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男だと思っていたネトゲ友達が、同じクラスの美少女だった  作者: おとら@9シリーズ商業化


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膝枕

 ……あれ? 俺は何をして?


 なんだが、頭がふわふわする。


 ……柔らかくてもちもちした感触がある? これ、なんだろ?


「ひゃん!?」


「……ひゃん?」


 その声で現実に帰り、目を開けてみると……そこには口元を袖で抑えている松浦さんがいた。

 少し恥ずかしいそうにも見える。

 というか……どうして、俺はこのアングルから彼女を見ているのだろう?


「そっか、これは夢なんだ」


「ゆ、夢じゃないよぉ〜!」


「えっ? ……ええっ!?」


 頭が一気に覚醒し、その場から飛び起きる!

 辺りを確認すると、何やらテンマさんがニヤニヤと眺めていた。

 そうだ、俺はオフ会に来て……あの後、情けないことに気を失ったのか。

 あんな風に立ち向かったのは、生まれて初めてだったからなぁ。


「や、やっと目を覚ました……大丈夫?」


「う、うん、平気そう」


「えへへ、良かった」


 そう言い、花が咲いたように笑った。

 あまりの可愛さに、再び気を失いそうになる。

 俺は咄嗟に顔の前に手をやり、彼女の顔が見えないようにした。


「くっ……眩しい」


「何してるのー?」


「いえ、あんまり見ないで頂けると……」


「どうして? 膝枕してる時に散々見たし」


「膝枕……?」


 膝枕、それは男の子の夢。

 ラノベや漫画のシチュエーションで、幾度となく見てきた。

 俺には起こりえないものと言いながら、いつかは誰かにやってほしいと。


「うん、してたよー。その間、ずっと顔を見てたし」


「……うァァァ!!?」


「び、びっくりした〜。どうしたの、急に」


「ど、ど、どうしたのって!? 膝枕だよ!?」


 あの柔らかいのは太ももだったのか!

 なんてことだ! あんまり記憶にない!


「べ、別にそれくらい……」


「おほん! 見てる分には楽しいのだが、そろそろいいだろうか?」


「テンマさん、騒がしくてごめんなさい」


「いやいや、気にしないで。さて、スレイ君……まずはすまなかった」


 どう見ても大人であるテンマさんが、俺に向かって頭を下げてくる。


「あっ、えっと……?」


「本来なら、彼には主催である俺がもっときつく注意すべきだった。それを、君に任せて申し訳ない。アキラ君も、改めて申し訳なかった」


「そんなことないですよー。テンマさんは一度言ってくれましたし。空気を壊したくないから我慢するって言ったのは私ですし」


「い、いえ! 俺はたまたまというか……アキラさんには返しきれない恩があったので。ただ、どうしてアキラさんが女の子なのかは疑問ですけど」


「それに関しては俺にはなんとも。アキラ君の声を聞いたことがあるのは、きたメンバーでは君くらいだったからね」


「あっ、確かに……そもそも、他の皆さんはどちらに?」


 周りを見ると、いつのまにか和室には俺達三人しかいなかった。


「時間がきたから、みんなには帰ってもらったよ。もちろん、君のおかげで楽しく終えられた」


「ここ、二時間貸切だったんだ。今さっき、みんなが帰ったところ。私達は君が起きるまで、待ってようって」


「あっ、そういうことだったんですね。じゃあ、俺もお金を払わないと……」


「いやいや、君の分は俺に払わせてくれ。迷惑をかけてしまったし、君は何も飲み食いしてないからね」


「で、ですが………」


「ここは俺の顔を立てると思って。そうしないと気が済まないんだ」


 テンマさんのことは知ってる。

 ゲーム内でも責任感が強くて、よくボス戦などで皆をまとめていた。

 ほとんどソロの俺も、よくお世話になっていた人だ。


「……わかりました」


「助かるよ。それじゃあ、俺はこれで。この埋め合わせは、何処かですると約束する」


「は、はい! 色々とありがとうございました!」


「はは、それはこちらの台詞なのだが。やはり、ゲームには本質が出るんだね……君は仲間がピンチになると、いつも敵に立ち向かっていたし……それじゃ、またゲームで会おう」


 そう言い残し、店から出て行く。


 ただ……相変わらず、俺の頭は何がなんだかわからず混乱していた。


 結局、アキラさんは誰だったのだろう?









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