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龍翔記  作者: GIN
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0036話 ジーナの話し

「あなたが老師様の手紙に書いてあったリュウ…そして、あなたが薬が必要なアイリスね」


ジーナは言いながら俺たちの顔を見た。


俺たちはここへ来た目的をジーナに話した。


なぜ、俺たちがここへ来なければならなかったのかも含めてだ。


「そう…老師様、死んじゃったんだ…」


今、ジーナの店の中には俺とアイリス、ジーナの3人だけだった。


ガイルとミコトは気を利かせて外で待ってくれている。


「ええ…老師の話しでは襲ってきたのは魔王ベルゼバブ本人だったようです」


「何かある人だとは思っていたけど、魔王と関係があったんだね…」


「あ、あの…」


アイリスがおずおずと手を挙げる。


「どうしたの?」


「そ、そのジーナさんと老師って…どういったご関係だったんですか?」


「そうね…元恋人…」


「えっ!」


「…にはなれなかった関係かな…昔、老師様に助けられたの」


ジーナの話しでは、昔、薬草採集をしていたときに冒険者に攫われそうになったらしい。


相手はヒューマンの冒険者たちで、ダークエルフのジーナを金目的で狙ったようだ。


そこを助けてくれたのが偶々通りかかった老師で、それから二人は一時期、一緒に旅をしていた。


ジーナはもともとダークエルフの集落で暮らしていたが閉鎖的な集落に嫌気がさしていたらしい。


そこに当てのない旅をする老師が来たので、それに付いていくと言って強引に同行したようだった。


数年に渡って二人は旅を続けていたらしい。


ジーナは老師に好意を持っていたようだが、それは実らなかった。


老師とは流れ着いたこの王都で別れ、ジーナは元々得意だった占いで生計を立てるようになった。


その後は連絡を取り合うことはなかった二人だったが、突然老師がこの王都を訪ねてき手、二人は再会する。


そこで老師から、孤児を拾ったこと、薬が必要なことを聞き、恩返しのために薬の調達に協力したようだった。


そうして、希望の薬を調合できる薬師を見つけ、老師に渡るように手配していたとのことだった。


「…ということで、実際には私が薬を作っているのではなくって、間に入っていただけなの…ごめんなさいね」


「いえ…」


ジーナにとって、老師との手紙のやり取りは大事なことだったのだろう。


だからこそ、薬師を紹介するのではなく、老師と直接やり取りする方法を残していた。


俺たちの親代わりの老師のことを、そこまで思ってくれる人がいて俺は嬉しかった。


「老師様の最期はどうだったの…?」


「魔王相手に勇敢に戦っていました」


「そして私たちを守って…魔法から庇ってそれで…」


アイリスはその時のことを思い出したのか涙をこぼしていた。


「…そう、老師様は最期まで立派だったのね」


そういってアイリスの涙を拭うジーナ。


「ツライことを思い出せてごめんなさいね」


「いえ、大丈夫です…」


ジーナは少し何かを考えこんだ素振りを見せる。


「いつも薬を用意してくれてた薬師はこの近くで店をやっているわ…いま紹介状を用意するわね」


そういってジーナは店の奥に入っていく。


「薬は手に入りそうだ…」


俺は思わず口にする。


「うん、ありがとう、リュウ」


ジーナが奥から戻ってくる。


俺は薬師への紹介状をもらった。


「ありがとうございます…あの、聞きたいことがあるんですが?」


「何かしら?」


「ジーナさんはアイリスが飲んでいる薬の効能を知っていますよね?」


「…そうね、知っているわ」


「どんな効能なんです?、アイリスは一体どういう症状なんでしょうか?」


「…私から言っていいものかしら…」


ジーナは言い淀んでいる。


「すでに老師は亡くなっています、薬師もおそらくあなたから伝えられた通りに調合しているだけでしょう、ということはあなたに聞くしかないんです」


ふぅ、とジーナはひとつ溜息を漏らす。


「それもそうね…」


「お願いします、私も自分の身体のことを知りたいです」


「分かったわ…そうね、薬のことを話す前にあなたたちは自分たちのことをどこまで知っているの?」


「自分たちのこと…?」


「そう…孤児だったこと、老師様に育てられたこと以外のことよ」


「年齢くらいは分かりますが…名前は魔法刻印だったそうですし…」


「そういえばそうねぇ、実は自分たちのこともよく知らないかも」


アイリスは少し呑気な声でそう言う。


はぁ、とジーナは再びため息を漏らす。


「老師様らしいわね…意外と大事なことは言わないのよね…私との関係のこともそうだった…」


ジーナの変なスイッチが入ったらしい。


「結局どうするのか最後まで言わずに…私に決めさせて…君が決めたならそれでいいよなんて言って…」


「ジ、ジーナさん…?」


アイリスがオロオロしながら声をかける。


「ああ、ごめんなさい…ちょっと昔のことを思い出しちゃって…」


「い、いえ」


なんだか老師とジーナの関係が垣間見えたような気がした。


「話しを戻すわね…私が老師様から聞いて知っている話しを全部言うわ」


「お願いします」


改めて居住まいを正す俺たち。


「まずあなたたち二人はただのヒューマンじゃないわ」


「「えっ!」」


アイリスと同時に声が出る。


「ヒューマンじゃない?」


「そう、まずはリュウ…あなたは龍人<ドラゴニュート>よ」


「龍人<ドラゴニュート>…」


「で、アイリス、あなたは虎人<ウェアタイガー>なの」


「…虎人<ウェアタイガー>」


「そう、種族はそれぞれいま言った通りね」


俺たちは頷く。種族の話しはこの会話の中心ではない。


「で、アイリス、あなたには呪いがかけられているの、薬はその呪いを抑えるためのものよ」


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