0047話 帰還
「帰ってきたぁ~」
王都ルーラーンへ無事に帰還した俺たち。
まずは宿屋で部屋を借り、しばらく休憩をする。
そして俺たちは今後の予定を話し合った。
「まずは、エリーン伯爵の依頼、鉄蠍の針の入手だよね」
ミコトの言葉に俺たちは頷く。
「へっ、それが第一優先事項だ、ただ俺たちは風狼の負けかけた」
「そうね…」
アイリスはどこか悔しそうだ。
実際、ガイルを含め、俺もアイリスも風狼には直接の戦闘では負けたようなものだ。
パーティで考えても、最初の連携では後手を踏んだ。
「ああ、ラルガンスが現れたからよかったものの、あのままでは確かに危なかった」
「…鉄蠍も強いのかな?」
「鉄蠍に関しては闘ったことはねぇ」
俺たちはガイルの言葉の続きを待つ。
「だが、次は砂漠だ、もともと蠍のホームだ、それにランクでいれば風狼も鉄蠍も同じランクだな」
風狼と同じ強さだとしても、戦う場所が問題だ。
砂漠。足場が悪いうえに昼は高温、夜は氷点下まで冷える。
元々砂漠で埋まれた生き物以外では、生きるだけも大変だ。
そんな中で戦闘など、自殺行為だ。
「正直、いまの私達では勝てないかも…」
「あたしもそう思うよ…特にあたしの攻撃じゃ、鉄蠍には通じないだろうし…」
ガイルが知っている情報として、鉄蠍の一番の特徴はその固い外皮とのこと。
”鉄”と名付けられているくらいだ。実際に鉄ではないにしても、相当に硬いのだろう。
おそらく風や火の魔法は相性が悪い。
だが、生きてる以上、倒せないことはないはずだ。
「ともかくこの依頼はアイリスの呪いを解くために必要なんだ、倒す方法を考えるしかない…」
「へっ、そうだな、リーダー」
ガイルが後押ししてくれる。
「それで、この後どうするの?、リュウ」
俺はしばらく考える。
「まずは情報収集だな…ムデノ平原と違って次は砂漠だ、鉄蠍の生息場所を探し回るわけにはいかない」
「そうだね、んじゃ、あたしはギルドで鉄蠍の生息場所の情報探るよ」
「ああ、頼むよ、ミコト…で、アイリス、併せて頼みたいことがあるんだけど」
「なんでも言って」
「ありがとう、砂漠で鉄蠍を倒して王都に戻るまでの準備をお願いしたい」
「分かったわ、レムも連れて行くわね」
「ああ、ミコトと一緒に鉄蠍の生息場所を探ってもらった後に準備を頼む」
「夜の見張りはラルガンスにやってもらえそうね…」
「そうだな、今晩も出てくるだろうから確認しておくよ」
「頼むわね、じゃぁ、私たちは食料と水に薬もいるかな、あとテントも砂漠用のものが必要かも」
「いるだろうな、平原とは気温が違いすぎる、そこをケチると寝てる間に死んじまう」
「リュウとガイルはどうするの?」
「へっ、俺たちは休養だ」
「というのは冗談で…俺とガイルはエリーン伯爵に現状を報告してくる」
「風狼の牙の入手で1週間だからな、鉄蠍の生息場所によっちゃぁ、もっと時間がかかるかもしれねぇ」
「そっか~」
ミコトはどこかホッとしている様子だ。
自分が伯爵に会わずに済むのが嬉しいんだろう。
誰だって面倒なことはいやだ。
「ついでに支度金についても確認してみるよ」
無理だろうな、という思いをしつつ俺は掛け合ってみることを約束した。
ガイルは何も言わない。おそらく同じ気持ちなのだろう。
「ともかく砂漠は危険だ、準備はしっかりして行こう、出発は焦らず2日後だ」
「おー!」
アイリスが掛け声で同意してくれる。
「んで、リュウよ、出発までに前に言った会ってほしい奴の所に行ってくれるか」
「…前に言ってたエルフの男と…もう一人は会えばわかるんだったか」
「ああ、そうだ」
「分かった、場所は?」
「この王都内だ」
「りょーかい」
俺は軽く同意する。
「よし、じゃぁ、それぞれの役割を果たそう!」
俺の言葉を合図に、アイリスとミコトとレムは情報収集と準備のために宿屋を飛び出していった。
「俺たちも行くか」
ガイルは黙って頷く。
こうして俺とガイルは再び王都のセントラルタウンにあるるエリーン家へ向かった。




