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龍翔記  作者: GIN
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0040話 伯爵の依頼

玄関にいる門番に話をするとすぐに奥から昨日の執事がでてきた。


「チーム:龍翔<ドラゴニア>の皆様、ようこそお越しくださいました」


言いながら執事は深々と一礼する。


「ささっ、こちらへ、主人のエリーン伯爵がお待ちです」


案内され屋敷の門をくぐる。


門をはいってすぐのところにある庭園と噴水。


庭園には様々な色の花が咲いている。


噴水の水も綺麗だ。


高そうなオブジェがいくつも飾られている通路を通り、屋敷の扉をくぐる。


「わぁぁ」


「すっごーい」


アイリスとミコトの声が聞こえる。


確かにすごい屋敷だ。


一歩屋敷に入るとそこはフカフカの絨毯が敷き詰められている。


所々にある花瓶には庭園で見た花が生けられている。


この花瓶も安くはないのだろう。


正面には階段があり、中段で踊り場になっている。


そこから左右に階段が延びている。


踊り場の上には巨大な肖像画が飾られている。


「当伯爵家のご始祖であるシッダール・エリーン様です」


絵を見ていた俺に執事が教えてくれる。


「そうですか…」


特に聞きたいわけでもなかったので、簡単に応対する。


2階に案内される俺たち。


階段を上ったところにある部屋に通されると、執事は俺たちに暫く待つようにいうと、そそくさと部屋を出た。


「どこもかしこも飾りたくって気に入らねぇ」


ガイルは不機嫌だ。


貴族というか上流階級の連中に思うところがあるのだろう。


ただ、アイリスのためと割り切っていてくれるのは有難い。


「貴族ってやっぱりすごいね」


アイリスは素直に感動している。


こんなにも豪華な屋敷に来るのは初めてだし、見るものすべて珍しいのだろう。


と言っても、俺も初めてなんだが。


「おい、リュウ」


「どうした?」


「今日の依頼、受けるかどうかはリーダーのお前が判断しろ、俺たちはその判断に従うぜ」


「分かった…」


俺に判断を任せるということは、ガイルなりにパーティの在り方を考えてくれているのだろう。


執事が出て行ってから30分ほど経ったころだろうか。


ノックがした後に部屋の扉が開かれる。


執事に促され、俺たちは移動する。


「…向こうが来るんじゃなくて俺たちを呼びつけるとは…」


「まぁまぁ」


ガイルが怒り、ミコトが宥めている。


一段高いところに椅子がある部屋に通される。


「謁見室…?」


「みたいだな」


その後、執事に恭しく案内され、この屋敷の主であるエリーン伯爵が入ってきた。


両脇には護衛の騎士が2名付き従っていた。


伯爵は当たり前のように椅子に座り俺たちを一瞥すると、執事を見て小さく何かを合図した。


「えー、チーム:龍翔<ドラゴニア>の皆様、お待たせしました。こちらが当屋敷の当主シューレッダ・エリーン伯爵様です」


「…」


紹介された伯爵は何を言うでもなく、こちらをじっと見ている。


俺たちとしても臣下でもないし、まだ依頼主でもない伯爵に礼をするのは何か違うと思い、そのまま立っていた。


「おい、お前たち!伯爵様の御前だぞ、礼を取らんか!」


一人の騎士が大きな声でこちらを叱責する。


「…そうは言われてもな」


「ああ、俺たちは貴族だからと言って膝まづくガラじゃねぇ」


「なんと不敬な!」


もう一人の騎士は剣を抜く勢いだ。


そのとき、伯爵がすっと手を挙げる。騎士はそれを見て大人しくなる。


「…余がシューレッダ・エリーンである、部下が失礼した」


思ってもなさそうな言葉を口にする伯爵。


「…いえ」


「まずは座っていただこう…おい」


伯爵の声に反応して執事が俺たちの椅子を持ってくる。


「さて、諸君らに依頼したい内容なんだが、この近くの魔獣を討伐して素材を集めてほしい」


意外と普通のクエストだ。


「その素材とは?」


「おい」


「はっ」


執事が2枚の紙を俺に渡してくる。


そこには素材の情報が書かれていた。


俺は一枚確認するとガイルに手渡す。


「風狼の牙…」


「こっちは鉄蠍の針が…」


「集めてほしい素材のそこに記載されたものだ、どうかね、やってくれるかね?」


「うーん…」


「ギルドを経由するよりいい報酬を約束しよう」


報酬はいいのだろう。


だが、素材が問題だ。


風狼に鉄蠍。


この2匹はいままで相手してきた普通の獣が魔獣化したのではなく、最初から魔獣として生まれた存在だ。


ようするに強い。


このレベルのクエストはランクC以上でないと達成できないだろう。


「俺たちのランクでは手に余るクエストですね」


「まさか、皆様なら達成可能と愚考します」


執事が口を挟んでくる。


「ドラゴニュートにウェアタイガー、オーガに豹人のパーティの皆様であれば…」


執事の目がきらりと光る。


どこで知ったのやら。


「…貴族の情報網ってことか…」


「ジーナが漏らしたとは思えねぇ…なんか別のルートだな」


ガイルがポツリという。


俺は頷きで返す。


「まぁ、いいさ…隠してるわけじゃない、で、クエストの報酬と条件を教えてもらおうか」


「ありがとうございます」


執事は深々と一礼する。


「報酬は金貨10枚をご用意しています」


「確かに破格だな」


「ええ、それほど我々としても是非それらの素材を所望しておりまして…」


「…条件は」


「特にはございません、しいて言うなら集めた素材は必ずこちらにお渡しいただきたい、ということくらいでしょうか」


「…」


俺はしばし考える。


このクエストをクリアすれば呪術師の情報を手に入れることができる。


アイリスとミコトはこの雰囲気に気圧されて押し黙っている。


「…分かった、受けよう」


「おお、ありがとうございます!、ではこれらの素材が見つけやすい場所をお教えします」


こうして俺たちは伯爵のクエストを受けることにした。


伯爵は軽い挨拶だけしてさっさと奥に戻り、護衛の騎士も一緒にいなくなった。


俺たちは残った執事からクエストの詳細を聞くことになったのだった。


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