0068話 フラグ
「意外とあっさりだったね」
ミコトが意外そうに言う。
「へっ、実際、あっという間に倒したからな」
「私たちの作戦勝ちということでしょう」
ラウルが左指を額に当て、感慨に浸っている。
なぜかさんじゅーろーもラウルの肩の上で自慢気にしている。
実際にラウルの作戦通りの展開になった。
魔法で直接攻撃するのではなく、うまく使って裏返しにするとは。
正直、俺たちだけでは思いつかない方法だった。
「ラウルのおかげだな」
「ふっ、皆様の力があってこその作戦です、連撃のタイミングもばっちりでしたからね」
「鉄蠍の尾も手に入ったし、これで伯爵の依頼はクリアかな、リュウ」
「そうだな、鉄蠍の尾は一つでいいみたいだしな、あとは届けるだけだ」
アイリスが嬉しそうに微笑む。
「さて、意外とあっさり鉄蠍を倒せましたし、このままオアシスまで戻りますか?」
ラウルが提案をする。
「へっ、そうだな、ここにいるよりオアシスの方が安全だろうしな」
ガイルは賛成。
「あたしも、止まるならオアシスがいいよ」
ミコトも賛成のようだ。
レムもフヨフヨ浮きながら賛成の意を示している。
「よし、じゃぁ、オアシスに戻るか、それでいいか?、アイリス」
「うん!」
「…」
「ラウル、どうした?」
何やら考え込む様子のラウルにガイルが問いかける。
「いや…なんでもない」
そうして話しを終わらそうとするラウル。
「はーい、ダメー!」
ミコトが力強くラウルを指さしながら言う。
「何がダメなんだい?、ミコト」
「何って、さっきの明らかに何かを気にしているのに大丈夫っていうセリフだよ」
「セ、セリフって…」
ラウルは困惑している。
「そういうのってフラグなの、フ・ラ・グ!」
「あっ!」
「確かに、今のはフラグだったな、ラウル」
「ふふ」
「にゃー(盛大なフラグだな)」
「ユダンタイテキデス、ラウルサマ」
「おいおい、みんなして…」
「気になることがあるなら言ってしましましょう、ラウルさん、ねっ」
アイリスがラウルに話すように促す。
「そうですね…実は鉄蠍が1体しかいないことが気になっています」
「へっ、砂に隠れているわけでもなかったな」
ラウルはガイルに頷いて返事をする。
「最初は砂の中に数体はいると思っていましたが結局1体だけ、私たちのクエストには助かりましたが、ここまでの魔獣の少なさと関係があるような気がして…」
「しかし、確証はない、と」
「ええ、そうです、確かに魔獣は少ないですが、その原因となる理由のはっきりしたことは分からない、確証もないことを言って混乱させるのもどうかと思ったので…」
「なるほど」
ラウルの言うことは分かる。
これから移動しようとするところに、魔獣の少なさの疑問を口にして、だったらどうするんだという話しに戻るだけだ。
それならさっさと移動して安全圏に戻った方がマシだと考えたようだ。
「気持ちは嬉しいが、俺たちはパーティだ、今後は少しの疑問でも共有しよう」
「そうですね、リュウの言う通りです」
俺の言葉にラウルが肯定の意を示してくれる。
「私は魔獣の少なさが異常だと思っています、鉄蠍まで少ないとなると、この砂漠でよほどのことが起こっていると考えています」
「よほどのことって何?」
ミコトが疑問を口にする。
「昨晩も少し話していたのですが…ここからはガイルのフラグなのでガイルに任せます」
「げっ、ガイルもフラグ立ててたの?」
ミコトが驚く。
「ガイルのフラグって?」
今度はアイリスがガイルが続きを促す。
「魔獣が減るってことは、もっと強い魔獣にやられたんじゃないかってことだよ」
「もっと強い魔獣…」
アイリスが不安そうに口にする。
「ええ、私は鉄蠍がその強い魔獣の候補だと思っていましたが、その鉄蠍自体が少ないのであれば、もっと…」
ラウルがそこまで言ったときに後ろで砂柱が上がる。
それは10メートル以上の高さまで届くと、その中から1体の魔獣が姿を現したのだった。




