0015話 ギルドと冒険者
朝、俺たちはクレハの作ってくれた朝食を食べると身支度を整えた。
「ありがとう、クレハ」
「ベッドも寝やすかったし、ご飯もおいしかったよ」
「いえいえ、大したお構いもできませんで」
クレハから昨晩のことは子供達には言わないでほしいと言われていた。
心配をかけたくないという理由だった。
俺たちは分かったとしか言えなかった。
「リュウ、アイリス…」
グリンは何かに気付いている様子だった。
だが、クレハも俺たちも何も言わないので、何かを察して黙っている感じだった。
「俺たちは行く、グリンは母ちゃんや家族を守ってやれ」
グリンは力強く頷いた。
その間、アイリスはクリンとクロスの頭を撫でていた。
一晩ですっかり懐いたらしい。
「さぁ、行くか、アイリス」
こうして俺たちは改めてギルドへ向かった。
大通りを進み、目的のギルドへはすぐに着いた。
早速、中に入る。
冒険者と思われる連中の視線がこちらに集中するのが分かる。
「なんだぁ、ここは子供が来るところじゃないぞ」
レンジャーと思しき男が声をかけてくる。
「俺たちは人探しに来たんだ」
「人探し?」
「あああ、ダメですよぉ、バルガスさん!」
レンジャーに絡まれていると思ったのか女性が割って入ってきた。
「ああぁ?、俺はただ…」
バルガスと呼ばれた男は、おそらく親切で声をかけてきたのだろう。
ただ、ゴツイ体に、いかつい顔、武器も携帯したままでは
新人冒険者をイジメているようにしか見えない。
「私はこのギルドの受付をしているナタリーといいます、新人冒険者の方ですか?、登録のご希望?」
お辞儀をし、上目使いにこちらを見てくるナタリー。
舌足らずの話し方に、おっとりした動作だが、胸元が…。
「あっ、いや、俺たちは…」
ドギマギしながら答える俺をジト目で見てくるアイリス。
「どきなさい、リュウ」
アイリスが前に進み出る。
「私たちは町はずれに住んでいるもので、ここには人探しに来ました」
「人探しですかぁ?」
人差し指を顎のところにちょこんと当てながらナタリーが聞き返す。
「そう!占い師ジーナが住んでいるところに手紙を届ける依頼を受けていた冒険者を探しているのよ!」
「占い師ジーナですかぁ…?、あっ、ダメですぅ、依頼を受けた冒険者のことは話せませんし、そもそもそんな依頼があったかどうかも答えられませんよぉ」
言われてみればそらそうだ、と思った。
秘密は守る。それが冒険者に加え、依頼人の身を守ることにつながるだろう。
結局、もう少し粘ってみたが受付嬢からは何も情報は引き出せなかった。
冒険者たちも俺たちとナタリーのやり取りを聞いていたらしく、誰も目を合わせようとはしなかった。
「だめだね、リュウ…」
「そうだな、でもまぁ、別の手段を探そう」
「そうね」
ナタリーは申し訳なさそうにお辞儀をしていた。
まぁ、彼女の立場からすると当然の対応だ。
諦めてギルドを出た俺たちに声をかけてくるものがいた。
「…何か訳ありなんだろ」
バルガスだ。
「ああ、そうだな、だがギルドのルールを破ってまでとは思っていない、別の手段を探すさ」
「そうかい…と、まぁ、待ちなよ」
「まだ何かあるの?」
「怖い嬢ちゃんだな、まぁ、話しだけでも聞けって」
「なんだよ」
「いいか、ギルドには守秘義務がある。だが、俺たち冒険者自身には関係ねぇ」
「どういうことだ?」
「簡単な話しだ、冒険者自身が自分の体験談として語る分にはギルドも止めようがないってことさ」
「なるほど、で、何を求める?」
「話が早くていいねぇ、冒険者の心を動かすのは金、酒、女、力だけだ」
「なにそれ、ゲスいなぁ」
アイリスは露骨にいやそうな顔をしている。
「で、俺はお前たちが聞きたいであろう話しを持っている、さぁ、どうする?」
「金か酒か女か力ね…だったら、選ぶものはひとつ、力だな」
バルガスは驚いた顔をする。
「ほう、俺相手に力を選ぶか、あとで金に変えほしいっていっても聞かねぇぜ!」
「ちょ、ちょっと!リュウ!」
アイリスも驚いている様子。
だが、俺の決意に迷いはない。
「大丈夫だ、負ける気がしない」




