0029話 砦内部の戦い その4
「どうやって地下まで行くの?」
ミコトが聞く。
「飛び込むだけじゃ、下に何があるか分からない、負傷するかもしれない」
それを心配してミコトは俺が飛び込むのを止めてくれたのだ。
「そ、そうだね」
「だけど、やっぱりアイリスが心配だ、ゆっくり時間をかけてはいられない」
「うん…」
ミコトはなにやら不安そうだ。
「ね、ねぇ、リュウ…ま、まさか…」
「そのまさかだよ!」
言うと俺はミコトを抱え、穴に飛び込む。
「やっぱり~~!!!」
一瞬感じた浮遊感の後は重力に引っ張られて下へと落ちていく。
「わぁぁぁぁ!!!」
ミコトが涙目で叫んでいる。
「レム!!」
「ショウチシマシタ、リュウサマ」
レムにはいつでも魔法を発動できるように準備させていたのだ。
「重力属性魔法:反重力≪アンチグラビティ≫」
レムの周囲に透明な球体ができ、それは俺たちを包む。
地面に衝突するスピードだった俺たちは羽が生えたようにフワリと地下に降り立った。
「そこかっ!」
瓦礫の状態やスケルトンナイトの存在を見て、一瞬で状況を把握した。
距離を詰め、3体のスケルトンナイトを斬りはらう。
「アイリス!」
瓦礫に半身が埋まっていたアイリスだったが、辛うじて意識がある。
「リュウ…ありがとう…」
「アイリス…無事でよかった」
リュウたちが来る少し前…
アイリスは辛うじて保っている意識のなかで自分に近づいてくるスケルトンナイトを見ていた。
戦わなきゃ、という意思はあるが、立ち上がり構えるほどの力は残っていない。
「リュウ…」
スケルトンナイトが剣を振り上げるのを見ていた。
「そこかっ!」
リュウの声がする、そう思ったすぐにそのリュウに抱えられた。
2階広間ではガイルが苦戦を強いられていた。
剣を振るう男に対してガイルの実力が劣っているわけではない。
男はガイルのことを殺す気で剣を振るっている。
対してガイルは男を傷つけないように戦っている。
戦い方の差が苦戦に繋がっているのだ。
「早くしてくれよ、リュウ…こっちはそんなに持ちそうにないぜ」
「アイリス~、無事でよかった~」
「ありがとう、ミコト」
「アイリスサマ、オソバヲハナレテシマイモウシワケアリマセン」
「ううん、レムがリュウとミコトを連れてきてくれたんでしょう、ありがとう」
アイリスは怪我をしている。もう戦える状態ではない。
「ミコト…アイリスのこと頼めるか」
「う、うん」
俺は異常な気配が漂うフロアの一角に目をやる。
「出て来いよ…アイリスを怪我させた落とし前をつけてやる」
「くくく…この私と戦おうというのか」
現れたのは黒の法衣に身を包んだ男だった。
「お前がこの砦…アンデットの主か」
「いかにも…私の名はラルガンス、闇の魔道士にしてアンデットを従える者だ!」




