0058話 告白
「えええっ、新しい国を創って、リュウが王様に!」
アイリスが驚きの声を上げる。
「えええっ、ど、どういうことなの?」
アイリスは俺やガイル、ミコトの顔を次々と見ながら問いかける。
「落ちついてくれ、アイリス…すぐに国を創るって話しでもない」
「う、うん、ごめん」
いったんアイリスは椅子に座りなおす。
ふぅとため息を一つつくと、お茶を一口飲んだ。
レムを膝の上で抱きしめたままだ。
「す、すぐにって話しじゃないのよね…」
「ああ、準備もいろいろいあるし、足りないことだらけだ…時間は相当かかると思う」
「そっか」
なぜかほっとした様子のアイリス。
「じゃぁ、しばらくはチーム:龍翔<ドラゴニア>は今の活動を続けるんだよね」
「もちろんだ、まずはアイリスの呪いの対処が最優先事項だからな」
「うん、嬉しいよ、リュウ」
「へっ、リュウとアイリスに隠していたわけじゃないんだが話しのが遅くなったのはすまない」
「あたしも黙っててごめんね」
ガイルとミコトが頭を下げる。
「ダールベン村での一件から、リュウが捜していた人にピッタリなんじゃないかって言ったのはあたしなんだ」
ミコトが思い出すように話す。
「なんだまた」
「だって今の時代に見返りも求めずに人のために危険な砦に向かうなんてできる人は少ないよ、すぐにリュウならって思ったんだ」
「もちろん、王都についてすぐラウルに会わせるつもりだったんだがエリーン家の依頼もあったしな」
「ああ、まぁ、いいよ、俺はもう引き受けたんだし、その時どうだったかは関係ない」
「へっ、そう言ってもらえると助かる」
「ありがと、リュウ」
ガイルもミコトも隠し事をしているというところがずっと引っかかっていたんだろう。
いまはすっきりした顔をしている。
「…」
「アイリス?」
俺が王になるという話しを聞いてから、アイリスはやはり元気がない。
「私は…やっぱりイヤ…」
「えっ?」
アイリスから拒絶の言葉が出た。
これは正直意外だった。
「どうした、アイリス?」
「ごめん…ラウルさん?の想いやガイル達の想いは分かる、今の状況を見て新しい国が必要だっていうのも分かる」
「ああ…」
「老師も王様や貴族のことは言ってたし、罪のない人たちが不幸になるのもいや…それを助ける王に私もリュウならピッタリだと思う…人を引き付ける魅力もあるし…」
「うん」
俺は返事をする。
ガイルとミコトは黙ってアイリスの話しを聞いている。
「でも…やっぱりイヤ…」
アイリスの目に涙が溜まっている。
「私、リュウと離れるなんてできないよ…」
言いながら俺の手を握ってくるアイリス。
「ア、アイリス…」
「老師もいなくて、パーティも解散したら私一人になる…ううん、それよりリュウと離れるなんて私できない…」
「ちょ、ちょっと待って、アイリス」
俺はガイルとミコトを見る。
が、二人は俺から視線を逸らした。
「ア、アイリス…聞いて欲しい」
「…なに…?」
俺はアイリスの手を握り返す。
「俺はラウルの話しに賛同して国を創る、そしてそこの王になる」
「…うん」
俺はアイリスを見つけながら言う。
「俺が王になったとき、アイリスには俺の横にいてほしい」
「えっ…」
「俺もアイリスと離れるなんてできない…アイリスには俺の傍にいてほしいんだ」
「それって…」
「俺が王になったら結婚しようアイリス、俺が王になってアイリスが王妃だ」
アイリスの目から涙が零れる。
しかしその涙は先ほどの悲しいものではなく、驚きと嬉しさが混ざった美しい涙だった。
「はい!」




