0067話 鉄蠍戦 -ラウルの作戦
翌朝、野営地から少しだけ進んだ場所、ハンフリーから聞いた場所に鉄蠍はいた。
「へっ、いやがったぜ!」
「1体か?」
「見えてるのは1体だな」
数体はいると思われた鉄蠍だが、今見えているのは1体だけだ。
他は砂に潜っているのか、それとも1体しかいないのかは分からない。
「どうするの、リュウ?」
「鉄蠍は防御力が高いらしい、下手に突っ込んでも大したダメージは与えられないだろう、どうだ、ラウル?」
「リュウの言う通りですよ、鉄蠍の外皮の防御力は異常に高いです」
「え~、そんなのどうやって倒すの~?」
「大丈夫です、鉄蠍の外皮は固いですが、腹が弱点です、そこなら皆さんの攻撃で致命傷を与えられるかと」
問題はどうやって鉄蠍の腹に潜るか、だが。
「指揮をしていいかい?、リュウ」
「頼む」
戦術に関しては俺たちの中ではラウルが一番だ。
素直に指揮を任せる。
「では、あの1体を倒してしまいましょう!、まずは鉄蠍にこちらを意識させる、ガイル!」
「へっ、出番だなっ!」
ガイルが駆け出す。
「ミコト、攻撃力補助を!」
「うん、補助魔法:攻撃力上昇≪アタックアップ≫!」
ミコトの補助魔法によって、ガイルの全身が赤く光る。
「うぉぉぉ、漲ってくるぜっ!」
ガイルはそのまま大きくジャンプすると2本の大剣を鉄蠍に振り下ろした。
「オーガ流剣術奥義:両刃!」
ガキィンという金属と金属が弾きあう音が響く。
ガイルの技でも鉄蠍の装甲にはあ傷一つ付いていなかった。
「へっ、これでもダメかよ」
鉄蠍の両眼がギロリとガイルを睨む。
「いまだ!、アイリス、レム、さっき言っておいた魔法を!」
「ショウチシマシタ!重力属性魔法:反重力≪アンチグラビティ≫」
レムの魔法の球が鉄蠍の足元にぶつかる。
バシィと砂埃を上げて、鉄蠍の片足が浮く。
「それ、風属性魔法:風斬≪ウインドカッター≫」
浮き上がった足の少し下を狙ってアイシスが風魔法を放つ。
バランスを崩した鉄蠍が風に煽られ、仰向けに倒れる。
「リュウ!」
「ああっ」
アイリスが魔法を放ったときに俺はすでに高く飛び上がっていた。
ラウルの作戦通りに皆が動き、こうなることが予測できていたからだ。
「補助魔法:攻撃力上昇≪アタックアップ≫」
更にミコトの補助魔法の後押しが入る。
「いっけぇ!、リュウ」
「龍星剣術奥義:一閃!」
俺が振りぬいた刀は腹を見せて倒れていた鉄蠍を斬り裂く。
「オーガ流剣術奥義:双刃!」
ガイルの追撃。
「虎華剣術奥義:茨棘」
更にアイリスも追撃を放った。
俺は着地と同時に走り出し、無視だしになった尻尾を二つに斬る。
断末魔とも言える痙攣を見せた後、鉄蠍は動かなくなった。
「やったぁ!」
「イェーイ!」
アイリスが歓声をあげ、ミコトとハイタッチをしていた。
「よし、作戦通りうまくいったな」
ラウルの、題して「蠍裏返し作戦」。
ガイルが気を引き、レム、アイリスの魔法で裏返す、というもの。
腹に一撃を入れるのは俺の役目。
ガイルとアイリスも追撃に加わる。
ミコトは攻撃補助を行う。
ネーミングセンスはともかく、鉄蠍はラウルの作戦通りに倒れた。
そして俺たちは鉄蠍の尾を入手したのだった。




