0098話 答える声
「リュウ!」
ガイルの声が聞こえる。
その直後に聞こえるガキィンという金属音。
アイベールの攻撃をガイルが受け止めたのだろう。
執事の攻撃で俺が視界を失ったことは分かっているのだろう。
アイベールの狙いはガイルの足止めと時間稼ぎだろう。
そうしている間に執事が俺を倒せば2対1の状況を作り出せる。
鎧を着て盾を持った騎士が時間稼ぎに徹すれば、いかにガイルといえどもそう簡単に倒すのは難しい。
そして俺は手足のしびれも感じてきてた。
手に力が入らなくなり、握っていた刀を落としてしまう。
「ふふふ、念には念を入れてですよ」
俺はその言葉と共に側頭部に蹴りを受ける。
即死系の毒ではないのは、おそらくこの執事が相手を甚振って殺すことに喜びを感じるからだろう。
「リュウサマ!」
レムが俺の懐から飛び出す。
「重力属性魔法:加…」
魔法を唱えようとしたところでレムの声が途切れる。
そして聞こえる破壊音。
「邪魔するんじゃありませんよ、ゴーレム風情が」
レムと呼びかけようとするが、しびれで口もうまく動かない。
「頑丈ですね…それなりの衝撃を受けたと思いますが…ただまぁ、暫くは動けないでしょうし、素材を出させるまでは壊すわけにはいきません」
執事の言葉が終わると同時にヒュンという金切り音が聞こえ、俺の腹にナイフが刺さったのが分かる。
「ぐぅ…」
「ふん、しぶといですね…」
俺は考える。
視界はゼロ、身体を動かすこともできない。
そして、それらの毒が消える時間は分からない。
しかし執事は知っているだろう。
おそらく毒が切れるまでにトドメを差しに来るはずだ。
ガイルの手助けも難しそうだ。
レムもいまは行動不能尾に陥っている。
なにか打開策はないか。
「まだ闘志が死んでいませんね、気に入りませんねっ!」
執事の蹴りが俺の顎にヒットする。
暗器は使っていないようだ。
やはり甚振るのが目的。
「命乞いしてみなさい!」
言いながら蹴りを繰り出してくる執事。
俺は口から大量の血を吐く。
「ふん、もう飽きました、さっさと殺して素材を奪うことにしましょう」
「ぐっ!」
胸に激しい痛みを感じる。
そして呼吸がうまくできなくなる。
暗器を使った攻撃だろう。
くそっ…
ここで死ぬのか…
…
………
いや、まだだ…
まだ死ねない…
何かないか
龍闘気…龍の因子…
なんでもいい
俺に力を貸してくれ
龍の因子…
意識が遠のいていく。
俺は自分の身体が後ろに倒れていくのを感じていた。
力を…
龍の因子…
何かないのか…
答えろ…龍の因子
答えろ…『炎龍』
俺の意識の中に声が響く。
ただ一言。
《応 》
とだけ答えた。




