3 男子組/女子組
きら「僕とあいなで作ったゲームはどうだった?」
けんた「良い感じだったよ」
きら「そう? なら苦労して作った甲斐があったってもんだね」
目の前にいるのは女の子…に見えるが実は男だ。10人中10人が彼を見たら女の子と答えるくらいに女の子の姿をしているが、男である。
名前はきら
けんたが中学生になってから唯一の同性友達だ
2人は適当な飲食店に入ってそれぞれ注文した食事を頂いているところだ
けんた「ゲームの完成度はどうだ?」
きら「今バグが無いか確認し終えて、後は誤字脱字を確認するくらいかな。それが終われば僕の仕事は終わりかな」
きらはあいなと一緒にゲームや漫画を作っているようだ。もともとこの2人はアニメやゲームが大好きなのだが、それを誰かと一緒に楽しむのではなく、1人で楽しむような感じだったのだが、けんたとなるみと接点を持ったことで、お互いの趣味を理解し、今も仲良くしているようだ
けんた「きらはあいなと付き合わないの?」
きら「付き合わないよ。今そういうのいいし。あいなもそんな気持ちがないとはっきり言っていたしね」
フォークにパスタを巻き付けておいしそうに食べるきら。けんたはデザートも注文しながら会話を続ける
けんた「なんかさ、最近なるみがやけに恋愛の勉強をしようと言ってくるんだけど、何か知らない?」
きら「え、なにそれ」
けんた「知らないんだ」
きら「この前のゲームのことなら詳しいことは何も知らないよ? 突然あいながあのゲームを作るからって資料やらPCを用意してきたから」
けんた「そんなものか」
きら「それよりさ、あのアニメ見た? 個人的にはあれのコスプレしてみようと思うんだけどどう思う?」
けんた「あの魔法少女の? 良いと思うけど材料費あるの?」
きら「ふっふっふ。舐めないでよね。こう見えても僕は少しくらいお金を稼いでいるんだから」
けんた「ほー。まぁいいですよ?」
そんな感じで食事を楽しむ男子組であった
一方そのころ
なるみはあいなの部屋にやってきていた
なるみ「…というわけなの。全然進展しないんですけど、何か案はある?」
あいな「けんたの恋愛の興味なさを知っていたけど、ここまで反応がないとはね~。全くなるみを意識していなかったの?」
なるみ「なかったね。お小遣い減らされることを嫌がったが7割、私が作ったご飯を食べたいが2割、あとは何となく内容に興味があったのが1割くらいかなー」
あいな「そこまで分析しているのに全く進展がないなるみであった」
なるみ「うっさいなー。それをどうにかするためにこうして相談しているんでしょ? あのゲームをする前にも恋愛映画を一緒に見たんだけど、開始5分くらいで寝てたもん」
あいな「これまでなにかとアプローチしていたみたいだけど、一回方向を変えてみたら?」
なるみ「方向?」
あいな「なるみがアプローチするんじゃなくて、他の誰かがけんたにアプローチして、それで意識させるとか。そもそもあいつなるみにアプローチされていることに気付いていないんじゃないの?」
なるみ「それでその人がけんたを好きになったりしない? そんなの嫌だよ?」
あいな「でもねー。なるみは普段から距離が近いし、私はけんたに興味ないし。それにもしそうなったら略奪すればいいじゃん」
なるみ「嫌な奴じゃん」
あいな「恋はルールなしのストリートファイトでしょ? 反則も何もないよ」
あいなは退屈そうになるみの話を聞きながら、手にドライバーを持って機械を弄っている
なるみ「さっきから何作ってんの?」
あいな「小型カメラと盗聴器つきのぬいぐるみ。欲しい?」
なるみは無言で両手を前に差し出すと、あいなはぬいぐるみを1つ渡す
あいな「じゃ少しは進展したらまた話を聞かせてねー」
なるみ「はいはい」
なるみは持ってきていた手提げ袋をあいなに渡す。彼女は中身を確認した後、満足そうな顔をした。
手提げ袋の中から星が飛び出すと嬉しいです(^^♪