0076話 襲撃者
俺たちはラウルの屋敷で休む。
すでにラウルはチーム:龍翔<ドラゴニア>の一員であるため、その屋敷に泊まることについては特に問題はないという判断だった。
これで王都にいる間の宿泊代も浮かせられる。
ちなみに俺たちはラウルやカルロスの貴族としての援助は受けないことにしている。
将来の国創りのため、冒険者として名を上げるという目的がある。
それなのに貴族からの資金援助などを受けてしまっては冒険者としての格が下がるし、評判も悪くなるだろう。
あくまで冒険者として得た報酬でのみでやっていく。
冒険者としては普通のことだがこれはパーティメンバーで共有済みの結論だ。
俺は自分の部屋のベッドで寝ころんでいた。
「リュウよ」
「ああ」
ラルガンスの声を聞き、起き上がる。
ある意味、予定通りの襲撃だ。
左右のベッドからアイリスとミコトも起き上がる。
「アイリス、ミコト…」
「ええ」
「うん」
俺たちは視線を交わしあう。
ラウルの読み通り、襲撃者はすぐにやってきた。
そしてソイツ、いやソイツらはすでに屋敷に侵入しているようだった。
俺は部屋の隅においてある鍵のかかった箱を見る。
「おや、そいつが目的のものかなぁ」
テラスとの仕切りとなっている窓のことに人影がある。3人だ。
「あなたたちは誰?」
アイリスが声をかける。
「…」
しかし襲撃者たちは答えない。
「この箱がどうかしたのか?」
「なんでもないさ、そいつを黙ってこっちに渡しな」
長身の女性のような影が言う。
「すぐに渡せば少しくらいの怪我で済むよ、あっ、怪我はするんだけどねっ」
小さい少女のような声が聞こえる。
もう一人、巨体の影が見える。
襲撃者は3人?、いや、気配はもっと感じる。
こいつらは最初にここにたどり着いただけということか。
「渡せと言われてはいと渡すと思うか、こいつにはクエストに必要な素材が入っているんでね」
俺は箱を手に取るとミコトに手渡す。
「ミコト、頼む」
「分かった」
ミコトは箱を抱えて走り出す。
「逃がすんじゃない…!」
長身の影が指示を出そうとしたところをアイリスの突きが襲う。
咄嗟に小手で受け止める。
「そこまで、ミコトは追わせないから」
「このっ」
少女のような影がミコトを追いかけようと駆け出す。
俺はそれを防ぐように立ちはだかる。
「邪魔だよ!」
少女の蹴りを刀で受け止め、はじき返す。
「ここは通さない」
俺は刀を抜き放つ。
「がぁぁっ!」
突如、巨体な影が俺に襲い掛かってくる。
咄嗟に飛び退く俺。
その隙に少女の影がミコトの後を追って部屋を出ていく。
「ぐるるっ!」
獣のようなうめき声を上げながら襲い掛かってくる巨体な影。
その強烈な拳を刀で受け止める。
その頃、屋敷の廊下を走るガイルとラウル。
リュウたちの部屋から激しい物音が聞こえたとジョセフからの報告を受け、急ぎ部屋へと向かっていた。
そんな二人の前に2つの影が立ちはだかる。
「誰だ、お前らは?」
「答える必要はない、ただ、あちらの部屋に行ってもらっては困るのでね」
構えを取る2つの影。
「へっ、敵か」
2本の大剣を構えるガイル。
「ええ、二人を倒さないとこの先にはいけそうにありませんね」
ラウルも腰に差した剣を抜く。
「あまり得意ではありませんがね」
そしてラウルの屋敷の庭にラルガンスはいた。
襲撃者の一味と思われる周囲を取りかこんでいたものたちを倒すラルガンス。
暗闇に紛れた敵はラルガンスでも発見は難しかった。
ここで発見に協力したのはさんじゅーろーだった。
黒猫であるさんじゅーろーが庭の周囲を歩き回り、発見次第、ラルガンスに教えて、その敵をラルガンスが倒していた。
「おやおや全滅ですか…情けない…ただまぁ、魔導士相手では仕方ないか」
「あなたは?」
「答える必要があるとは思いませんが?」
ラルガンスはその男の姿を観察する。
ローブに杖。この男も魔導士であろう。
「ならば倒してから調べさせてもらうとしましょう」
「がぁぁっ!」
激しく両手を振りまわしながら拳を繰り出す巨体な影。
「なんてパワーだ!受け止めきれない!」
刀で受け止めたが、そのパワーに吹き飛ばされる。
そのテラスに飛び出し、そして庭に飛び降りる。
巨体な影も俺を追って庭に降りてきた。




