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龍翔記  作者: GIN
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0089話 襲撃者たち

狂ったように両腕を振りまわすグゼフ。


さきほど俺と戦った際に同じように腕を振りまわしていたが、その時と今回はちょっと違う。


今回はまるで理性を感じられないのだ。


ただ闇雲に目に入った対象に向かって拳を出す。


ただそれだけだ。


パワーも格段に上がっているようだが、急所を狙うとか隙をつくといった行動は見られない。


本当にただ闇雲に殴りつける。


こんな攻撃では当然俺たちには当たらない。


標的になっていないものから順にグゼフに攻撃を加える。


「ガァァッ!!」


再び雄たけびをあげるグゼフ。


辛うじて纏っていた上半身の衣服を破り捨てる。


「グォォッ!!」


また雄たけびだ。


そして、その背中には怪しげな紋章が刻まれていた。


「へっ、完全に操られているって感じだな」


「…理性の欠片も感じられん」


ガイルの言葉にラルガンスが同意する。


「ですが師匠、いくらグゼフでももう少しマシでしたよ」


ハイルは前のグゼフを知っている。


「ああ、俺もさっき戦ったがここまでじゃぁなかった、ブラフの攻撃なんかもしていたしな」


「へっ、じゃぁ、あれが原因だろうな」


ガイルは剣先でグゼフの背中を差す。


「だろうな…なにか分かるか?ラルガンス」


「ふーむ…見覚えがないこともない、ような」


ラルガンスは紋章を見て答える。


はっきりしない答えだ。


「僕は知りません」


ハイルが先んじて答える。


「へっ、またフラグじゃないのか」


ガイルがそう言ったタイミングで、グゼフがまた暴れだした。


俺たちはグゼフの攻撃を避けながら反撃を繰り返した。




「グゼフの様子が明らかにおかしい」


「同感だね」


マルタンとエイルが言う。


「確かに…いくらなんでも暴れすぎだ…」


「あたいもそう思うよ」


トリスタンとイヴも同意する。


すでに拘束は解かれていたし、遠巻きにグゼフの戦いを見ているので巻き込まれることもなかった。


標的のボスらしき人物リュウは自分の身は自分で守れと言った。


はっきり言われてはいないがこのまま逃げても文句は言われる筋合いはない。


その時グゼフの背中の紋章が見える。


「なんだあれ?」


トリスタンが疑問の声をあげる。


「あんなの襲撃前にはなかったぞ」


マルタンが続く。


「そうだね、あたいも見たことがない、組織にいるときから裸でいることが多かったからよく背中を蹴り飛ばしていたし」


イヴが答える。


「ということは襲撃前にあれが付いた…でも襲撃前の集合の時も裸だった…あたいが服を着ろって言ったから間違いない」


エイルも答える。


「んじゃ、あれは襲撃前にはなかった、もしくは…」


トリスタンが溜めて答える。


「…襲撃前は隠されていたか、だな」


全員でトリスタンを見る。


「そうだったとして…」


今度はエイルが溜めて言う。


「で、どうするのよ」


エイルは皆に問うた。


「どう、とは?」


「このまま逃げる?…それとも…」


「逃げるにはチャンスだよねぁ」


「逃げるなとも言われてないし」


マルタンとトリスタン。


「でもこのまま逃げたらグゼフは死ぬ」


「そうね」


イヴとエイル。


「しかし僕たちが何かしたところでグゼフが助かるかどうかは分からない」


「…」


マルタンの言葉に全員が黙ってしまう。


自分の言葉が沈黙を産んだことに責任を感じたのかマルタンが続ける。


「じゃぁ、こうしよう、グゼフをどうにかしたいヤツは残る、逃げたいヤツは逃げる」


「賛成だ、全員一緒でないといけないわけでもない」


「そうね」


「あたいもそれでいいよ」


「よし、決まりだ、ここで別れたらもう二度と会えないかもしれない、みな元気で」


そう言うと襲撃者たちは四方に跳んだのだった。




グゼフは再び雄たけびを上げると苦しそうに蹲った。


だが暫くするとまた攻撃を仕掛けてくる。先程からこんな状態を繰り返していた。


「思い出したっ!」


ラルガンスが声を上げる。


「なんか分かったのか!」


グゼフを警戒しながらガイルが聞く。


「ああ、あれは憑依系の魔法…それも悪魔憑依した時に浮かび出る紋章だな」


「悪魔憑依?」


俺はラルガンスに聞き返す。


「悪魔は瘴気やエーテルが強くないと実体を保てない…召喚しても短い時間で消えてしまうのはこのためだ」


「悪魔は魔王領に居る、それを召喚で一時的に呼び出し使役する、ということですよね師匠!」


ハイルが自慢気に胸を反る。


「普通は召喚した悪魔は契約を果たすと消えるが、もっと長く悪魔を使役するために考えられた方法の一つとして意思のない下位悪魔<レッサーデーモン>を召喚し、それを意思の弱い人間に憑依させる、という話しを聞いたことがある」


ラルガンスはグゼフの背中を呼び差す。


「その際、浮かび上がったのがあの紋章だったはずだ、そして一時的な能力の上昇がみられた」


「へっ、だがそんな話し聞いたことないぜ」


「僕もそんな話しは聞いたことありません」


「聞いたことないのは憑依された者達がその後、全員死んでしまったからだろう、憑依は悪魔を使役する方法としては失敗だったのだよ」


「なっ!」


「それじゃぁ…」


ならば考えられる答えは一つ。


俺はラルガンスに目で続きを促す。


ラルガンスは頷いて答える。


「憑依を自分にすることは考えらない、そしてあやつが自分で悪魔召喚をしたとは考えられない」


「ということは誰かに憑依させられたってことか…」


グゼフが雄たけびを上げる。


そしてまた俺たちに攻撃をしてきたのだった。

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