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リゾート・イン・ブルーの喧騒 -支配人黒崎雪乃は本日もにっこりと客様をお出迎えする。-  作者: 鳴海ニノ
第一章 ホテル清掃係黄瀬実李は支配人への恩返しのためにフロント業務をする。
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5. 支配人黒崎雪乃の仕事ぶり

扉がガッチャっと開いた音がした時


黒崎支配人が、この掃除が終わった頃に、手伝いに戻ってきたのかと、思わず口を開いた。


「支配人・・・!」


しかし、入ってきたのは、浅野さんと、舞花さんであった。


「綺麗にできてますね!実李さん、すごいです。」


えらいですねーとニコニコ舞花さんが、実李を褒め称え


「歯ブラシ、一つ忘れてるから補充しとくね。」


と、すかさず浅野さんチェックが入った。


「黒崎支配人は?202号室のゲロ布団対応に行ったまま帰って来ないんですが・・・」


浅野さんが、ちょっと待ってね、と言って玄関の方に戻っていった。


「ほら、これ、あったわよ。メモが玄関の郵便受けに入ってた。」


「・・・え?」


『14:38 申し訳ありません。最初のチェックインの方が早めに来てしまって、対応に行きます。浅野さんと舞花さんに伝えましたので、ここのチェックはお二方がします。よろしくお願い致します。 黒崎 』


と書いてある、メモが玄関に落ちていた。どうやらドアの郵便受けに入れてあったのだ。


「そうだよね・・・支配人だしフロント業務があるよね・・・」、仕方がない、と思いつつ、ならば一緒にやろうと言わなければ良いのに、とやや憤る思いでもいた。


「よくあるのよ、あの子、多分いつも本気で掃除手伝う!!って思ってるはずなの。でもこっちからしたら、当然、フロント業務だって大変じゃない?できるわけないのにねえ。まあ、でもいつもこうやって律儀に、メモ残して行くのよ。今日だって、チェックイン7件あるのよ?」


実李は固まった、あれ?自分の把握ミスだろうか。今日はアウトイン3件、チェックイン2件のはずだ。浅野さんに限って、把握漏れなどあるはずがない。


「あ、そうか、新人だもんね、知らないか。そのうちあなたも呼ばれるわよ。このマンションタイプの建物の他に、一戸建てタイプの部屋・・・というかヴィラが3つあるのよ。そこも含めて、チェックイン7件なの。私たちなんて、そこのアウトイン含めての掃除だったのよねえ、舞花さん。」


と、肩こりに事欠かないわあと言いながら、肩に手をやりながら話す浅野さん。


「そうですよねえ、浅野さん。そもそも、今日のワタワタの元凶って、あの大山さんですよねえ・・・雪乃さんてば、人手不足すぎて一人でフロント回してるものだから、よく、この人大丈夫?みたいな人も採用しちゃうんですよね・・・特に男性。男手が欲しいからって。あの人、明らかに、ぐうたらクソ野郎なのに。」


いつもはののほほんとした、舞花さんの口から繰り出されたぐうたらクソ野郎と言う言葉に、若干の驚きを覚えつつ


実李はこの、更なるリゾート・イン・ブルーの、思いがけない新たな情報の拡張について、かなりの衝撃に打ちのめされていた。


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