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男だと思っていたネトゲ友達が、同じクラスの美少女だった  作者: おとら@9シリーズ商業化


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初対面?

家に帰ったら、おとめのお世話をして、それから部屋に行く。


パソコンを起動して、先に予習をしておく。


「えっと、今日は何を狩るんだっけ?」


前にアキラさん……松浦さんは、ランクを上げたいって言ってた。

そのための武器や防具の素材が欲しいとか。


「……そういや、そういうところあったよね」


俺がランク上げ手伝おうかって言ったら、それは負んぶに抱っこで嫌だと。

その代わり、素材集めとかは手伝ってくれると嬉しいって。

自分も足手纏いかもしれないけど、素材集めは手伝うからと。

あと、自分とやる時は弱い装備でお願いしますとも。


「なんというか、変な所で律儀というか負けず嫌いというか」


そういうところは、アキラさんぽくって違和感がなかったんだよなぁ。

もしかしたら、兄妹だから似てるところがあるのかもしれない。

そんなことを考えながら、装備確認をしていると……ライン通知が来る。


『スレイさん! 準備できたよっ!』

『こっちもできました。既に部屋は作ってあります』

『ありがとう! それじゃ、すぐに行くねー!』


ラインを終え、そのまま待っていると……俺の作った部屋にアキラさんが入ってくる。

俺は少しドキドキしながら、久々にヘッドホンをつけてマイクで話す。


「あ、あー……聞こえますか?」


「うんっ! 聞こえるよー!」


「それなら良かった……えっと、改めてましてスレイです」


「ふふ、変なのー。でも、確かに初対面だね。改めてましてアキラですっ」


ヘッドフォン越しからでも、その声の破壊力はすごい。

いや、ヘッドフォン越しだからこそか。

俺は一生懸命に動揺を抑える……今の俺はスレイ、今の俺はスレイ。


「えっと、とりあえず……対面しない時はアキラとスレイって呼び方でいいですか?」


「うん、そうした方がややこしくないかも」


「了解。それじゃ、好きなクエスト貼っていいですよ」


「ふふ、相変わらず敬語だね。あっ、もちろん気にしないから好きにしてね」


「あぁーラインとは別に、どうもアキラさんって認識が強くて。じゃあ、これから普通にするね」


本来のアキラさんは年上で、俺のゲームの先生だった。

当然、常に敬語だったし。


「うん、無理はしないでね……貼りました!」


「確認しました……良しっと」


「それじゃ、お願いします!」


「ええ、こちらこそ」


そうして、ゲームをスタートさせる。



……なるほど、本来はこんな感じに話してたのか。


アキラさんは、怪我をした後遺症で声と手が衰えたって言ってた。


だから凡ミスもしたし、操作ミスもしていた。


大変だろうなぁって思ってたけど……こっちはこっちで大変そうだ。


たった今、ゴリラ型のボスモンスターに追われてアキラさんが逃げ回っていた。


「きゃぁぁぁ!? こっちに来るよぉ〜!?」


「落ち着いて! 怒ったってことは体力が少ない証拠だから! さあ、振り向いて閃光弾を使って!」


「う、うんっ! ……えいっ!」


「ゴァァァ!?」


閃光弾を使うことで、敵が目くらまし状態になる。

でも、それは数十秒しかもたない。


「今のうちにっ!」


「うんっ!」


俺は双剣で、彼女は斧を使ってダメージを与えていく。

両方とも火力に優れた近接武器なので、閃光弾との相性は悪くない。

一気に敵を攻撃していき……消滅する。

そしてゲームクリアの文字が浮かび、素材を剥いだら待機時間となる。


「ほっ、どうにが倒せたね。一回も死ななかったし、良い素材入るかも」


「うん、なんとか……緊張したぁぁ」


「それにしてもすごかったね? いつもあんなだったり?」


「うぅー恥ずかしい……だって怖いもん。でも、やっぱり話しながら遊ぶのは楽しいね!」


「確かに盛り上がりはするよね」


こっちもあたふたするけど、それもまた楽しいし。

わーきゃー言っている感じとか、俺はリアルでは味わえないし。


「それじゃ、今後はこういう感じでいいかな?」


「うん、俺の方もやりやすいし」


「それじゃ、私はバイト行ってくるねー。また時間あったら連絡するから」


「了解です。バイト頑張ってね」


「ありがとー!」


そこでログアウトの文字が浮かび、部屋にひとりぼっちになる。


他にやる相手はいるけど、何となくそんな気分になれずにゲームをやめた。


俺はベットに寝転んで……さっきまでのことを思い出す。


「……楽しかったなぁ」


リアルを知ってるからか、変に着飾ることもしなかった。


いつもはスレイっていうか、ベテランっぽくしてるつもりだし。


そうなると……リアルでゲームをやるっていうのも悪くないのかもしれない。


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