0035話 王都のウエストタウン
「はぁい、では龍翔<ドラゴニア>さんで登録しましたぁ、パーティなのでチーム:龍翔<ドラゴニア>ですねぇ」
ナタリーがおっとりした動作で登録作業を行ってくれた。
無事に登録が済んだことでここまでスルーしていたことを聞いてみる。
「あのー、ギルドの受付嬢さんの名前って…?」
「ああぁ、私はナタリーと言いますぅ」
うん、確かにルイムの町のギルド受付嬢と同じ名前だ。
「あっ、ナタリーと言うのは受付嬢ネームですぅ、どの町のギルドでも同じ名前なので覚えやすいですぅ」
ギルドの受付嬢は全員ナタリーと言う名前ということか。
「同じ名前にしているのは呪いの類への対策や、一人ひとり名前を覚えなくていいようにだな」
ガイルが補足してくれる。冒険者の先輩はこういう時に頼もしい。
「まぁ、詳しいことは俺も知らんがな」
ガイルが本音を漏らす。冒険者の先輩はこういう時に頼りにならない。
「さて、リュウよ、冒険者登録も済んだことだ、次はウエストタウンだな」
「ああ、ようやくジーナの元へ行ける」
「どんな人だろうね」
アイリスも楽しみにしているようだ。
「ともかくアイリスの薬のことを確認しないとな」
「うん」
こうしてチーム:龍翔<ドラゴニア>は活動を開始した。
ウエストタウンまでは中央の大通りを西に進んだところにある。
「わぁー、すごい、人も店もいっぱい!」
アイリスはあちこちの店を覗いて回る。
「完全にお上りさんだな」
ガイルは呆れた様子だ。
ただ、王都には慣れているはずのミコトも一緒になってはしゃいでいる。
「あー、俺と二人の時は王都もただクエストを受けに来るだけだったからな…」
ミコトもいろいろと我慢していたようだ。
「まぁ、急ぐ用事でもないしな」
いまも雑貨屋と思われる店に入った二人を待つために通りのベンチに座っている。
「なぁ…」
「どうした?、ガイル」
「リュウとミコトは孤児って話しだったよな」
「ああ、ただ育ててくれた老師はすでに亡くなっていて詳しいことは分からないんだ」
「そうか…魔王に襲われたって話しだったよな」
「ああ…今の俺たちでは勝てなかったな…」
「だろうな、魔王はこの世界におけるイレギュラーな存在だ」
「ガイルでも勝てないのか?」
「無理だな、そもそも俺の戦い方では魔王に近づくもの難しい」
「相性とかもあるのか…」
アイリスとミコトが満足気に店から出てきた。
こうしてようやくジーナの店へ向けて再出発した。
「ふふふっ、王都ってすごいね、私、気にいっちゃった♪」
「そうか、よかったな」
王都はルイムの町と違い、活気に溢れていた。
「ルイムとは大違いだな…」
「…うん、そうだね」
そうして、ウエストタウンで、ジーナの話しを聞いている。
有名な店だったらしく、すぐに場所は分かった。
店前に大きな水晶玉が飾られている。
扉をあけて中に入る。
いまは客はいないようだ。
店の中は暗い。
「…誰もいないのか?」
「いるわよぉ」
店の中に陽が差し、一人の女性を映し出す。
間延びした話し方の妙齢の女性がそこには居た。




