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龍翔記  作者: GIN
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0024話 サイカ

「ようこそ、ダールベン村へ!」


村の入り口で、どこかで聞いたようなセリフを言う人を華麗にスルーした俺たちは村の中へと足を進めた。


村に1軒しかない宿屋を見つけ、まずは今晩の宿を確保する。


2階に上がる階段で、上から降りてきた二人組とすれ違う。


互いにチラッと目が合うが、特に会話することもなく通り過ぎた。


「ねぇ、リュウ、今の人たちって…」


「ああ、一人はオーガだな、相当に強そうだ…もう一人は獣人だったな」


荷物を置いた俺たちはレムに留守番を任せ、情報収集に向かう。


村の広場らしきところで冒険者ハンフリーのことを聞いてみるが有力な情報はなかった。


「ダメかぁ…」


噴水に腰かけたアイリスが疲れた様子で言う。


「今日はこれくらいにしておくか」


「そうね…お腹も空いてきたし」


「あっちに商店通りがあるって話だったな、そこに行ってみようか、アイリス」


「うんっ」


こうして俺とアイリスは商店通りに足を向けた。


小さい村だが宿屋があるくらいなので、時折来る冒険者もある程度見込んでいるようだ。


数店の屋台があり、そこで今日の食事をとる俺とアイリス。


ちなみにレムは食事は不要とのことだった。


レムのエネルギー源は大気を満たしているエーテルとのこと。


要するに何もしなくても稼働する永久機関だ。


「あなたたちは冒険者ですか?」


不意に声をかけられる。


声の主は10歳くらいの女の子だ。


「冒険者というか…」


言い淀むアイリス。


「君は誰だい?」


代わって俺が質問を返す。


「失礼しました、私はこの村の村長の娘サイカといいます」


しっかりとした受け答えだ。


「ご丁寧にどうも、俺はリュウ、こっちは連れのアイリスだ」


「よろしくね、サイカちゃん」


「リュウさんにアイリスさんですね」


「ああ、ところで冒険者ってのは?」


サイカはポンと手をたたきながら言う。


「そうです、お二人は冒険者なのですか?」


「いや、俺たちは冒険者じゃない、人を探してこの村に来ただけだ」


「冒険者じゃないのですか…」


明らかに落胆した様子のサイカ。


「何かあったの?」


「実は…」


「まぁ、座ったらどうだい」


俺は椅子をすすめる。


「ありがとうございます」


サイカは腰を下ろす。


そして言葉をつづけた。


「実は…南にある廃墟になった砦にアンデットの群れが発生したみたいなんです…」


「アンデットの群れ?」


「はい…たまたま近くまでいった木こりの方の情報なんですが、数体のアンデットを見かけたって…」


「アンデットが村を襲ってくるの?」


心配そうにアイリスが聞く。


「いえ…まだ特に実害は出ていないのですが、小さな村ですし、もし襲われたら一溜りもないと思ってて」


確かにそうだ。


騎士団もない小さな村。


自警団はあるだろうが、おそらく村の男性たちが貧弱な武器で戦うことくらいしかできないだろう。


ただでさえアンデットは死や怪我を恐れない。


向こうが恐怖に鈍感で、退くことを知らない。


訓練もされていない村の自警団で対抗できる相手じゃない。


「それで、冒険者に依頼して討伐してもらおうということか…」


「いえ…ただ、随分前に一人の冒険者に砦に向かってもらっているんですが、その方が戻られなくて…」


「戻らない?」


「はい、すでに1週間は経ちます…でもまだ戻られなくて…私心配で…」


1週間も戻らない冒険者。


普通に考えれば逃げたか…それとも…死んだかのどちらか。


「それで様子を見に行く冒険者を探していたということか」


「はい…お二人が冒険者ならお願いできなかなと思って声をお掛けしました」


「ねぇ、リュウ…」


アイリスは何か言いたげだ。


「…仕方ない、様子を見に行くくらいなら俺たちでもできる、冒険者じゃないけど引き受けるよ」


「本当ですか!、ありがとうございます」


「それでその先に砦に向かった冒険者っていうのは誰なの?」


「はい、よくこの村に立ち寄ってくださる冒険者の方で、名前はハンフリーさんといいます」


〇エーテル

世界を満たしている超常的な力・現象の根源とされているもの。

魔法などは詠唱や魔法陣、触媒などにより、大気中のエーテルを集め発動する。


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