0016話 腕試し
バルガスの戦斧と俺の刀が交差し、鳴り響く金属音。
「やるねぇ」
バルガスはまだ余裕だ。
「これでも俺は経験豊富な冒険者なんだが…お前、何もんだ?」
「…さぁな、ただの孤児だよ」
言うとバルガスとの距離を詰め、横に薙ぎ払う。
「ぐぁぁ!」
受け止めきれなかったバルガスの叫び声。
だが、ほとんどダメージは与えられていない。
「…魔法障壁ね」
アイリスの声が聞こえる。
俺はそれに頷きで返す。
魔法障壁。
その名の通り、魔法で張った障壁だ。
バルガスが張っているのは物理攻撃に対する障壁だろう。
動きは緩慢だが、この障壁のおかげでほとんどダメージを受けない。
バルガスはそういう戦い方を得意にしているのだろう。
「一回で障壁に気付くとは…まぁ、いい、どっちにしろお前の攻撃は俺には効かないってことだ!」
防御に気を配る必要のなくなったバルガスは戦斧を振りまわす。
およそ型や流派などは感じさせない粗削りな攻撃。
だが、その勢いは凄まじい。
「リュウ!」
アイリスの声が聞こえる。
だが…
「大丈夫だ!」
俺は自慢のスピードでバルガスとの距離を詰める。
戦斧と刀が交わること数合。
再びお互いの武器がぶつかり合う直前に俺は少し距離を取る。
力で押し込めようとしていたバルガスはバランスを崩し、前のめりになる。
「物理がダメならこっちはどうだ!」
右手を翳すと、選んだのは詠唱が殆どなく使用できる魔法だ。
「火属性魔法:火球≪ファイアボール≫」
「ぐぁぁぁっ!!」
さきほどより大きなバルガスの悲鳴。
炎に包まれたバルガスは地面を転がって消火を行った。
そして…
刃をバルガスの首筋に当てて言う。
「俺の勝ちだな」




