0060話 加入
「ようこそおいでくださいました、チーム:龍翔<ドラゴニア>の皆様」
ラウルの屋敷の応接室にて面会を果たす俺たち。
ラウルと初めて会うのはアイリス、レム、ラルガンス、さんじゅーろーだ。
「私がラウル・ゴルベールです」
「はじめまして、アイリスです」
アイリスの誤解も解けているので、俺たちは現状の認識のすり合わせを行った。
俺は建国準備で懸念している点についてラウルに問いかけた。
「確かにリュウの言う通り、準備が中途半端だと建国早々に潰されるでしょうし、準備段階で目立ちすぎるとその段階で潰されます」
「この辺はどう考えていたんだ」
「ああ、そうだね、現状はここの屋敷はあくまで拠点で、基本は私の領地で準備を進めている」
建国時の本拠地となるラウルの領地だ。
「良くも悪くも貴族の領地は治外法権ですから、それに僻地ですので誰も気に留めません」
ラウルが自嘲気味に笑う。
「現行体制を打ち破るための準備に、貴族特権を使うのは矛盾しているという悩みもありますが…」
「まぁ、やると決めたんだ、後世にどんな批判を受けてもやりとげよう」
「そうですね」
俺の言葉にラウルが答える。
他のメンバーも一様に頷いた。
その時、執事のジョセフに連れられて、一人の老人が応接室に入ってきた。
「失礼いたします、カルロス様をお連れしました」
「お久しぶりです、カルロス殿」
「久しぶりじゃの、ラウル…そちらが?」
「ええ、私たちの御旗となるリュウです」
俺は黙って頷く。
「申し遅れました、私はカルロス・オルベール…この国ブラウカの元宰相をしておりました者です」
「宰相…」
「元…ですな」
「リュウ、カルロス殿は宰相として奴隷制度の撤廃に尽力された方です…政界引退後に私と縁があり、計画に協力してもらっている」
「すでに引退した身…できることなど何もありませんがね」
「そうか」
俺はカルロスに手を差し出す。
「よろしくな、カルロス」
「…私を信用なさるのか?」
「どういう意味だ?」
「私は元とはいえ宰相…権力側にいた人間ですぞ…もともとあった奴隷制度を撤廃したとはいえ、いまもまだ形を変えて残っている」
「…ああ」
「結局、権力に縋りつくためにラウルを裏切っているかもしれない」
「そうか…まぁ、関係ない」
カルロスが驚いた顔をする。
「ラウルはあんたを信用している、だったら俺も信じるだけだ」
「なんと…」
ラウルをはじめ、チーム:龍翔<ドラゴニア>のメンバーは黙って俺とカルロスのやり取りを見ている。
ラウルはようやく俺の手を握った。
「こちらこそ、リュウ様」
「リュウでいいよ」
「なんとも…ラウルに聞かされていた通りの人物ですな…いや失敬、老い先短い私の最後を託すに相応しい」
「大げさだな…」
「カルロス殿には国創りの助言などをいただいています」
ラウルがカルロスの役割について説明してくれる。
「私はすでに第一線から退いた身、過去の経験をお伝えするくらいしかできませぬ」
「それでも国の運営なんかをしっているものがいてくれるのは頼もしいよ」
「有難き言葉です…」
「さて、リュウ、国創りについてですが、様々な準備を並行して進めたいと思います」
「ああ」
「しかしながらまずはチーム:龍翔<ドラゴニア>にはエリーン卿の依頼をクリアし、アイリスの呪いの対策を進めてください」
「いいんですか?」
アイリスが自分のことを優先していいのか、というふうに尋ねる。
「当たり前だろう、アイリス」
「へっ、当然だな」
「だね」
ガイルとミコトも賛同してくれる。
「アイリス、あなたは私たちの大事な仲間です、国創りは大事な目標ですが、それを優先して仲間が苦しむのは本意ではありません」
ラウルも当然のように言ってくれる。
レムはアイリスの周りをフヨフヨと浮いている。
さんじゅーろーは眠たそうだ。
ラルガンスは目を瞑って黙ったまま座っているが、反対などではないことは分かる。
「エリーン卿の依頼をクリアし、情報を入手して、アイリスの呪いのことを調べてもらう、うまくいけば呪いを解く、これがチーム:龍翔<ドラゴニア>の最初の活動です」
俺たちは頷く。
「で、私も鉄蠍討伐に参加させてもらいます」
ラウルの参戦宣言。
「エリーン卿の手下がウロいています、すでにあなた方が私の屋敷に出入りしていることはバレているでしょう」
「撒いたと思ったのだが…」
「数が多すぎました、国創りのことはまだ知られるわけにはいきません、そこで私を鉄蠍の討伐に勧誘していたということにしたいと思います」
「なるほど」
ラウルの屋敷にチーム:龍翔<ドラゴニア>が出入りしていたのはラウルを勧誘していたから、という理由付けだ。
「私は戦術士です、お役に立てると思いますよ」




