1 王子の秘書
マリエは国に採用された。王子の秘書に任命された。
1 王子の秘書
王城の会議室で採用の式が式があった。国王からの挨拶。人事部長からの注意があって採用者は各所の担当者が職場に連れて行く。一応説明はあった。第1王子の秘書だそうだ。ここ何代か国王は官吏を妻に迎え、今の王妃も官吏だった。彼女が前任者だが残された資料はない。必ずしも秘書が王妃になるわけでもない。秘書がなかった時もあれば、他の吏員を妻に迎えた国王もいる。ただ秘書に選ばれる官吏は美人で優秀で王子と年回りがあうことが条件だ。自分は王子の護衛だ。秘書の仕事は皆目見当がつかない。寧ろ世話人達のほうが仕事が近いと思う。と話してくれた。マリエは王子の世話人に引き渡された。
王子の世話人から、今王子は御伽衆と会談中なのでそちらに行きますと言われ連れて行かれた。
御伽衆というのは大貴族の次男三男や令嬢達だ。以前は御伽衆から王妃が選ばれたそうで確かに美人揃いだ。ほとんど女性なのは意味があるのだろう。
マリエが到着すると注目された。あまり歓迎はされている感じでない。思い切ってマリエから挨拶する。
「今日より、国の官吏として務めますカノウマリエと申します。第1王子様の秘書に任命されました。ご指導ご鞭撻宜しくお願いします。」
ヒソヒソ噂話が聞こえる。15歳で科挙を首席で合格した才色兼備の貴族令嬢などなど。第1王子は応える。
「君のことは聞いている。もっと才能や美しさを鼻に掛ける女性だと思ったが、そうでもないようで安心した。しかし秘書は必置ではない。問題があれば首にする。そう心得よ。」
マリエは心得ました。と応えて会談が終了した。
翌日マリエは王子の部屋を訪れた。マリエは書類を王子に渡し説明をした。
「毎日のスケジュールと長期の予定です。問題ないでしょうか。」
王子は苦い顔をして
「今月から国の幹部の会議に出るように言われている。それ以外のスケジュールはない。」
マリエはきつい顔になった。
「それは王子が今迄子どもだったからです。国王としての自覚を持つように幹部会議の出席と私を秘書に当てたのです。まさか幹部会議に無策で臨まれるつもりではないですよね。」
マリエは項目と概略の書かれた紙を王子に渡した。
「王子として提案すると良いと思われるものを上げてみました。日数がかかるものと短期に効果が上がるものを組み合わせて提案するのが良いと思います。」
王子にも実現すれば国力が上がり、民の生活が豊かになるものばかりだと判った。
「カノウでやれば良いのではないか。」
マリエは悲しそうに王子を見つめた。
「父には全て伝えてあります。一部はやっています。しかし一貴族が何処まで出来るでしょうか。国は知識があるものがいれば無理にでも奪い、その者の未来まで奪い兼ねません。それよりも王子に私の命もカノウの未来も委ね方が良いと考えました。ご指示頂けたら
詳細を説明します。」
凄い事だと王子にも判った。
「私がお前の命やカノウの未来を保証すると思うのか。」
マリエは毅然と言う
「私達の最終奥義はこの国を滅ぼす力があります。我々にそれを使わすほど、王子は愚かではないと信じますが。」
話し合いが続き、初回は養殖と金鉱山の採掘になった。
王子は国の幹部会議に出席することなっている。マリエは王子か提案すべき内容を提示する。