0080話 リュウの戦い
「がぁぁっ!」
激しく両手を振りまわす巨体。
すでに月明かりで姿は見ているが、口にする言葉はうめき声や叫び声だけであり、会話はできそうもなかった。
パワーはあるのだろうが、ただ闇雲に腕を振るっているだけでなので、その軌道は読みやすく、攻撃が当たるとは思えない。
「龍星剣術奥義:一閃」
相手の攻撃の隙をつき、俺は剣技を放つ。
技は決まる。しかし、大したダメージを与えられてはいないようだ。
「エネルギー量が違いすぎるのか…」
巨人ほどではないが、それでも4メートルはあろうかという巨体だ。
内包するエネルギーも大きいのだろう。
山に剣を突き立てているような感覚、アルドラ砂漠でサンドワームと戦った時と同じ感覚だ。
あの時も殆どダメージを与えられていなかった。
今回は同じように弱点を付いて、というわけにはいかない。
そもそも魔獣ならともかく初めて戦っている刺客の弱点など知るはずもないのだから、弱らせて大技を放つという手段は使えそうにない。
それでも振りまわしてくる腕を搔い潜り、俺は攻撃を加える。
向こうの攻撃を一度でもくらえばこちらは致命傷になりかねないので、単調な攻撃とはいえ油断はできない。
振り下ろしてきた右拳を右にジャンプして躱す。
併せて右腕を斬り裂くものの、表面を削っただけのようか感覚だ。
そこに相手の左拳が迫ってきた。
これまでは両方の拳を順番に振り下ろすだけだったが、今回は俺の動きを追って拳を繰り出してきたらしい。
「ちっ!」
宙に浮いた状態のまま身体を反転させる。
そして間一髪、相手の左拳に刀を振り下ろす。
が。
拳に刀は喰いこんでいるが、そのままパワーで押し切られ、俺は庭の噴水に衝突した。
「しかしなんてパワーだ…」
なんとか直撃は逃れ、一撃でのダウンは避けられた。
しかし、目に血が流れ込んでくる。
どうやら頭部から流血しているようだ。
一撃のパワーの差。
俺はぼんやりとする視界の先に再び拳を振り下ろしてくる相手の姿を捉えていた。




