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0007話 戻る日常
「起きろ〜!リュウ!」
次の日の朝、俺はいつも通りアイリスに起こされると朝食を取り、顔を洗って二人で修練をした。
いつも通りのメニューを終え、一息つく。
だが、そこに老師の姿はない。
昨日俺たちを庇って亡くなった老師は俺とアイリスで墓を作り、そこに弔った。
「強いな、アイリスは」
昨日一晩中泣いていたアイリスだったが、夜が明けてからは落ち着きを、とりもどすとその後はこれまでと変わらない様子だった。
「だって、泣いてばかりもいられないじゃない」
まだ瞼は腫れているし、目も充血したままだが、老師の死を受け入れ、前に進もうとしていることご分かる。
「そうだな、俺たちは老師の子だからな」
「そうだよ」
そうして修練を続ける。模擬戦は俺の十勝五敗だった。
その後、俺たちは老師の墓を参った。
この日から修練後に墓参りをすることが、新しい日課となった。
それから何事もなく数週間が過ぎた。
二人での生活にも慣れ始めたころ、老師の遺品整理をしていた俺とアイリスは一通の手紙を見つけたのだった。