利益を国に渡すやり方を取っております。失敗すればカノウの損失です。」
国王は判ったと言った。
財務長官が意見を出した。
「いくら半島であり海であっても、国の土地に変わりありません。それを国に利益の半額だけ納め後はカノウと王子の取り分ではむしのいい話しではないですか。」
財務長官は腹黒そうな男だった。以前から自分の娘が生んだ第2王子を推す構えだった。マリエは応える。
「国王陛下がおっしゃる通り、成功率はかなり低い難しい事業です。年数もかかります。事業に関する一切の費用はカノウが負担してます。失敗しても国に負担を求めるつもりはありません。王子の頭の中には国に貢献する策が沢山あります。その資金として準備しております。これだけ才覚持ち実行力ある第1王子こそ国の将来担うべきと思いませんか。」
財務長官が何かいいかけたところを国王が諌めた。
「2人共にそのくらいにしておけ。利益配分は私決めたことだ。将来の国王は今後決めることだ。これ以上議論は要らない。」
議論は其処までになった。進行は次の議題に進めた。財務長官は第1王子やマリエを睨みつけた。
その夜狂乱が起こった。財務長官の家で、次男が財務長官と妻、長男を殺し逃走した。知らせ受けて捜索して次男は捕獲された。本人は声したと言っているらしい。元々犬猫を殺したり気狂いじみた行動の多い人物だったし、目撃情報も多数あるので次男起こした事件だと言うことは明らかだが、次男の単独の行動か、裏で手を引くものがいるのかが話題になる。陰謀論を口にするのは次男派だ。陰謀巡らせたのは第1王子とマリエになる。
そうした話しは第1王子にもマリエにも届く。誰が第2王子派なのかもはっきりする。事件に第1王子もマリエも関わりがない。たまたま事件が議論があった日起こっただけだ。生き残った家族が第2王子の母親で王城に住んでいるので彼女が跡を継ぐのも難しい。国王は早々国の直轄地とした。
陰謀論を唱える第2王子派、派閥の色が鮮明になる。