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どん底だらけの俺の世界に自称魔法少女がやってきた。  作者: 夏嶋咲衣


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9/21

8.始まりの行方

いつもありがとうございます!次回は木曜日更新予定です!

 授業後、朝日と俺は裏庭の壁にもたれ体育座りで、横に並びぼんやりと空を眺めていた。

 なんて切り出したらいいかわからないし、何をすればいいのかもわからない。

 それは朝日も同じなようで、話そうとしては躊躇う素振りを何度もしている。


 困ったな。

 

 右斜め前に立つ別校舎を見つめながら、考え事をしていると時折雲が差し太陽を隠す。

 そして、また、太陽が照りつけ校舎が俺達のいる場所に影を作った。


 影は学校の裏側をあらわしているみたいだ。

 生徒それぞれが生活をして、気を使ったり気を使われたりして、まるで公平のように見えるが、実は光を浴びられる者は僅かで、特別な人以外は影だ。

 だが、光と影が存在するのは必然で、変える事は出来ない事実だ。

 光を浴びたい者だけではなく、影に埋もれたい者もいる。

 なのに、全てが憧れていると思い込み、それでなくてはまるで程度が低いと見下す。


 自分の理想をおしつけるな。


 昔、友達が言った言葉。


 俺は何となくその言葉を思い出していた。


 もしかしたら、各々の望みが人を傷付けているのかもしれない…。

 俺や朝日の正義が他の人間の正義かはわからないように、何が正しいか決めるのもそれぞれなんだ。


 だから、俺達は俺達が決めた物を目指すしかない。

 今からその道を探す方法を考えるんだ。


 朝日は軽く咳払いをして、

 

「昨日は来てくれてありがとう」

「いや、こちらこそ。朝日が送ってくれたメール見て考えたんだけど、正直まだごちゃごちゃで整理つかないよ」


 頭を抱えて愚痴っぽく話してしまう。


「う~ん。そうだよね。クエストは急に現れる時もあるから、出来たら傍にいられるといいんだけど…」

「いや、四六時中って親でも無理じゃない?」

「まぁ、そうだね。せめてあの人と会う時は近くにいたい…でも、仕事中は…」


 朝日ははっと何か閃いた様な顔をすると、俺の方を向き満面の笑みで言葉を発したんだ。


「マネージャーになる!」

「は?」


 朝日がマネージャー…?


「陽向くんのマネージャーだったら、仕事中は一緒でしょ?」


 俺は慌てて両手を横に振り、


「いやいや!無理でしょ!」


 朝日は不満気に頬を膨らませた。


「どうして?それが一番安全だと思うのに」

「朝日は子役を前にやってたから、もう忘れてるかもしれないけど、俺くらいしか仕事がないタレントに専属マネージャーなんてついてない」


 『あ…』と呟くと何か考えているようで無言になった。


「思い出したか?だったら、マネージャーが無理だって事も理解したよな?」

「じゃあ、考えてても仕方ないし、直接陽向くんの事務所に聞きに行こうよ!」


 朝日はいそいそと立ち上がり、俺の手を引き無理矢理立たせようとしたが、非力な女子では難しい様で、『早く早く』と俺を急かす。

 しぶしぶ立ち上がる俺。

 朝日は小走りを数メートル前に進んでいたが手招きする。


「バス来ちゃうよ~」

「分かったよ」


 菅原さんが首を縦に振るか?

 いや、ないな。


 俺は小さく溜め息を吐くと、朝日の後を追いかけたんだ。


 俺達をはっている奴らがいる事も知らず…。




 2つの影が陽向と朝日がを走り去って行く姿を見ていた。

 楽しげに笑う陽の光を纏った少年とは対照的に、陰の光を纏った少女は漆黒の髪を日本人形の様に整え浅黄色の振袖を着ている。

 光を失った双眸は陽向達が去った方へと向けたまま、微動だにしないのだが、それが不満であろう少年は煽る言葉を発した。


「天ちゃ~ん。陽向くんと朝日ちゃん、一緒に行動してるみたいだよ?」


 彼のピンク色の髪が少女を覗き込んだ拍子にふわふわと踊る。

 悪趣味な笑みに嫌気がさした少女は何の反応をする事もなく、いつもの様に無視を貫こうとしたが、彼の次の一言によって抑えていた感情は器から溢れ落ちてしまった。


「また陽向くん死ぬのかな〜」

「は?」

「え〜?何?何?やっぱり陽向くんには死んでほしくないなんていうんだ?敵だよ?冗談いわないでね〜」

「黙れ」

「マジ!?いや~困っちゃうよ。僕達、生き残る為にペアになったのにさ、別の男が気になるんだ。これ、裏切りだよね?許せないな。許せないな」


 冗談の様な軽い口調だが、少年の背後に透明な獅子が現れ少女を威圧するが無表情に戻した顔は動じる事はなかった。


「勝手に言ってろ。私は別に陽向がどうなったって興味なんてない。さぁ、今日は一旦戻るぞ」


 少女が自身の胸に手を当て目を閉じると透明な扉が現れ、少女の身体を誘う。一瞥すらする事もなく扉の中へ消えた少女を肩を竦め見ていたが、消えかけた扉に慌てて、


「僕も帰るよ〜」


と、彼女の後を追いこの赤みを帯び始めた遊歩道を後にした。





 夕方の事務所はほぼほぼ人はいなく静かだった。


「は?」


眉間に眉を寄せて少しキレ気味に菅原マネージャーが低い声を発した。


 そりゃそうだ。

 高校生がいきなりマネージャーになりたいと言ったって、ふざけてるのかと思うだろう。

 一瞬怯んだ様に見えた朝日だが、ニコッと微笑んだ。


「陽向くんの専属マネージャーになりたいんです!」


 菅原マネージャーは朝日から視線を反らし、俺に話をふってきた。


「で、陽向、『輝く』の台本だが、まだ出来てないところも」

「聞いてください!私は本気で陽向くんのマネージャーになりたいんです!」


 諦めない朝日は俺と菅原マネージャーの前に回り込み、話し続ける。


「本気なんです!雑用でも何でもやります」

「好きなアイドルでもいるのか?」

「え?」


 菅原マネージャーは溜め息をつき、自分の机に戻るとPCを開き仕事を始めた。


「ハッキリ言って高校生に出来る仕事なんてないよ。陽向、変更有りの台本だが持ってけ」


 菅原マネージャーは腕を伸ばし、俺に薄い冊子を渡してきた。

 俺は慌てて受け取り、


「ありがとうございます」

「うん。陽向、お疲れ様」


 にっこりと笑う菅原マネージャーだったが、暗に出てけをオブラートに包んだだけな気がする。


「陽向くん、お疲れ様!私はもうちょっと話す」

「いや、お前が帰れってこと」

「分かってる」


 俺はこそっと耳打ちするが、朝日によって扉を閉められてしまった。

 

 大丈夫かよ…。




 何故か次の日に事務所に向かうと菅原マネージャーから、礼儀とか業務を厳しく教えられている朝日がいたんだ。


「陽向、朝日がマネージャー補佐でお前につくから」


 しれっとした顔で業務事項を伝える軽さの菅原マネージャー。


「陽向くん、よろしくね!」

「クライアントには」

「「礼を尽くせ!」」


 軍隊の様にビシッと敬礼した朝日と長官のごとく、声をあげる菅原マネージャー…。



「菅原マネージャー、一体どうしたんですか?」


 菅原マネージャーは上げていた右手を下ろし、


「朝日、根性あるよ。それにしつこくてな」


 あぁ。

 菅原マネージャーの根負けと言うことか。


「ありがとうございます」

「まぁ、人手不足でもあったし、陽向ならなんとかするだろ?」


 菅原マネージャーはふっと顔を緩ませる。


「陽向とよっぽど一緒にいたいんだな~」

「は?そんなんじゃないですよ!」

「まぁ、いい。台本読んだか?」


 俺はカバンから台本を取り出しながら、確認をする。


「読みましたよ。俺の撮影は何日程度ですか?」


 菅原マネージャーはPCでスケジュールを確認しながら、


「11月12日から多分週3日ほどおさえてもらう事になる。NGの申請はなかったと思うが大丈夫か?」

「はい。いつでも大丈夫です」

「了解。さて、それまでに朝日を使い物になるようにするか…。腕がなる」


 恐ろしい呟きが聞こえたが気が付かないふりをする。

 

「朝日、ボヤボヤするんじゃないぞ!」


やり直し人生3 三日目、四日目 晴れ

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