0049話 ラウルとの会談 その1
エルフらしいすらっとした長身に金髪の長い髪を靡かせた正に美丈夫がそこにいた。
「やぁ、ガイル、久しぶりだね」
「ああ、ラウル、来るのが遅くなった、すまん」
「いいよ、大事な用事だったんだろ…そちらが?」
ガイルとラウルと呼ばれたエルフは一通りの挨拶を交わすと、俺に視線を向けてきた。
「ああ、リュウだ、俺たちパーティのリーダーだ」
「はじめまして、ラウルと申します」
ラウルが握手を求めてくる。
俺はそれに応じた。
「リュウだ」
「説明がまだだったな、リュウ」
俺はガイルに向かって頷く。
ここまでどこに向かうのかなどを道中で聞いていたが結局何も聞かされず、ここまで来ていた。
俺とガイルの様子を見て、俺が何も知らされていないことを悟った様子のラウル。
「まったく君という男は」
ガイルを一睨みした後、俺に向かって言う。
「まずは座ってください」
ラウルに促され、俺はソファーに腰を下ろす。
「まず名乗らせていただきます、私はラウル・ゴルベール、北のエルフの国出身で爵位は公爵です」
「…貴族」
「はい、ですが私はゴルベール公爵家の8男の末っ子です、すでに家督も長子が継いでおり、想像されるような権力をもった貴族ではありません」
「ラウルの話しが本当なのは俺が保証するぜ、リュウ」
これまでの態度から察してはいたが、ガイルとライルの付き合いは長そうだ。
「続けます。私は数名の部下と、この王都ルーラーンの別宅、そして僻地の領地を与えられただけの末端貴族です」
貴族にもいろいろあるようだ。
この別宅が寂れているのもそれが理由なのだろう。
「俺はリュウ、チーム:龍翔<ドラゴニア>のリーダーをしている冒険者だ、ランクはGだ」
「はい」
一瞬の沈黙が場を包む。
「私とガイルは以前からの親友でして、リュウ様のことは手紙でですが知らされておりました」
「そうなのか?」
「ああ、すまねぇ、王都に着いたらラウルに紹介しようと思っていたんで先に知らせといたんだ」
「そうか」
「リュウ様はガイルと一緒に風狼を倒されたとか、どのような戦いだったのかお聞かせ願えませんか?」
「どんな戦いって言ってもなぁ…?」
俺はそういってガイルを見る。
「教えてやってくれ」
ガイルもそういうので、俺は風狼戦のことを思い返してラウルに聞かせた。
風狼の強さ、特に連携の良さに苦戦したこと。
以前倒した闇の魔導士が復活し、手助けしてくれたこと。
淡い不思議な光とパーティメンバーの能力上昇があったこと。
俺は何も隠さずに話しをした。
相手はガイルの親友だということだし、別に隠しても仕方ないことだと判断したからだ。
「素晴らしい、でもよかったのですか?、さっきあったばかりの私にそのような話をしてしまって」
「どうだろうな、でもまぁ、ガイルの親友だってことだし、隠しても仕方ないだろ、それに…」
「それに…?」
「ガイルが信じているなら、俺も信じるだけだ」
その答えを聞いてラウルは膝を手で叩き、肩を振るわせる。
「ふふふ…」
笑いをこらえているようだ。
「ふふふっ、なんと甘い!甘すぎますぞ!」
突然立ち上がるラウル。
「悪かったな」
俺は少しムッとして言い返す。
「しかし私はそういった甘さは大好きです」
「ああ、このラウルも大甘なんだ」
「どういうことだ?」
俺はガイルに問いかける。
「この男は孤児やら仕事ができなくなった元冒険者やら、事情がある人間を何人も助けているんだ」
「どういうことだ?」
ガイルは手でラウルに続きを話すように促す。
「ええ、ガイルの言う通り、私は事情のある方をこの別宅に集め、私の領地に送って身の回りの世話をしています」
「こいつは貴族のくせに権力が与えられなくておかしくなった変人貴族なんだ」
「つまり、ラウルは公爵家の力を使って人助けをしている、ということか?」
ラウルは頷く。
「その通りです…」
いいことをしているのだろうに、ラウルは力なく頷いただけだった。
ガイルも何も言わない。
「俺も老師に教わったり実際に見た貴族の印象からすると、とても人助けをするようなものがいるとは思えない」
俺は素直な感想を言う。
「だが、ラウルは違うんだな、ガイルの親友がそんな人でよかったよ」
「ありがとうございます…」
ラウルは何か考え込んでいるようだった。
そして…
「リュウ様にお願いしたいことがございます…どうか私の話しを聞いていただきたい」
そういうとラウルは俺の前に傅いたのだった。




