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龍翔記  作者: GIN
130/693

0130話 イヴの救出?

「なんだこれは?」


俺とアイリスはガイル達に追いついた。


廊下を進んだ先に座り込む男を見つけた俺とアイリス。


その男がすでに武器を収め戦闘の意志がないことを確認する。


ガイルとこの男が闘ったのはその部屋に残る戦闘の痕跡や見覚えのある剣技の痕跡から分かった。


そしてガイルがこの男に勝ったことも。


俺たちの姿を見たその男は黙って奥の扉を指さした。


そして俺とアイリスはその扉を開けたのだ。


中央に大きなテーブルが置かれているのが見える。


部屋に入ったところに立ち尽くすガイルとミコト。


そして、そのテーブルの中央付近の椅子に座るイヴの姿も見えた。


イヴが無事だったことに安堵すると同時に部屋の様子がおかしいことに気付く。


ガイルとミコトが立ち尽くしていることも気がかりだった。


ともかく俺とアイリスはその部屋に入る。


「おい、ガイル?」


「ああ、リュウか…よくここが分かったな」


言いながらガイルはイヴから目を離さない。


ミコトも同じだ。


俺は改めてイヴの姿を見る。


イヴは一心不乱にテーブルに置かれた豪華な食事に手を伸ばしている。


まだ俺たちが部屋に入ってきたことにも気づいていない様子だ。


「おい、イヴ!」


俺は思わずイヴに声をかける。


その声に大きなチキンをほう張り、口の中に大量の肉を詰め込んで頬がげっ歯類のように大きくフランだイヴがこちらを向く。


「むー、むむむ、むむむむっ!」


食べ物が口に含まれたまま話しているので何を言っているのかさっぱり分からなかった。


「とりあえず無事そうだな…」


「そ、そうね」


「そだね…」


俺の言葉に同意するアイリスとミコト。


イヴは傍らにあったブラスに手を伸ばすとそれを一気に煽り、食べかけの食物を喉に流し込んだ。


「おー、みんな、来たのかっ!」


おそらくさっきと同じことを言っているのだろう。


「へっ、来たのかじゃねぇぜ、こっちはお前を探してたってのに」


「そーだよー、心配したんだから」


「そうか、わりぃわりぃ」


言いながらイヴはまた食事に手を伸ばす。


「実は昨日ここに忍び込んで捕まっちまったんだよ」


やはり捕まっていたようだ。


だが、今の様子はなんだ。まるで歓迎されているようだ。


「一晩中、牢屋に入れられてたんで腹が減ってね」


それでこの食事か…


「それで今の状況はなんだ?」


俺の言葉にイヴが答える前に、奥の扉が開き一人の男が入ってくる。


「それはオレから答えよう、君がリュウだな」


「あんたは?」


「名前くらい聞いたことあるかも知れねぇが、オレがジルバーノだ」


「あんたが…」


ピリッと張りつめた空気が部屋を支配する。


「あー、あたいにこの食事をくれたのはそのジルバーノだよ」


イヴのその言葉にニヤリと笑うジルバーノ。


「その通りだ、こちらとしては敵対するつもりはねぇ」


「どういうことだ?」


「どうもこうもない、言葉通りの意味さ」


俺はガイルを見る。ガイルは俺を見て一つ頷いた。


「こちらとしては仲間がここにいると思いきただけだ、仲間が無事ならこちらも敵対の意志はない」


「へっ、歓迎されてるみたいだしな」


「でも一体、どういう流れなの?」


ミコトがもっともな疑問を口にする。


「それはあたいから答えるよ」


ペロリと舌なめずりをして、ようやく食事に満足したイヴが大きなテーブルの上に立っていた。


「あたいは昨日、ジルバーノ部下をぶっ飛ばして、後をつけてここに忍び込んだんだ」


ボスの部屋を物色した後、見つかり脱出しようとしたときに用心棒の男に気絶させられ牢屋に入れられていたらしい。


しっかり縛られていて単独での脱出は難しいと思っていたところに自分に会いに来た連中がいたようだ。


「夜になって来たのがジルバーノだったわけさ」


「大胆にもこのジルバーノ様のアジトへの侵入者だからな、やたらと強い女だってんで興味もあってな」


「そんでどこのもんかと聞かれたわけさ」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「てめぇ、どこのもんだ?」


「あたいは怪しいやつを追ってきただけさ…あんたがジルバーノかい?」


イヴは目の前の男に問いかける。


背はそれほど高くないが筋肉質な身体をしている。髪は黒髪をオールバックにし、目つきも悪いその男。


「ふん、だったらどうする」


「どうもこうもないよ、こんな格好じゃ戦いようがない…だが、あたいは何も答えないし、拷問でもなんでも好きにすればいいさ」


イヴのその言葉に黙ったじっと睨みつけてくるジルバーノ。


「いい度胸してやがる」


「はん」


「てめぇ、オレの部屋を物色してたらしいな、そこで何を見た?」


「さてね…」


「ふん、答えねぇってか…おい!」


ジルバーノの声に、横にいた刀を持つ男が一歩前に出る。


取り巻きの一人から鍵を受け取るとイヴが捉えられている牢屋に入ってくる。


「無駄だよ、何をしたってあたいは何も答えないさ」


イヴの決意の固そうな目をじっと見つめるジルバーノ。


縛られている状態で自分を倒した男が武器を持ち近くに立っている。


この状態でも素性を明かさないイヴを見て、簡単に口を割らないことを理解したようだった。


「…連れていけ」


男に続いて入ってきた取り巻きの男たちから這いずって逃げようとしたがあっさり捕まり担ぎ上げられるイヴ。


牢屋を出てしばらく歩いた場所にある別の部屋にそのまま運ばれたのだった。


そこは真っ暗な部屋でイヴが下ろされた床の部分にだけ証明が当たっていた。


姿は見えないがジルバーノは正面の椅子に座っているらしい。


「てめぇがどこに居たのかはこっちも調べがついている、黙ってたところで結果は変わらねぇぞ」


取り巻きの連中はこの部屋にはいないようで、いるのはジルバーノとイヴだけだ。


「…」


何も答えないイヴにしびれを切らしたようにジルバーノは言う。


「てめぇらは誤解をしている、これを見ろ」


ジルバーノが一枚の紙をイヴの目の前に投げてよこした。


それを見たイヴは言葉を失ったのだった。


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