0124話 二人の朝
柔らかい朝陽が窓から差し込み俺の顔を照らしたようで、その眩しさに目を覚ます。
老師を合わせ3人で長く暮らしていた小屋。
朝陽はその時と同じく俺のベットの枕を置いてある辺りに差し込んでいた。
ただ一つ…その時と違うのは…
「んっ…朝…?」
「おはよう、アイリス」
俺の左腕を枕にしたアイリスがこしこしと目をこする。
「おはよぉ、リュウ」
まだ寝ぼけ眼のアイリス。
俺は思わずアイリスの頭を撫でる。
そして俺の手にそっと手を乗せるアイリス。
そして見つめあう。
俺たちはそのままそっと口づけをした。
急に気恥ずかしさを覚えて、もぞもぞと起きだす俺とアイリス。
自分たちの格好が、生まれたままの姿であることをやっと思い出す。
「ご、ご飯…朝ご飯にしようか、リュウ」
「そうだな…準備するよ」
そう言って俺はキッチンへと向かう。
準備と言っても昨日買っておいたパンを皿に乗せスープを温めるだけだ。
それらをテーブルに用意したところでアイリスがやってきた。
「ありがと、リュウ」
アイリスは自分の席に座ると小さくいただきますと言ってパンを齧った。
「なんだか…恥ずかしいね」
ちらっと上目使いに俺を見てくるアイリス。
その頬は少し赤みを帯びている。
「ああ、でも俺は本気だ」
「あっ、それを言うならわたしもよ」
俺たちは目をあわせて微笑みあう。
そして、食後のコーヒーを用意するアイリス。
コーヒーは老師が愛飲していたものだ。
「でもリュウと本当にこんな風になるなんて思わなかった」
「確かに」
俺はこれまでもアイリスを愛していた。
だがそれは仲間としてや家族としてというのが強かったと思う。
長い間というか生まれてからずっと俺たちは老師の元で一緒に育ってきたのだ。
家族としての想いが先にくるのは仕方ないことだろう。
「リュウはわたしのことお姉ちゃんだと思ってるんだろうなって」
お姉ちゃん?
妹の間違いじゃないのか…
「お姉ちゃん?」
「そう、そういう風に…家族だと思ってるんじゃないかなって」
「ああ、でもそれはアイリスも同じだろう」
「そうだね…でも老師が死んじゃってからかな…ちょっとずつ想いが変わっていったのかもしれない」
「ああ」
やはり老師の死は俺たちに非常に大きな影響を与えていたのだ。
「だが、俺は気づけて良かったと思っている」
「うん、わたしも一緒だよ」
そうして俺たちはまた何度目かの口づけを交わす。
互いの想いを確認しあうように、そしてそれが変わらないことを望みながら。




