表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍翔記  作者: GIN
65/692

0065話 好きなもの

「そっか…」


俺は昨晩のミコトとのやり取りをアイリスに伝えた。


アイリスは俺が話している間、ずっと黙って話しを聞いていた。


「…私もミコトと話したい」


「ああ…呼んでくるよ」


俺はテントを出て、ミコトに声をかける。


俺は焚火の傍に腰を下ろす。


入れ替わりでテントに向かうミコト。


「へっ、ミコトのことよろしく頼むぜ、リーダー」


「ああ…」


「まぁ、アイリスがどう思うか、だが…」


アイリスとミコトがいるテントを見ながら言葉を漏らすガイル。


俺は頷くことしかできなかった。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「ア、アイリス…あのね」


テントの中央に正座しているアイリスに声をかけるミコト。


「座って、ミコト」


ミコトは大人しく座る。


しばしの沈黙。


「あ、あの」


「ねぇ…ミコト」


ミコトが声をかけようとしたタイミングでアイリスの言葉がそれを遮る。


「リュウのどこが好きになったの?」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「オフタリメノオクガタ、オメデトウゴザイマス」


「ああ、ありがとう、レム」


フヨフヨと浮きながら祝福の声をかけてくれるレム。


「…」


ラウルは黙ったままだ。


考えていることは分かる。


万が一、アイリスが今の状況を受け入れられない場合のことをシュミレートしているのだろう。


いつでも冷静。あらゆる可能性を考え、その場で最適な行動をとる。それが戦術士ラウルだ。


「にゃー(なるようにしかならんて)」


さんじゅーろーはラウルの傍で手伝っているのだか、邪魔しているのだか分からない言葉をかけていた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


いまは休んでいるラルガンスには昨晩のうちに話しをしていた。


「ふむ、そうか、おめでとう」


という一言だけでラルガンスは夜の見張りを継続していた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「す、好きって!」


「…好きになったんでしょう」


「う、うん」


「どこが好きになったのか聞かせてほしい…」


「分かった、最初にダールベン村で見たときはね…ガイルよりも小さいし、何か弱そうだと思ったんだ」


「うん」


「砦への潜入とか、その後の戦いで結構やるじゃんって思った、でもこの時はまだ好きとかじゃなかった」


「うん」


「アイリスと逸れたときにリュウはすぐに穴に飛び込もうとしたり、無茶なことしようとしたんだ、あたしは止めたんだけど…」


「うん」


「その時かな、なんなのコイツと思って、それだけ思われてるアイリスが羨ましいと思ったんだ」


「…」


アイリスが顔を赤くする。


「その頃にはもう好きだったのかも…ガイルにリュウやアイリスとのパーティの件を聞かれた時もすぐにOKしたし」


「うん」


「風狼戦でリュウの言葉で力が漲ったときにはっきりと自覚したんだ」


「…」


「だから、どこがっていうか…全部好きなのかも」


「そう…」


アイリスはそれだけ言うとすっと立ち上がる。


そしてミコトの傍に座ると、そっと手を取る。


「分かる!、分かるわ、ミコトっ!」


「えっ…」


「どこって言われても困るわよね、私もそう!、もうだって全部好きなんだもん!」


熱っぽく語るアイリス。


「お、怒らないの?」


「なんで?」


「だって、リュウとアイリスの関係を知ってて…それなのにあたしは…」


「私は…怒るどころかうれしいよ」


「そうなの?」


「うん、だってリュウのことを好きな人が身近にいるなんて嬉しい、リュウのこと分かってくれる人がいるのも嬉しい」


その言葉を聞いて涙を流すミコト。


「そう…よかった…」


「あっ、でも一番は譲るつもりはないからね」


「うん、分かった、でも油断したら知らないから」


そうして二人は笑いあった。


同じものを愛でる価値観の共有にどこか暖かさを感じながら。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


アイリスとミコトのテントから笑い声が聞こえたことで、丸く収まったことを察する俺とガイル。


「にゃー(うまく纏まったようだね)」


さんじゅーろーが言う。


「いろんなシュミレーションをしたよ、杞憂に終わってよかった」


ホッとした様子のラウル。


「へっ、ともかくこれで鉄蠍に集中できるな」


「ヨカッタデス」


アイリスとミコトがテントから出てくる。


「お、お待たせ」


「さぁ、行きましょう!、リュウ」


「ああ、じゃぁ、出発だ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ