0081話 さんじゅーろーとレムの戦い
「にゃー(おいおい、リュウがピンチだぞ)」
さんじゅーろーが驚きの声を上げる。
庭でラルガンスに協力した後、物影に隠れていたが、激しい衝撃音を聞いて、それを見に来たさんじゅーろー。
リュウが吹っ飛ばされ、その後、流血しているのを目撃する。
「オタスケシナイト!」
レムがフヨフヨとリュウの元へ向かおうとする。
「にゃー(それじゃぁ、間に合わない、レム!、わしを魔法で飛ばせるか)」
「ジュウリョクケイデハンパツサセレバカノウカト」
「にゃー(んじゃ、やってくれ!)」
レムは言われた通りに重力系魔法を唱える。
「重力属性魔法:反重力≪アンチグラビティ≫」
反重力の力に吹きう飛ばされる形でさんじゅーろーがものすごいスピードで巨体に迫る。
「にゃにゃっ!」
あまりのスピードに猫らしい声をあげるさんじゅーろー。
そしてそのままリュウに拳を振り下ろそうとしていた巨体の顔にへばりつく。
「にゃっ!(喰らえっ!)」
思いっきり爪で顔を引っ掻くさんじゅーろー。
殆どダメージを与えているわけではないが、巨体はリュウへの攻撃をやめ、さんじゅーろーを引きはがそうとする。
「にゃー(脱出!)」
さんじゅーろーはひらりと飛び降り、そのまま物影まで走る。
巨体はさんじゅーろーを負いきれなかった様子で、足元をキョロキョロと見ている。
その間にリュウの元へたどり着くレム。
「リュウサマ、カイフクヤクデス」
収納空間から薬を取り出し、リュウに振り掛ける。
「助かった、ありがとう、レム」
「イエ、コノジカンヲツクッタノハ…」
「ああ、分かってる、さんじゅーろーだろ、あとで礼を言わないとな…見えていたし、ヒントももらった」
俺は朦朧とする意識のなかでさんじゅーろーが巨体の顔に爪を立てたのを見た。
ダメージはないはずが、さんじゅーろーを引き剝がしにかかったことでこの巨体攻略のヒントを得た。
まだ足元をキョロキョロ見ている巨体に向かって剣技を放つ。
「龍星剣術奥義:一閃」
やはりダメージはそれほどなさそうだ。
だが、この攻撃は再び俺に意識を向けさせるのが目的。
「がぁぁっ!!!」
俺に向かって雄たけびを上げた様子を見て、さんじゅーろーとレムから巨体の意識がそれたことを確認した。
「お前を倒す方法を思いついた」
俺は刀の切っ先を巨体に向けた。
「がぁ!!」
雄たけびと共に拳を繰り出してくる巨体。
これまではこの攻撃に対して、パワーを警戒するあまりに距離を取る方法で躱していた。
しかし!
俺は振り下ろされた拳を上に飛んで躱す。
そのまま巨体の右ひじ辺りに俺の右手をついて、左足で顔面に蹴りを放つ。
「俺は格闘戦も得意なんだよ!」
「がぁっ!」
獣のような声を上げる巨体。
そのまま俺は身体を反転させ、右の踵で巨体の右耳付近を強打する。
そしてそのまま跳躍して距離を取る。
一瞬俺の姿を見失った巨体だったが、俺を見つけると再び襲い掛かってくる。
俺は刀を鞘にしまい、居合の構えを取る。
再度、右の拳を振り下ろしてくる巨体。
俺は半身でそれを躱す。
そして鞘に入った状態の刀を巨体の左膝側面をにぶつける。
ガクンと膝を曲げる巨体。
そのまま鞘の先で巨体の顎を貫いた。
「がぉぉっ…」
断末魔のような声をあげて巨体が後方に倒れたのだった。




