表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍翔記  作者: GIN
95/692

0095話 それぞれの役割

「…誰だ?」


「…」


城壁の上という普通の場所でないところで邂逅した二人。


互いに殺気を隠してはいるが、それぞれ自分が相手の存在に気付かなかったことに驚いていた。


只者ではない。


それが共通認識だ。


一瞬で姿を消す二人。


キィンキィンという金属音だけが聞こえる。


恐ろしく速い動きで攻防を繰り返す二人。


影にとってはこの戦闘は余計だった。


依頼主への報告へ向かうだけの予定だったのだ。


そもそも戦闘をしたところで報酬は増えないし、危険が増えるだけだ。


影はどうやってこの場を離脱をするかを考えていた。


そしてそれはもう一人の人物も一緒だった。


全力でないとはいえ自分の動きに付いてきているだけで十分に脅威だ。


そして相手が全力とも限らない。


早めに離脱する方が得策。


こうして互いの認識が一致している二人は次第に攻防の数を減らしていき、距離を取る。


そして攻撃が届かない距離を取り、影は城壁を降りる。


相手が追いかけてこない確信はあった。


なぜなら相手も隠密活動中のようだったからだ。


一瞬で倒せる相手であればともかく数合打ち合わって分かったがそれほど簡単な相手ではない。


だとすると無理に戦う必要もないし、追いかけてまで倒しに来るとは思えない。


そしてそれは的中したのだった。


「詳しいことは分かりませんが、こちらの屋敷を監視している素振りがありました」


「グゼフのことに関係していそうだな」


「へっ、そいつの素性は分かるのか?」


「いえ、数合打ち合った感触ではかなりの強者だということだけです」


「ふーん」


ガイルが影を見ながら言う。


「へっ、お前がそういうならかなり強いんだろうな」


「恐れ入ります」


「まだ報告はあるかの?」


カルロスが話しを戻す。


「ええ、バウトマン辺境伯からエリーン伯爵へ婚礼の際に祝い金が送られることになっているようです」


「祝い金?」


「なるほど、エリーン伯の狙いはそこですか」


「たしかバウトマン辺境伯テレーザ嬢以外に子供がおらんはずじゃの」


「へっ、ということはテレーザと婚礼して祝い金、将来的には辺境伯領土も自分のモノにって考えか」


「だろうな」


「なんかそんなの嫌だな」


アイリスは嫌悪感を感じているようだ


だが、辺境伯にとっても王都で地位のあるエリーン家との繋がりは魅力的だろう。


互いに自分の利益を優先するところは、辺境伯を含めて正に貴族らしい考え方だ。


「調査結果は以上かの?」


「はい」


カルロスの問いに影が答える。


「まとめると依頼の理由は貴族への貢ぎ物、で、財政は苦しく、そのため刺客を使い依頼の品を奪おうとした、ということですね」


「そして辺境伯との繋がり、祝い金、果ては領土か…」


ラウルと俺がまとめる。


「なお、エリーン伯爵の周囲の人物に怪しいものはおりませんでした…が」


「が?」


「執事の男のみ一切の情報を入手できませんでした」


「どういうことだ?」


「私は事実のまま報告をしているだけです」


「なるほど、では執事の男は要注意ということですね」


「それでは、報告を終えましたので私はこれで」


影がすっと消える。


「相変わらず愛想のないやつじゃのう」


「にゃー(隠密っぽいけど顔とか出してたな)」


「ふむ、じゃがあの顔が本物とは限らんがな、もちろん名前のカゲロウもじゃがな」


さんじゅーろーの疑問にカルロスが答える。


「へっ、ともかく襲撃者を雇ったのはエリーン伯で間違いなさそうだな」


「そうですね、そこは間違いないでしょう」


「執事も何か関わっていそうだな」


「僕はその城壁にいたヤツが気になる」


マルタンが言う。


「そうだな、さっきの男は僕たちより圧倒的に強そうだった」


「…そんな男が互角だったような強者があたいたちの組織にいたかな」


「心当たりはないね」


「うん、魔導士にもいないね」


5人には心当たりがないようだ。


「執事の男に加えて、城壁のやつも要注意ってことだな」


俺が言う。


「そうですね…同じ人物の可能性も考えられますが」


「にゃー(いま考えても分からないだろう)」


「ああ、さんじゅーろーの言う通りだな」


「さて、この後の予定だが、俺とガイルはエリーン家へ行く」


「依頼の報告と報酬の受け取りをお願いします、もう襲撃はないと思いますが警戒だけは怠らないでください」


「ああ」


心配性のラウルに俺は答える。


「それからマルタンたちはラウルとの戦力分析を行ってくれ」


「分かった」


ラウルの返事に合わせて5人も頷く。


戦術士であるラウルはパーティの実力を知っておく必要がある。


仲間になった5人の能力をラウルに把握しておいてもらうための措置だ。


「アイリスはミコトの世話を、レムとさんじゅーろーはアイリスの手伝いを頼む」


「分かったわ」


アイリスの返事に、レムとさんじゅーろーも頷いて答える。


「カルロスは悪魔憑依のことを調べてほしい」


「ふむ、あわせて龍闘気のことも古い文献で調べてみよう」


「ああ、頼む」


こうして俺たちチーム:龍翔<ドラゴニア>はそれぞれの役割を果たすべく行動に移る。


そして俺とガイルはエリーン伯爵の屋敷に向かうのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ