0038話 瑠璃の話し
「あなたが薬師なの?」
ミコトが思ったことを口にする。
「あっ、いま瑠璃が小さいから薬師なんかできるわけないと思いましたね」
「ごっ、ごめん、そういうつもりじゃなかったんだけど…」
ふんっと仰け反った姿を見せる瑠璃。
「分かればいいんです」
そういうと瑠璃は俺の方を見た。
「で、どういったご用件ですか?」
「ああ、これを」
俺はジーナからもらった紹介状を瑠璃に渡す。
瑠璃は紹介状を手に取ると、ふんふんと読み上げる。
「なるほど、あの薬を必要な方が来ているのですね」
「あ、あの…私です」
おずおずと手を挙げるアイリス。
「あなたね!、いいわ、ジーナ様の手紙のとおりに薬を用意するわね」
「ありがとうございます…」
「いいの、瑠璃も老師様やジーナ様にはお世話になってるんだから」
言うが早いか瑠璃はいくつかの薬草らしきものや怪しげな物品を手に取ると調合を始めた。
「ちょっとだけ待ってね」
素早い手際で調合を進める瑠璃。
そしてあっという間に薬瓶に入った薬ができた。
「できたー!、これどうぞ」
瑠璃は薬瓶を早速手渡してくれる。
「あ、ありがとうございます…」
アイリスは展開の早さについていけていない。
「これでジーナ様のお願いは完了かな」
瑠璃はもう終わった感じになっている。
「ちょ、ちょっと待ってほしい」
俺は瑠璃に呼び掛けた。
「あれ?、まだ何か?」
「いや、薬はありがとう、ただ、今回は薬を貰いにきただけではないんだ」
「えっ…」
「そのジーナの手紙に何と書いてあったのかは分からないけど、薬だけでなくて薬の成分も知りたいんだ」
「成分…?」
「そう、その薬でアイリスの呪いが抑えられているんだ…だから薬の成分から呪いの元凶が分かるかも知れないと思って」
「ああ、そういうことか…でもその希望は薄目かなぁ」
「というと…?」
瑠璃は少し考えこむようにして言った。
「んー、瑠璃は先代から伝わってるレシピで作ってるだけなんだよね」
先代?
「で、ジーナ様経由でもらう手紙に症状が書いてあって、それに沿って少しずつ効果を強くしているのね」
「ということは?」
「そう、瑠璃もよく分からないの、レシピ自体ももらったものだし、効果を強くするのも書いてある通りに原料を増やしているだけなの」
「そういうことか…」
「そうなのよ、ごめんね」
「いや、瑠璃さんのせいではないし…」
しかし困った。
これでアイリスにかけられた呪いを解く方法の手掛かりがなくなってしまった。
「リュウ…」
「アイリス」
「おい」
ガイルが話しに入ってくる。
「薬のレシピがあるなら、呪いの専門家に聞けば分かるんじゃないのか」
「なるほど、薬の原料からどんな呪いか分かるかもしれないってことか…」
「そういうことだ」
「ありがと、助かったよ、ガイル」
「へっ、まだ何も解決したわけじゃないぜ、リーダー」
「ああ、そうだな…アイリス」
「うん」
「次は呪いの専門家を探すぞ」
「分かった!」
「ようし、んじゃ、どこ探そっか!」
ミコトも乗り気だ。
「まぁ、闇雲に探してもダメだろうぜ…そうだな、まずは腕のいい呪術師の情報からあたるか」
「情報屋だね」
ガイルとミコトの会話についていけない。
「情報屋?」
「ああ、ギルド所属の情報屋だ、そいつらに聞けばあらゆる情報が手に入る…まぁ、対価はいるがな」
「そうか、ともかく情報屋に会ってみるか」
「そうしよう!、あたしは先にギルドに行ってるよ!、行こう、レム」
「オマチクダサイ」
ミコトはレムを連れて飛び出していく。
「さぁ、俺たちも行くか」
「ああ、世話になった、いろいろ助かったよ、瑠璃」
「いいよ、また今度、老師様の話しも聞かせてね、あと薬が切れる前にまた来るのよ」
「はい、ありがとうございます」
アイリスが礼を述べた後、俺たちは瑠璃の店を出た。
再度、ギルドへ行き、情報屋から情報を買うためだ。
ジーナが言った通り、やっぱり俺はツいているようだ。
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つたない素人文章ですが、これからもお付き合い下さい。




