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龍翔記  作者: GIN
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0099話 リュウVS執事 その2

リュウがやられる。


手助けに向かいたいが、目の前の騎士がそれを許さない。


貴族の自己兵団である騎士団の団長と思しき男。


実力は侮れない。


しかもいまは盾を構え、防御に徹している。


「へっ、守ってばかりじゃオレは倒せねぇぜ」


「倒す必要などない、時間を稼げば我々の勝ちだ」


悔しいがその通りだ。


もしリュウがやられたら、2対1になる。


「オーガ流剣術奥義:両刃!」


2本の大剣でアイベールを斬りつけるが、盾に防がれる。


「ちっ!」


オレとアイベールは完全に膠着状態だった。


「さて、こっちはすぐに片付きますね…アイベール、そのまま時間を稼ぐのです」


「ああ」


執事はそれだけ言うとレムが倒れている場所へ移動する。


そして、レムを何度も踏みつける。


「さっさと素材を出しなさい、お前たちの仲間が死んでいいのですかっ!」


「…!」


リュウを吹き飛ばすほどの強烈な蹴りをレムに連発する執事。


「ふぅ、本当に硬いゴーレムですね」


「お前が素材を出さないとアイツを殺しますよ」


執事がリュウの方向を指さしながらレムに言う。


「…リュ」


「んっ、何ですか?、ようやく素材を出す気になりましたか」


「…リュウサマガ…オ、オマエナ…ドニ…マケルハズガナ…イ」


レムの微かな声が聞こえる。


その言葉をl聞いた執事はすさまじい威力の蹴りをレムに放つ。


「生意気なんだよ…ゴーレム風情が…アイツはもうトドメをさすだけで…」


執事がリュウのいた方向を見る。


そのとき、全身がヒリつくような気配を感じる。


オレとアイベールも戦いを忘れて思わずその気配がした方向を見る。


執事も驚き固まっている。


そこにはリュウが立っていた。


さきほどまで毒の攻撃にやられ、殆ど虫の息だったはずだ。


だが、そこにいるリュウはオレの知るリュウではなかった。


全身炎に包まれている。外部からの炎で焼かれているのではなく、内側からあふれ出ている炎のようだ。


炎が人型をしているような姿に見える。


だが、リュウであることは分かる。


そんな不思議な感覚だ。


リュウ(炎)が自分の左腕を見ている。


自分に起こっていることが何なのか理解できていない感じだ。


「リュウ!」


オレは思わず声をあげる。


その一瞬だった。


オレの目の前で盾を構えていたアイベールが炎に包まれる。


「ぐぁぁっ!」


リュウ(炎)がアイベールの頭部に手を置いている。


溢れだす炎はリュウ(炎)を手からアイベールの全身をめぐり、アイベールを焼き尽くした。


その炎は魔法で作られているもののようだ。


床に燃え移ることはなく、アイベールの鎧や盾はそのまま残っている。


ただ肉体だけが焼き尽くされていた。


「アイベール!」


そこまで終わってやっと執事が声をあげる。


しかし名を呼ばれたアイベールはすでにこの世にいない。


「アイベールがこんなにあっさりと…バケモノが」


執事がナイフの柄から無数の刃を飛ばす。


さきほどリュウに毒を与えた攻撃だ。


だが、リュウ(炎)は微動だにしない。


執事が飛ばした刃はリュウ(炎)に触れた瞬間に蒸発して消えた。


「なっ!」


驚いて声をあげる執事。


だが、その目線の先にリュウ(炎)はもういない。


オレもその姿を追い切れていない。


そして部屋の端にリュウ(炎)はいた。


手にはレムを抱きかかえている。


執事の攻撃で身体にヒビが入り、手や足がもがれていたレムだったが、リュウ(炎)の手の中で見る見る修復していく。


「なっ、いつのまに!」


執事が自分の足元を見るが、そこに居たはずのレムの姿はなかった。


「リュウサマ…」


レムの言葉に頷いたように見えるリュウ(炎)。


次の瞬間にはオレの隣にいた。


オレにレムを手渡してくる。


「へっ、レムのことは任せろ」


オレはそういってレムを預かる。


リュウ(炎)は暴走しているわけじゃない。


ちゃんとオレやレムのことは分かっているようだ。


「ふっ!」


リュウ(炎)が執事に背を向けている格好になったことを隙ととらえたのか執事がナイフで攻撃をしてくる。


しかしリュウ(炎)は一瞬で体勢を入れ替えると、突きだされた格好になっている執事のナイフを持った右手を炎を纏った手刀で斬り落とした。


「ぐっ!」


さらに腕を伝って炎が燃え広がろうとするが執事が二の腕から先を自分で斬り落としてそれを防ぐ。


「な、なんだこいつは…」


執事は残った左手や両足に仕込んでいた暗器を一気にリュウ(炎)に向かって打ち込んでくる。


しかしそのすべてはリュウ(炎)の炎の前に一瞬で燃え尽き、消えていった。


そして執事が驚きの声を上げる前にリュウ(炎)は執事の頭部を掴んでいたのだった。


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