0126話 ガイルの足取り
「クレハ、ここにガイルってオーガが来なかったか?俺たちの仲間なんだけど」
クレハたちのあばら家についた俺たちは早速ガイル達のことを聞く。
しかし答えは期待したものではなかった。
「いえ、特にどなたも尋ねてこられてないです」
「そうか…」
「瑠璃はクリンの様子を見てくるよ」
「ありがとうございます、皆さんのおかげで、もうだいぶ良くなっていまして…」
「ガイル達、どこに行ったんだろうね?、リュウ」
「そうだな…まずはここに来ていると思ったが」
「あのリュウさん、瑠璃さんからお聞きした話しのことなんですけど…」
「ああ、子供たちはなんと?」
「グリンをはじめ、皆ぜひお願いしたいということです、でも…いいのでしょうか?」
「ああ、構わない、こちらとしても助かる話しなんだ」
「クレハさんたちなら安心だしね」
「ありがとうございます」
俺がクレハに頼んだのは、老師の小屋に住むことだった。
家賃無し、小屋や畑は自由に使ってもらってよい、またに墓の手入れをしてもらう。
この条件でクレハ一家に小屋に住まないかという打診をしていたのだ。
住まいを無くしたクレハたち。そして俺たちはこれから長い旅に出る。
小屋のことは王都に行くだけでも気になっていたので、住んでくれる人がいるのは俺やアイリスにとっても有難い話だった。
クレハたちの暮らしも少しはマシになるだろうし、これで少しは安心できる。
「あとは…ジルバーノの件だけだな」
「そうね…ミコトたちどこ行ったんだろう」
「ジルバーノって、あのジルバーノですか?」
「知ってるのか?クレハ」
「え、ええ…知ってるも何も元々主人の借金もジルバーノからものでしたし、家も…」
なるほど、クレハたちを追い込んだのはジルバーノたちということだ。
だが、それなら借金もなくなった今、クレハたちを見張っていた理由が分からない。
「あの子も昔はあんなんじゃなかったんですが…」
思いがけない言葉がクレハから聞こえた。
「えっ、クレハさんと、そのジルバーノは知り合いなの?」
「知り合いといいますか…同郷の出身なんです、幼馴染って感じですね」
「顔見知りとかではなく幼馴染?」
「ええ、同じ村で同い年で同じ学校に暮らして…村を出たころもほとんど同じです、私はルイム、ジルバーノは王都と目指す場所は違いましたが…」
「リュウ…」
「ああ、もしかしたら俺たちは思い違いをしているのかもしれない」
「どういうことですか?」
クレハの問いにここに来た理由を話すかどうか迷ったが、当のクレハとジルバーノが幼馴染ということであれば話しは変わってくる。
俺はクレハにイヴが対応した件を含め、すべてを話した。
「そう、だったんですか、あの子の部下が私たちを見張っていたんですか…」
「ああ、でイヴが…昨日、瑠璃と一緒だった長身の女性がその件のあと、おそらくジルバーノのアジトに行って戻ってきていないんだ」
「さっき聞いたガイルもわたし達の仲間で先にイヴを探しにでたんです」
「それで、そのガイルさんが、ここに来ていないかということだったんですね」
「クレハはジルバーノのアジトを知っているのか?」
「詳しいことは…でも、町はずれの…その、あまり治安がよくない地域だと聞いたことがあります」
スラム街のような場所があるのだろうか。
「ともかくそこに行ってみるか」
「そうだね、ガイル達も行ってるかもしれないし」
俺とアイリスはクレハからの情報をもとにルイムの町のスラムへ向かうことにした。
グリンや妹たちと少しだけ話しをし、瑠璃ともここで別れた。
情報収集には酒場、ということもあり俺とアイリスはスラムの酒場に入った。




