0009話 占い師を探して
老師の残した手紙から占い師ジーナがアイリスの薬を入手する鍵であることが分かった俺たちは、さっそくジーナのことを調べることにした。
「うーん…なにもないなぁ」
「ダメか」
アイリスが小屋の中を調べていたが、あの手紙のほかにジーナのことが分かるようなものはなかったようだ。
俺は近くを通りかかった行商人と取引を行うついでに占い師ジーナのことを聞いてみたが、何も知らないとのことだった。
ただ、老師が手紙をやり取りしていた方法のヒントはつかむことができた。
「アイリス、聞いてくれ」
「どうしたの?」
「行商人から聞いた話しなんだけど、老師が手紙を届けるために利用していたのは、ルイムの町にあるギルドで雇った冒険者なのかもしれないんだ」
「どういうこと?」
「老師はこれまでほとんど外出することはなかっただろ?」
「そうだね、そんなに長い外出は一回もなかったと思う」
「そう、だから行商人がいうには遠方との手紙のやり取りや薬の入手は冒険者に依頼していたんじゃないかって」
「なるほど、そういうことね」
「行商人も手紙の運搬なんかはやるみたいだけど、あまり遠いと儲けにならないのでやらないらしい、キャラバンなら別らしいけど。で、さらにそのあと薬を受け取って、また帰ってくるなんてのはキャラバンでもやらないらしい」
「ふーん、だから冒険者ってことかぁ」
「そう、で、ここからは推測だけど、近くのルイムの町にもギルドがあるから、そこの冒険者ってのが一番可能性高いかなと思ってさ」
「じゃぁさ、ひさしぶりに行ってみようよ、ルイムの町に!」
「そうだな、ここにいても薬は手に入らないだろうし、行ってみるか」
こうして俺たちは老師の手紙とジーナの薬の仲介をしていた冒険者を探すためにルイムの町に向かうことにしたのだった。