0063話 砂漠を行く
「待たせたね」
ラウルは馬車に乗って待ち合わせ場所までやってきた。
尾行者の目くらましのため、貴族らしい振る舞いは続けることになっているためだ。
「荷物は収納魔法が誓えるメンバーがいるんだったね」
ラウルは大小様々なカバンを馬車から降ろす。
というより、俺たちに降ろすように促した。
それをレムの魔法で収納していく。
「へっ、荷物はこれで全部かよ、貴族様」
「…私も正式にチーム:龍翔<ドラゴニア>のメンバーになったんだ、そういう言い方は止めてほしいね」
「ガイル…」
ラウルとガイルがひと悶着、それを俺が止める。
これも全て芝居だ。
ともかく俺たちは新メンバーであるラウルを加えて、鉄蠍討伐に出発した。
まずは街道沿いに進む。
この辺りは隠れる物影が少ない。
尾行者も俺たちのずっと後ろを付いてきているはずだ。
予定通り街道を半日ほど進む。
王都から離れると魔獣の数も増えてくる。
魔獣【スナトカゲ】
砂に隠れながら近づいてくると同時に鋭い牙で噛み付き攻撃をしかけてくる。
「ラウル!」
「任せろ!」
ラウルが精神を集中させる。
「ガイル、右からくるぞ、回り込んで剣で応戦、リュウとアイリスは正面だ!」
俺たちはラウルの指示通りに動く。
「そらっ!」
ガイルの剣撃がスナトカゲの首を撥ねる。
「はっ!」
「やぁっ!」
俺の一撃とアイリスの突きも決まる。
3体のスナトカゲは俺たちの連携の前に成す術なく倒れた。
魔獣【サボテン】
ガサガサッと音がする。そして無数の針が飛んでくる。
俺たちは後方に下がって距離を取った。
魔獣化したサボテン。
近くを通りかかったものを無差別に針で攻撃する。
その針は鋭く、一本一本は大したダメージにはならないが、それでも数が多いので避けきれずに纏めて刺さると大ダメージになる。
一番の安全策は相手にしないことだが…
「ミコト!、走るんだ!」
ラウルの指示が飛ぶ。
ミコトはサボテンまで直線で距離を詰めると、右にターンする。
サボテンはミコトを追いかけて針を放つ。
「前方しか見てないのか」
左側から近づいたガイルが大剣でサボテンを叩き切った。
魔獣【オリックス】
キン!という甲高い音が響く。
俺の攻撃が魔獣オリックスの角に弾かれた音だ。
「くっ!」
刀と角が当たった衝撃で、手がしびれる。
1体がアイリスめがけて突進する。
得意の突きで迎え撃とうとするアイリス。
「下がれ、アイリス!」
ラウルの指示で後方に距離を取るアイリス。
オリックスの角は見た目よりずっと長く、もし突きで応戦していたらレイピアが届くより先に角が刺さっていたところだった。
「ありがと、ラウル」
「ああ、反撃だ、リュウ、オリックスの角は根元ではなく先の方を狙うんだ」
「りょーかい!」
ダッシュで距離を詰める俺。
それに気づいたオリックスは角を俺に向けて突進してくる。
十分に距離をつめ、俺は上空に舞い上がる。
そのまま刀を振り下ろし、オリックスの角を砕く。
角を砕かれたオリックスは明らかに動きが鈍くなった。
「アイリス!」
「それっ!」
アイリスの突きが決まり、オリックスは倒れた。
魔獣を倒しながら進む俺たちは、すでに街道を離れ、オアシスに向けて歩いていた。
魔獣の生息数が多いのか、これまでの旅よりもたくさんの魔獣に襲われる。
しかしラウルを加えた俺たちは戦術士の的確な指示の元、殆ど苦戦せずに倒すことができていた。
街道を離れ、途中休憩を取りながら俺たちはなんとか夜になる前にオアシスに到着したのだった。




