0062話 貴族嫌いの理由
「それって…」
アイリスが恐る恐る尋ねる。
「胸糞悪い話だ…そこでは人…これはヒューマンだけって意味じゃないぞ、獣人にバーズ<鳥類人>にリプタイルズ<爬虫類人>…」
ごくりと誰かが唾をのむ音が聞こえる。
「そいつらと魔獣の細胞を組み合わせた新しい生物を造る…人体実験をしてやがったんだ」
「えっ!」
アイリスが両手で口を押えている。
よほど驚いたらしい。
「それはヒドイ…」
「ああ…俺とヒューイはそれらの証拠を持てるだけ持って屋敷を後にした、もちろん依頼主に報告するためだ…だが!」
ガイルは自分の膝を拳で叩いた。
「…依頼主は、余計なことを、とだけ言うと俺たちは貴族の私兵に囲まれていた」
「…!」
アイリスはもう声が出ていない。
「何も見つけずに帰ってくるのが依頼主の望みだった…俺たちは踊らされていたんだ」
「依頼主の貴族と人体実験をしていた貴族は裏で手を結んでいた、ガイル達を使って無罪を証明しようとしたが、まさかの証拠、それも実験の証拠を持って帰ってきた、というわけか」
「そういうことだ…俺とヒューイは無我夢中で戦った…そこから何とか逃げ出そうとしたがあまりに数が違いすぎた」
「貴族の私兵か…」
「俺たちは傷つき、それでも最後はなんとか逃げ出した…だが、気付いた時にはヒューイはもう…」
「続きは私が話そう…」
いつの間にかミリルがガイルの後ろに立っていた。
ガイルの肩に手を置くと、続きを話し出した。
「私とガイル、ヒューイにミコトは同郷なんだ…で、傷ついた二人は当時、医者の見習いだった私を頼ってきた」
「へっ、他に思いつかなくてな…」
「ガイルも殆ど意識がない状態だったが、ヒューイはもっと酷かった」
ミコトは黙って涙をこぼしている。
アイリスがそっとミコトを抱き寄せていた。
「ヒューイは手当てをして一命を取り留めたものの、その後はずっとあの状態だ、生きてはいるものの今後も意識が戻るかどうか…」
「で、俺はヒューイを元に戻す方法を探すために故郷を出ることにした…」
「そのガイルに無理言ってあたしも付いてきたんだ」
「そうか」
俺は頷く。
「へっ、その貴族たちから命を狙われる可能性もあったからな…国を出て、ブラウカ王国まで流れてきたってわけだ」
「それに私…そしてヒューイも一緒にな、私は目立たないようにここに診療所を作ってヒューイを匿っているというわけだ」
「へっ、まぁ、ヒューイもまだ死んじゃいねぇ…いつかきっと俺が目を覚まさせてやる…」
「俺たち、だろ」
「私たち、もね」
俺とアイリスがガイルに声をかける。
「へっ、そうjだったな」
ガイルと俺は拳を合わせる。
そこにアイリス、ミコト、ミリルも拳を合わせてくる。
アイリスの呪いの解除。
ヒューイの復活。
そして国創り。
俺たちチーム:龍翔<ドラゴニア>のやることはたくさんある。
だけどまずは一つずつだ。
俺たちは翌日の鉄蠍討伐に向けて、宿で英気を養ったのだった。




