0069話 砂漠の主
「サ、サンドワーム!?」
アイリスが驚き、声を上げる。
サンドワームはその巨体で砂へダイブする。
「アイリス!」
俺は足を取られたアイリスを抱えて、サンドワームから距離を取る。
魔獣【サンドワーム】
「にゃー(巨大な芋虫だ)」
さいいじゅーろーはラウルの肩に乗ったまま言う。
「芋虫ですか、確かにそうですね」
ラウルが答える。
「どうすればいいと思いますか?」
「にゃー(砂の敵には水かな)」
「確かに!、しかしここには水がないですね、どうしますか?」
「にゃー(ないなら作るしかないな)」
ラウルとさんじゅーろーがそんな会話をしている間に、ガイルと俺はサンドワームに攻撃を加える。
俺たちは砂から出てくるところを狙って攻撃する。
「…!」
「そりゃ!」
攻撃は当たるのだが、いかんせん巨体すぎるサンドワームに攻撃は有効打となっていないようだった。
「攻撃力を上昇させる?」
ミコトの声が聞こえる。
「いや!、俺たちの攻撃力が少し上がったところで致命傷にはならない!、魔力を温存しておいてくれ!」
「う、うん!」
「へっ、しかしデカすぎるだろ!」
ガイルが攻撃の手を緩めることなく言う。
「確かに!」
通常のサンドワームは成体でも数メートルの大きさのはずだ。
この個体は明らかにその十倍はある。
「やっ!」
アイリスの突きも決まるが、ほとんどダメージは与えていないようだ。
「ダメ、私の攻撃じゃダメージが通らない!」
「デカすぎるからな!、攻撃を喰らわないように避けるように集中するんだ、アイリス!」
「分かったわ、リュウ!」
砂にダイブし、姿を見せては体当たり、火球などで攻撃してくるサンドワーム。
「魔獣が少ない理由はコイツかっ!」
「そうかもなっ!」
俺とガイルが攻撃を続けるが、やはりほとんどダメージが入っていない。
まだラルガンスは登場できる時間ではないし、レムの魔法もこの巨体には通じないだろう。
レムはそれを分かっているのか、ずっと攻撃を避けている。
「ラウル!」
「少し時間を稼いでください」
ラウルは何か考えているようだ。
俺とガイルはサンドワームの注意を自分たちに向けさせるために攻撃を続ける。
そこに7体のサンドワームが現れる。
いま闘っているような巨大な個体とは違い、数メートルの通常の個体だ。
「アイリス、ミコト、レム!」
俺は3人に声をかける。
「任せて!、虎華剣術奥義:茨棘!」
アイリスの剣技が決まる。
1体のサンドワームは登場してすぐに倒されたのだった。
「あたしもやるよ!」
ミコトが2本の短剣を持ち、魔法を唱える。
「補助魔法:敏捷性上昇≪アジリティアップ≫」
ミコトは自分が浮いているような感覚を覚える。
「豹人の素早さを舐めないでよっ!」
サンドワームとの距離を一気に詰めると、両手の短剣で何度も切り裂いた。
「何か技名を考えてもいいかもぉ」
ミコトが相対したサンドワームはバラバラになって倒れた。
「重力属性魔法:反重力≪アンチグラビティ≫」
レムの魔法で隠れた砂から無理やり引き出されるサンドワーム。
続けて魔法を放つ。
「重力属性魔法:反重力≪アンチグラビティ≫」
正面から直撃したその魔法に吹き飛ばされ、背後にあった大岩に叩きつけられるサンドワーム。
そのままピクリとも動かなくなった。
「こっちは大丈夫よ、リュウ!」
「ああ、任せた!」
俺とガイルは巨大なサンドワームに集中する。
ラウルの考えが纏まるまでの時間稼ぎの攻撃を繰り返した。




