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龍翔記  作者: GIN
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0054話 ラウルとの会談 その4

俺は思わずガイルを見る。


「どういうことだ?」


ガイルは頭をポリポリ搔きながら言う。


「あー、まぁ、ラウルの言った通りだ…俺はラウルの考えに賛同した、だが俺に王なんぞ務まるはずもねぇ」


俺は思わず頷く。


「…」


頷いているのがバレたか…ガイルが鋭い目でこちらを見ている。


「続けて」


俺はガイルに先を促す。


「…ラウルも自分が王になる気はないそうだ…そもそも自分がなる気だったら俺も賛同してねぇ」


ラウルは当然のように頷いている。


「で、俺は冒険者をしながら王の資質のある人間を探す役割を担当することになった」


「それは分かった…で、何で俺なんだ?」


「それは、お前は人のために動けるやつだからだ」


ガイルがどこで俺に資質があると思ったのか、を上げだした。


「まずは魔王に一太刀いれたって話しだ…アイリスのピンチに迷わず魔王に斬りかかったって話し」


「ああ…あの時はアイリスを助けるために無我夢中だったな」


「それから、ルイムの町で借金取りに苦しめられている家族を助けた」


「もともと一晩の宿を借りていた…その流れでそうなっただけだ」


「ダールベン村では行方不明になったハンフリーを探すために廃墟の砦まで行った」


「砦の件はアイリスが言い出した、サイカの困っている顔を見てられなかったんだろう」


「いまはアイリスのために上級のクエストまで受けている」


「それしか方法がなかったからな…まぁ、アイリスを助けたいというのは間違っていない」


ガイルが言うほど俺は人のことを考えて行動しているわけではない。


その自覚は正直言って無かった。


「俺はそこまで人のことを考えて行動しているわけじゃない…」


すべてアイリスを含めた自分たちにとって利益のある話しだったからだ。


「まだあるぜ、俺やミコト、ラルガンスなど一見胡散臭い連中に対してもリュウは信頼を持っている」


「…」


ガイルはラウルを指さす。


「コイツのこともそうだ、人間性は信頼しているだろう」


俺は頷く。


ラウルが話しを引き取る。


「いまの世界は混沌としています、飢饉や災害、魔王の脅威に権力層への不公平感…」


「魔獣の脅威もある」


「先ほどはお伝え出来なかったですが国家間でも、長く戦争を続けている国もあります…」


そうなのか。魔王も魔獣もいるのに人類同士で争っている国もあるのか。


「このような時代だからこそ、私は変革として新しい国の創設を考えました、そしてその御旗を探していました…」


「それがお前だって話だ、リュウ」


「だからなんでそうなる」


俺は一呼吸おいて続けた。


「さっきも言ったが俺はそこまで人のことを考えて行動しているわけじゃない…ルイムの町でも倒れている人を見たが助けていないぞ」


「そうですね…たしかに一度にすべてを拾い上げるのは難しいです…ただ、リュウ様のような想いを持つものが増えれば世界は変わります」


「俺のような想い?」


「はい、まずは自分の身近な人を助けようと努力することです、で、その方法に人を貶める方法を選ばない」


「へっ、で、加えて人を信頼すること、だ」


「それは…」


それはそうだ。だってそれは…


「老師の教えだからな…親愛と信頼、これは老師が大事にしていた言葉だ」


ラウルが頷きながら言う。


「使い古された言葉です…ですが、実際に体現できるならこれほど強い言葉はありません」


「リュウの考え方がもうラウルの求める御旗そのものってことだ」


なんということでしょう。


普段の考え方がぴったりなのだ、と言われてしまっては逃げられそうにない。


だが。


「…俺は王や貴族のことは老師に教えてもらっているし、実際に会い話しもした…」


「ええ、エリーン卿などですね」


「…ああ、で、やっぱり俺は人が人の上に立つというのはおかしいと思う、その点ではラウルの考えに賛成だ」


「ありがとうございます」


「ただ、結局俺は王になるんであれば、人が変わっただけで状態は変わらないじゃないか、今の王達やラウルでなく俺ってだけだ」


そう、誰かが王になるのであれば状況は変わらない。


「いえ、いまの王家や貴族は民衆のことを一切考えません、しかしリュウ様は違う、王になってもきっと民衆のことを親愛してくれると思います」


買いかぶりすぎだろ。


「どのような組織でもトップが腐っているかぎりどうしよもありません、逆に言えばトップがまともな方なら組織の体系はどのような形でもいいのです」


「俺がいまの王たちのようにならないという保証もないぞ、王になった途端、老師の教えを無視して好き勝手やるかもしれない」


「そうですね、ただ、私はリュウ様にとって老師様の教えはとても大事なものだと思っております」


「…」


「それは権力や金品で揺れ動くようなものではなく、リュウ様自身の軸になっている教えなのではないでしょうか」


図星だ。


「我々も口先だけの言葉や一度二度の行動で決めたわけでありません、あなたなら安心して我が身そして将来を託せると判断し、この場を設けさせていただいたのです」


ラウルの言葉には覚悟を感じた。


ガイルも同様に頷いている。


「…分かったよ」


「おおっ、ありがとうございます、リュウ様」


俺は手を挙げてラウルの言葉を制する。


「ただし、条件がある…俺はラウルの考えに賛同し仲間になることに決めた、だから、俺に様はいらない」


「なんと…」


「できるか?、ラウル」


「勿論です…、いや、勿論だとも、リュウ」


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